20代では98.4%、70代でも67.0%が利用…年齢階層別インターネット利用率(2024年公開版)
日常生活への浸透、機能拡大による利便性の向上などの変化を受け、インターネットの利用層は、老若男女を問わず拡大中。その実情を総務省が2024年6月に発表した「通信利用動向調査」(※)の公開値から確認する。
今回発表された最新版の「通信利用動向調査」によれば、2023年時点のインターネットの普及率(過去1年間にインターネットを一度でも利用したことがある人の率)は86.2%・利用者人口を概算すると1億288万人との値が出ている。
これを直近5年間分について、年齢階層別に確認したのが次のグラフ。「全体で9割近くとはやや少なくないか?」との印象を持つ人もいるだろうが、年齢階層別で見ると13歳以上は60代前半まで、8割どころか9割超の利用率なのが確認できる。
6~12歳が9割近くにとどまっているのは、まだ幼い状態の人も含まれ、またリスクを考えれば仕方がない。一方、60代以上では利用率は漸減していく。高齢層ほどインターネットの利用を避ける傾向にあることは、これまで数多くの調査でも明らかにされている通りで、今回の結果も納得がいく。
その理由までは今件調査結果だけでは特定できないが、経年による視聴覚の衰えの問題や、利用の際に覚えねばならないことが多く難儀させられる、さらには「新しい物事への挑戦」には何事も失敗がつきものだが、その失敗を恐れる(主に時間のロスの観点で)傾向が強いこと、そして昨今浸透しつつあるスマートフォンやタブレット型端末におけるタッチパネルは苦手(指先が乾燥気味で反応しにくい)などが考えられる。また現状の生活環境においてインターネットが要らない、メリットとデメリットを比較した場合に必要性を感じない人も多分にいるのも要因だろう。
ただしここ数年、高齢層の大きな伸びも確認されている。高齢者に限定して対象期間を拡大したのが次のグラフ。2019年のイレギュラー値を考慮外としても、60歳以上は概して増加を見せている。
元々伸び代が大きいこともあるが、若年層に追いつけ追い越せとばかりの勢いが感じられる。
50代までと60代以上にやや大きな差異が生じるのは、50代までは業務としてインターネットの利用が求められる事例が多いからに他ならない。経年による身体機能の衰えで利用ができなくなる事例をのぞけば、それらの人達は定年退職を迎えても(60代を過ぎても)インターネットの利用に慣れているため、インターネットは利用し続けるはず。高齢層の利用は環境の変化とインターネット「世代」の年齢の積み上げ、二つの要素で底上げされていく。
このままの勢いが続けば、この数年のうちに「インターネットは若者のツール。高齢層には関係のない話」といった、世間の一部で語られている、常識扱いされている言い回しも、過去のものとなりそうだ。すでに70代でも2/3強が利用している以上、すでに過去のものと認識しても問題はなさそうではあるのだが。
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※通信利用動向調査
2023年分は2023年8月末に、「世帯向けは都道府県および都市規模を層化基準とした層化二段無作為抽出法で選ばれた、満20歳以上の世帯主がいる世帯・構成員に」「企業向けは公務を除く産業に属する常用雇用者規模100人以上の企業に」対し、郵送あるいはオンラインによる調査票の配布および回収の形式によって行われている。有効回答数はそれぞれ1万4059世帯(3万4196人)、2640企業。各種値には国勢調査や、全国企業の産業や規模の分布に従ったウェイトバックが行われている。
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