ブリックス5カ国、世銀に対抗する自前の開発銀行創設に動き出す
ブラジルのギド・マンテガ財務相が26日、南アフリカのダーバンで開かれたブリックス(BRICS:経済成長が著しいロシアと中国、インド、ブラジル、南アフリカ)
5カ国財務相・中央銀行総裁会議で提案した、2014年をメドにブリックス各国のインフラ投資を拡大するため、各国が100億ドル(約9400億円)を出資してブリックス開発銀行を創設する構想がいよいよ実現に向けて動き出すことになった。
チャイナデイリー(電子版)によると、ブリックス財務相・中央銀行総裁会議の議長国である南アフリカのジェイコブ・ズマ大統領は27日の全体会合で、ブリックス開発銀行の設立に向けて正式に協議を開始することで合意したことを明らかにしている。その上で、同大統領は、ブリックス内で今後5年間に4兆5000億ドル(約423兆円)のインフラ投資がブリックス内で行われるとの見通しも示した。さらに、ブリックス開発銀行はブリックス以外の他の発展途上国や新興国との協力にも使われるとし、明らかに世界銀行に対抗するブリックス版の世界銀行を目指す考えだ。
また、今回の財務相・中央銀行総裁会議では、もう一つの大きな合意が発表されている。それはブリックス各国が世界的な金融危機のような突発的な異常事態による流動性不足の危機に備えるため、1000億ドル(約9.4兆円)規模の危険準備金(CFA)を創設することで合意したことを明らかにした。
ブラジル紙オ・エスタド・ジ・サンパウロ(電子版)によると、マンテガ財務相は、「準備金はブリックス内の大規模な通貨スワップにほかならない」と述べている。また、それとは別に、ブラジルと中国の中央銀行間で30億ドル(約2800億円)規模の2国間通貨スワップ協定(一定期間通貨を交換、期間終了時にあらかじめ取り決められたレートで買戻し・売りを行う取引)を結んだ。
このスワップ規模の30億ドルは2国間の8‐10カ月相当の輸出入をカバーできるという。また、この通貨スワップが最近のユーロ圏のキプロス債務・金融危機と関連性があるのかどうかについて、マンテガ財務相とブラジル中銀のアレシャンドレ・トンビニ総裁は、ともに「欧州の債務危機との関係はない。今日、中央銀行間では普通に行われているものだ」と述べている。また、ブラジルの外貨準備には影響は及ばない、との認識も示している。 (了)