新型コロナの後遺症Q&A どんな症状がどれくらい続くのか(2021年1月)
新型コロナウイルス感染症には遷延する症状、いわゆる後遺症を訴える患者さんが一定の割合でいらっしゃいます。
海外、そして国内からも後遺症の報告が集まり、徐々に実態が明らかになってきています。
現時点での新型コロナ後遺症に関する知見をご紹介します。
新型コロナの後遺症とは?
新型コロナに感染した人のうちほとんどの人は回復後、通常の健康状態に戻る一方で、回復した後も数週〜数ヶ月間様々な症状が続く方がいます。
これらは海外では「LONG COVID」「Post COVID」などと呼ばれていますが、日本国内では「後遺症」と呼ばれることが多いため、ここでも新型コロナ後遺症という表現を使います。
この新型コロナ後遺症は、単一の病態ではなく、実際には4つの病態が複合的に絡み合った病態ではないか、ということが分かってきました。
4つの病態とは、
(1) 肺、心臓への恒久的障害
(2) 集中治療後症候群(post intensive care syndrome:PICS)
(3) ウイルス後疲労症候群(post-viral fatigue syndrome)
(4) 持続する新型コロナの症状
を指し、これらがオーバーラップしていると考えられています。
新型コロナ後遺症ではどんな症状がみられやすい?
新型コロナ後遺症として頻度が高い症状には、
- 倦怠感:15~87%
- 息苦しさ:10~71%
- 胸の痛みや違和感:12~44%
- 咳:17~26%
などがあります。
これ以外にも、嗅覚障害、関節痛、頭痛、目や口の乾燥、鼻炎、味覚障害、食欲低下、めまい、筋肉痛、不眠症、脱毛、発汗、下痢、精神機能障害・認知機能障害などの症状が後遺症として報告されてます。
これまでの国内外の報告では、新型コロナに感染した人の3人に1人が少なくとも1つ以上の症状を後遺症として経験しています。
なお、これらの報告は入院例、重症例を対象にしたものが多く、軽症だった方を含めた後遺症の頻度はもっと低いものと思われます。
しかし、世界中で1億人、日本国内で38万人が感染しており、そのうち一定の割合で後遺症がみられることを考えると社会的なインパクトは非常に大きいと言えます。
精神機能障害・認知機能障害としてどのような後遺症がみられる?
新型コロナから回復した人の中には、精神機能障害・認知機能障害として
- 心的外傷後ストレス障害(PTSD):24%
- 記憶障害:18-34%
- 集中力低下:16-28%
- 不安・抑うつ:22%
- 不眠症:31%
などの症状がみられたという報告があります。
インフルエンザなどの新型コロナ以外の感染症から回復した際にもこれらの症状が現れることはありますが、その頻度は新型コロナの方が高いようです。
これらの症状は、特に集中治療室(ICU)に入室した患者で頻度が高いようであり、集中治療後症候群(PICS)によるものと考えられます。
どのような人で後遺症がみられやすい?
後遺症のリスク因子について解析した研究では、後遺症がみられやすい人の特徴として、
- 重症だった人
- 高齢者
- 女性
- 肥満
などが挙げられています。
軽症だった人には後遺症はみられない?
基本的には、入院を要する重症の新型コロナ患者で後遺症がみられやすい傾向にありますが、入院していない軽症の人でも症状が続いたり、後になって症状が出てくることがあります。
・新型コロナから回復した(大部分が軽症だった)患者2113人を対象にしたオンライン調査では、79日経過時点で症状が1つもないと回答したのは1%未満であった。
という報告があり、軽症だった人でも後遺症が問題になることがあります。
また脱毛症も、軽症例でも現れることがあり、発症から1ヶ月くらい経過してから出現し、4ヶ月後くらいに落ち着いてきます。
後遺症の症状はどれくらい続く?
これまでの国内外からの報告では、新型コロナ後遺症の症状によって持続期間も異なるようです。
これまでの報告と症状の頻度、持続期間を表にまとめました。
新型コロナ後遺症を予防するためには?
新型コロナ後遺症を確実に回避するには、新型コロナに感染しないようにするしかありません。
特に緊急事態宣言中である現在は、
・できる限り外出を控える
・屋内ではマスクを装着する
・3密を避ける
・こまめに手洗いをする
といった基本的な感染対策をより一層遵守するようにしましょう。
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