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2013年に53本塁打を放ったクリス・デービスが薬物陽性反応。復帰は最速でもポストシーズン9試合目

宇根夏樹ベースボール・ライター

クリス・デービス(ボルティモア・オリオールズ)が25試合の出場停止処分を科された。アンフェタミンの陽性反応が出たためだ。デービス自身の声明によれば、アデロールという薬を摂取していたという。デービスはこれが2度目の違反ということになる。興奮剤の場合、最初の陽性反応では出場停止にならない。

処分開始の時点で、オリオールズのレギュラーシーズンは残り17試合。デービスはポストシーズン最初の8試合にも出られない(オリオールズが8試合未満でポストシーズンから姿を消せば、出場停止は2015年に持ち越される)。

オリオールズは2014年の地区優勝をほぼ確実としており、ディビジョンシリーズ(地区シリーズ)からポストシーズンをスタートさせる。このシリーズは最短3試合、最長5試合なので、デービスが出場できるのは、早くともリーグ・チャンピオンシップシリーズ(リーグ優勝決定シリーズ)の4戦目からとなる。

ディビジョンシリーズを勝ち抜いたとして、オリオールズはリーグ・チャンピオンシップシリーズのロースター25人にデービスを入れるかどうか、決める必要がある。各シリーズごとにロースターは入れ替えられるが、シリーズ途中の入れ替えは、選手が故障した場合に限られる。それも、野手の代わりは野手、投手の代わりは投手でなくてはならない。

2年前には、サンフランシスコ・ジャイアンツが同じようなケースに見舞われている。残り45試合の時点で、メルキー・カブレラ(現トロント・ブルージェイズ)が薬物陽性反応によって50試合の出場停止処分を受けた。処分時のカブレラはリーグ2位の打率.346を残していたが、ジャイアンツはディビジョンシリーズを3勝2敗で制した後もカブレラをロースターに戻さず、そのままワールドチャンピオンまで駆け上がった。

けれども、オリオールズは2年前のジャイアンツとは違う選択をするだろう。デービスをリーグ・チャンピオンシップシリーズのロースターに加えるかどうかは、ディビジョンシリーズの試合数(デービスの出場停止の残り試合数)にもよるだろうが、ワールドシリーズまで進んだ場合、デービス不在のまま臨むとは考えにくい。

デービスは2013年に53本塁打を放ち、138打点とともに二冠を獲得している。2014年は26本塁打ながら、オリオールズではネルソン・クルーズの39本塁打に次いで多く、8月には7本塁打を打ち込んでいる。

オリオールズは2014年にデービスが欠場した試合で14勝4敗の好成績を残しているが、ポストシーズンを戦っていく上で、デービスがいるかいないかの影響は小さくない。オリオールズで20本塁打以上を打っている3選手のうち、クルーズとアダム・ジョーンズ(25本)は右打者で、デービスは左打者だ。また、オリオールズは故障により、すでにマット・ウィーターズマニー・マチャドのレギュラー野手2人を失っている。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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