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「ブラックフライデー」セール、2021年はトレンドに微妙な変化

山口健太ITジャーナリスト
アマゾンのブラックフライデー(アマゾンジャパン提供画像)

11月26日前後に開催される「ブラックフライデー」に向けてさまざまなセールが発表され、その一部はすでに始まっています。「リベンジ消費」が期待される中、Eコマース市場には微妙なトレンドの変化も起きています。

ブラックフライデーは米国において感謝祭(11月25日)翌日の金曜日に開かれるセールとして知られています。日本では数年前まで認知度が低く、「黒い」アイテムを中心に据えるなど工夫もみられましたが、最近では年末のセールの一部として広まっているようです。

アマゾンジャパンは11月26日から1週間のセールを実施します。アマゾンの調査によれば約80%の人がこの1年に「我慢」をしたと回答。そのうちの約70%が「自分にご褒美が欲しい」と答えたことを挙げ、「慣れない生活様式の中でさまざまな制約のある生活をしてきた人が多い。ぜひ自分へのご褒美を見つけてほしい」(アマゾンジャパン プライム・マーケティング事業統括本部 事業統括本部長の鈴木浩司氏)と語っています。

アマゾンジャパン プライム・マーケティング事業統括本部 事業統括本部長の鈴木浩司氏(アマゾンジャパン提供画像)
アマゾンジャパン プライム・マーケティング事業統括本部 事業統括本部長の鈴木浩司氏(アマゾンジャパン提供画像)

複数のセールを実施する中で、目玉となる「特選タイムセール」では、レビューの「星の数」が4つ以上の商品を中心に「在庫を豊富に取り揃えている」(鈴木氏)と強調しています。

他にも「数量限定タイムセール」​や「ビッグサプライズセール」を実施。11月26日にはAmazon製のデバイス、11月29日にはPC・ゲーミング用品など日替わりで、セール商品は1日に何度も更新するそうです。なお、2022年の年始には「Amazon初売り」の開催も予告しています。

アマゾンが11月26日のブラックフライデー「当日」からセールを始めるのに対して、楽天市場では約1週間早い11月18日からセールを開始しています。

楽天市場は11月18日にセールを開始(楽天グループ提供画像)
楽天市場は11月18日にセールを開始(楽天グループ提供画像)

楽天市場では恒例のショップ「買い回り」によってポイント倍率が高まる仕組みで、最大7000ポイントを還元します。セール期間は11月22日深夜までとなっており、楽天のセールで買うべきか、アマゾンのセールが始まるまで待つべきか悩ましいところです。

リベンジ消費の中でも「サステナビリティ」に注目

コロナ前を超える勢いで消費が増える「リベンジ消費」が観測される中で、2021年のEコマース事業者によるセールでは「サステナビリティ」に寄せる事例が相次いでいます。

中国最大のセール「独身の日」には、アリババが「サステナビリティ」をテーマに掲げ、低炭素やエコ商品をアピール。アマゾンジャパンのイベントには女優・ファッションモデルの水原希子さんが登壇し、プラスチックフリーの生理用品を紹介するなど、これまでとはメッセージを変化させています。

ブラックフライデーのイベントに登壇した水原希子さん(アマゾンジャパン提供画像)
ブラックフライデーのイベントに登壇した水原希子さん(アマゾンジャパン提供画像)

ブラックフライデーのセールは米国から欧州にも伝わったものの、大量消費に反対する欧州発の動きとして「グリーンフライデー」が出てきています。日本ではメルカリが循環型社会を目指すファッション実店舗「サステなストア」を期間限定でオープンするなど、グリーンフライデーを積極的に取り上げています。

ブラックフライデーのようなセールでは、昨年を上回る売上が期待される一方、Eコマース事業者は持続可能性との両立を迫られています。実際に売れる商品にも変化は起きるのか、注目しています。

ITジャーナリスト

(やまぐち けんた)1979年生まれ。10年間のプログラマー経験を経て、フリーランスのITジャーナリストとして2012年に独立。主な執筆媒体は日経クロステック(xTECH)、ASCII.jpなど。取材を兼ねて欧州方面によく出かけます。

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