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主な新興国/米国経済ニュース(22日)

増谷栄一The US-Euro Economic File代表

アイカーン氏、米レンタカー大手ハーツの株式8.5%取得し最大株主に

米国の著名な投資家カール・アイカーン氏は20日、国内2位のレンタカー大手ハーツ・グローバル・ホールディングス<HTZ>の株式8.5%を取得し、最大株主となったことを明らかにした。この結果、同氏がハーツの最大株主となる。米経済専門テレビ局フォックス・ビジネス(電子版)などが伝えた。

これはアイカーン氏が米証券取引委員会(SEC)に提出した報告書で明らかにしたもので、ハーツの発行済み株式の8.5%に相当する3880万株を4億7050万ドル(約490億円)で買い取ったとしている。また、アイカーン氏はハーツの経営陣に対し不信感を抱いており、今後は業務運営のあり方や過去3年間の決算の誤びゅうをめぐる会計手法などについて協議したい考え。また、同氏の意向を受けた役員の派遣の可能性があることも示唆している。

ハーツは6月にSECに対し、3年前の2011年度決算書にまで遡って決算数値を訂正する必要があり、それに伴い、2014年1-3月期(第1四半期)に続いて、4-6月期(第2四半期)の決算報告書の発表も遅れる見通しを明らかにしている。

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メーシーズ、少数派住民の顧客への人種差別で6700万円支払いへ

米百貨店大手メーシーズ<M>がアフリカ系やラテン系など少数派住民の顧客に対し人種差別行為を行ったとして、ニューヨーク州検察庁の調査を受けていた問題で、メーシーズはニューヨーク州検察庁に対し65万ドル(約6700万円)の和解金を支払うことで合意した。米経済専門オンラインメディア、CNNマネーが20日に伝えた。

同百貨店では少数派の顧客から販売定員が誤って窃盗の容疑をかけられたという苦情が殺到し、2013年2月に、ニューヨーク州のエリック・シュナイダーマン検事総長が調査に乗り出していた。検察庁によると、複数の少数派の顧客はマンハッタンにある旗艦店舗で、商品を盗んだ疑いでメーシーズのスタッフに取り押さえられており、こうした少数派への窃盗容疑は白人の顧客に対するよりもかなり頻繁に見られたとしている。

また、メーシーズは店内に24時間監視カメラの設置や第3者の独立したセキュリティの専門家を配置することになった。メーシーズはニューヨーク州に42店舗を抱えている。

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ネットフリックス、高品質の映像配信狙いタイム・ワーナーと直接接続で合意

米オンラインDVDレンタル・映像ストリーミング大手ネットフリックス<NFLX>は、米ケーブルテレビ大手タイム・ワーナー・ケーブル<TWC>とインターネット接続契約を結んでいる顧客に対し、従来よりも高速で高品質のストリーミング映像を提供するため、第3者を介さずに、直接、タイム・ワーナーのネットワークに接続し、大容量の映像データを配信する方式に転換することで合意した。米経済専門オンラインメディア、CNNマネーが20日に伝えた。

タイム・ワーナーによると、ネットフリックスの直接接続の作業は今月末に完了する予定。ネットフリックスはこれまでも米ケーブルテレビ最大手コムキャスト<CMCSA>や米通信大手ベライゾン・コミュニケーションズ<VZ>、米通信大手AT&T<T>といったインターネット接続サービス大手と直接接続で合意している。

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ロシア財務省、来年のユーロ債は7200億円相当を当初計画通り発行へ

ロシアのセルゲイ・ストルチャク財務次官は20日、2015年のユーロ債発行計画について、ウクライナ危機をめぐる西側の対ロシア制裁にもかかわらず、当初の計画通り、70億ドル(約7200億円)のユーロ債を発行する方針に変わりがないことを明らかにした。ロシアのプライム通信(電子版)が伝えた。

同次官は、「我々は地政学上のリスクを考慮して国債発行計画を立てているが、今回の西側の対ロ制裁は想定外のシナリオだった。しかし、向こう3カ年の予算計画で示した国債発行計画に変更はない」と述べている。また、同省は今年に入ってすでにルーブル建て国債の入札を13回中止したが、同次官は「今年、国債発行を中止したい考えはない」とも指摘している。

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ベトナム交通運輸省、汚職発覚でベトナム鉄道などの工事中止を決定

ベトナム交通運輸省は20日、国有のベトナム鉄道総公社(VRC)とベトナム鉄道事業管理局(VNRA)が発注者となっている、日本やフランス、中国のODA(政府開発援助)を利用した多数の鉄道建設プロジェクトで汚職の疑いが浮上したことから、関連するすべての鉄道建設工事を中断することを決めた。地元オンラインメディアのダントリニュースが伝えた。

VRCはすでに工事が始まっている7件のプロジェクトで建設許可が取り消されたほか、日本政府のODA絡みのハノイの地下鉄工事を含む複数のプロジェクトでも建設許可が取り消されている。不正行為の中で、特に悪質なのは、VRCのトラン・コック・ドン副総裁が日本の工事関係者から8000万円の賄賂を受け取ったとしてすでに逮捕されている。

VNRA関連では5件のプロジェクトが中止されており、VNRAの幹部の一人は交通運輸省からプロジェクトの管理責任が欠如したとしてけん責処分を受けている。

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インドネシア政府、国営石油プルタミナのLPG値上げを了承

インドネシア政府は20日、国営石油大手プルタミナから提出されていた補助金交付の対象を除くLPG(液化石油ガス)の小売り販売価格の値上げ申請を了承した。ジャカルタ・グローブ(電子版)が伝えた。

値上げの規模や時期については、ハイルル・タンジュン経済担当調整相は、「今後、プルタミナや国営企業省、エネルギー鉱物資源省、貿易省など関係省庁の合同協議で決められる」としている。

現在、LPGの小売り販売価格は12キロ当たり7000ルピア(約60円)で、採算価格とされる1万5000ルピア(約130円)を大幅に下回っている。このため、プルタミナは毎年、9兆ルピア(約800億円)の損失の計上を余儀なくされている。プルタミナは今年初め、LPGの小売り販売価格の68%値上げを申請したが、政府が難色を示したため、値上げ幅を17%に圧縮している。その結果、赤字は1.2兆ルピア(約110億円)減の7.7兆ルピア(約690億円)に改善している。(了)

The US-Euro Economic File代表

英字紙ジャパン・タイムズや日経新聞、米経済通信社ブリッジニュース、米ダウ・ジョーンズ、AFX通信社、トムソン・ファイナンシャル(現在のトムソン・ロイター)など日米のメディアで経済報道に従事。NYやワシントン、ロンドンに駐在し、日米欧の経済ニュースをカバー。毎日新聞の週刊誌「エコノミスト」に23年3月まで15年間執筆、現在は金融情報サイト「ウエルスアドバイザー」(旧モーニングスター)で執筆中。著書は「昭和小史・北炭夕張炭鉱の悲劇」(彩流社)や「アメリカ社会を動かすマネー:9つの論考」(三和書籍)など。

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