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au経済圏「ゴールドカード優遇」強まる クレカ投信積立にも影響

山口健太ITジャーナリスト
au PAY ゴールドカード(KDDIのWebサイトより、筆者撮影)

11月26日、KDDIは貯蓄や投資の「マネ活」をテーマにした携帯料金プランをリニューアルしました。12月3日から提供が始まります。

新プランでは「ゴールドカード」の優遇が強まる一方で、一般カードにはクレカ投信積立での還元率が下がるというしわ寄せがきています。

投信積立「一般カード」は0.5%還元に

新たに登場した「auマネ活プラン+」は、対象の金融・決済サービス利用した際の特典がついたデータ使い放題のプランとなっています。

auじぶん銀行やauカブコム証券の口座を連携しつつ、au PAYのコード決済やクレジットカードのau PAY カードを日常的な支払いに使っていくことで、大きなポイント還元を得られるようになっています。

月額料金は8778円(税込)と、同日発表した通常の使い放題プラン(月額7458円)より高いものの、条件を満たすことで得られるポイントを考慮すると、実質3678円になるとアピールしています。

また、これまでのマネ活プラン(月額7238円)と比べても1540円の値上げになりますが、新たに追加されたポイ活要素を「攻略」できれば、より安くなる可能性がある印象です。

特に目立つのが「au PAY ゴールドカード」の優遇です。「au PAY 決済特典」や「au PAY カード決済特典」は月に最大1500ポイントと、一般カードも同じですが、ゴールドカードのほうが還元率は高く設定されています。

さらに、ゴールドカードからau PAY残高にチャージした場合、条件を満たすことで最大5%のポイントを上乗せする「ポイントアップリワード(オートチャージ特典)」も新たに始まります。

一方、しわ寄せが来ているように感じるのが一般カードです。auカブコム証券におけるクレカ投信積立の還元率は1%から0.5%への引き下げが発表され、ゴールドカードとの間で差が付くことになりました。

2022年に始まったauカブコム証券のクレカ投信積立は、上限を月額10万円に引き上げた後も1%還元を維持しており、ネット証券の中でも特徴的なサービスでした。

還元率を引き下げた理由について、KDDIは「今回発表した『auマネ活プラン+』ではゴールドカードとの親和性を高めており、このタイミングでポイント施策全体の配分を総合的に判断して決定した」(KDDI パーソナル事業本部 マーケティング本部 副本部長の渡邊和也氏)と説明。

「マネ活プランならゴールドカードにしていただくことで、年会費以上のメリットがある」(同)として、ゴールドカードをすすめていく語っています。

マネ活プラン以外にも、au PAY ゴールドカードのメリットの1つである携帯料金の最大10%還元を、12月からUQ mobileに拡大することを発表しています。

KDDIとしては、まだ「プラチナカード」を考える段階には至っていないようですが、当面はゴールドカードの発行枚数を全力で伸ばしていくという意気込みが感じられます。

au経済圏の証券会社はどうなる?

auカブコム証券は三菱UFJ銀行の100%子会社になると発表されており、2025年2月には名称が「三菱UFJ eスマート証券」に変わる予定です。

クレカ投信積立には、au PAY カードに加えて、三菱UFJカードも使えるようになる予定とのことから、ポイント還元率はどうなるか注目といえます。

ここで気になるのは、au経済圏における証券会社の存在が、今後どうなっていくのかという点です。

KDDIとMUFGは新たな業務提携契約を結ぶとのことから、当面は三菱UFJ eスマート証券を使い続けるのがベストでしょう。ただ、資本関係はなくなってしまう以上、KDDIがいつまでそれを続けるのかという疑問が出てくるわけです。

個人的に、いま最も面白いと感じているサービスの1つは「povo2.0」です。証券についても同様に、これまでにない新たなスマホ証券を立ち上げるといった選択肢はないのでしょうか。来年以降の動きに注目しています。

ITジャーナリスト

(やまぐち けんた)1979年生まれ。10年間のプログラマー経験を経て、フリーランスのITジャーナリストとして2012年に独立。主な執筆媒体は日経クロステック(xTECH)、ASCII.jpなど。取材を兼ねて欧州方面によく出かけます。

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