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【鹿児島県】今、最注目の鳥割烹が鹿児島市に!肉汁あふれる鶏料理と焼鳥、多彩な〆にリピート確実!

今回冒険するのは、鹿児島県鹿児島市の「鶏や。やまぐち」。鹿児島中央駅西口からほど近く。地元はもとより、県外からも予約が殺到する今、最注目の店だ。屋号に表れているように「焼鳥屋」というよりも「鶏や」。県産の地鶏をはじめ、厳選した野菜もふんだんに使ったおまかせコースが存分に楽しめる。

コースに一品を追加して楽しむ鳥割烹

すっと背筋が伸びる店構え。奥に伸びるカウンターは11席ほど。そのカウンターも幅広でゆったりとして心地いい。肝心の料理は「鶏や。コース」(訪問時は4500円)に、アラカルトで焼鳥や一品料理を組み込んでいくスタイル。ただ、その一品が多種多彩なものだから、嬉しいことに迷ってしまうのだけど。

【鶏や。コース】
・鶏スープ
・サラダ
・鶏4種
・季節野菜3種
・2品
・鍋 ひと口〆

出だしの鶏スープで心をぐっと掴まれる

鶏スープ
鶏スープ

まずは鶏スープだ。ひと口含むと濃厚なうまみ、やさしい甘み、華やかな香りが一体となって広がっていく。んん。初っ端からこれはすさまじい……。とりあえずのスープじゃない。鶏スープという料理として確立している。

「鶏白湯と鶏清湯、玉ねぎを合わせています」と店主の山口さん。さらにオリーブオイルを浮かべていっそう華やかに。これほど雑味のない鶏スープはそうそう味わえない。焼鳥に限った話ではないけれど、コースは第1印象が大事。非の打ち所がないスープだ。

白レバー
白レバー

サラダ
サラダ

続いてはねっとり、とろり、濃厚な白レバーに、パリッとみずみずしいクレソンのサラダ! そのどちらも手前の鶏スープのインパクトに負けず劣らずの味わいで、とにかくシンプルなのに奥深い。まだ肉が出されていないというのにこの満足度……。いやぁ、これはこのあとの料理にも期待が高まるばかり。

飼育日数175日の黒さつま鶏を厳選

店主の山口さん
店主の山口さん

もも肉
もも肉

さぁ、お待ちかね、もも肉のお出ましだ。しっかり脱水しているのか皮目はパリッとしている。噛めば凝縮した肉のうまみがジュワッと押し寄せてきた。いやいや、さすがは地鶏。「もも肉から」というのもまさに名刺代わり。

「鶏や。やまぐち」で扱う地鶏は鹿児島県産の「黒さつま鶏」。数ある農場のなかでも、山口さんが使っているのは飼育日数175日にのぼる雌鶏だけというこだわりよう。ただ、これは「当たり前のこと」なんかじゃない。

「卵を産む前の脂もうまみものった時期の鶏だけを使っているんです」と山口さん。地鶏といっても飼育日数100日以下のものを焼く焼鳥屋も多いなか、175日というのはかなり長い。それを5日間寝かせ、ベストな仕上がりにもっていく。うーん。このもも肉ひとつで、「鶏や。やまぐち」の世界観に引き込まれてしまった。

芽キャベツは春菊のジェノベーゼを添えて
芽キャベツは春菊のジェノベーゼを添えて

まるで鮨のような「皮付きせせり」

皮付きせせり
皮付きせせり

「皮付きせせりです。ひと口でどうぞ」と出されたのは、まるで鮨のように皮をまとったせせり。んん。なんという曲線美! せせりは焼鳥屋の定番ネタだ。焼鳥屋のなかでもごく一部で皮付きせせりを出す店はあるものの、これほど美しいフォルムは見たことがない。

口に運べばパリリッと皮が砕け、脂はジュワリ。肉のうまみがふくふくと広がっていく。天を衝くようなおいしさというのは、こういうことを言うのだろうなぁ……。皮に添えたにらは、鮨でいうところの「あたりねぎ」。ほのかな香味が脂を切ってくれるようだ。

「せせりはさらに2日間寝かせて、肉を保湿させながら皮を乾燥させています。肉と皮が接着している部分の脂をしっかり閉じ込めるためにも、その時間が必要なんです」と山口さん。いやぁ、脱帽。せせりでこれほど感動したの、始めて。

ほっくほくのそら豆
ほっくほくのそら豆

プリッとしたハツ
プリッとしたハツ

じゃがいもだけなのに、感動を呼ぶ

じゃがいものコロッケ
じゃがいものコロッケ

現れたのは、ひと口サイズのコロッケ。ふわっと広がるじゃがいもの甘い香り、豊かなうまみ。どこまでもなめらかで、とろりと舌にからむよう。

「鹿児島県産の新じゃがと北海道産の熟成じゃがいもを合わせています」

余計な食材は使わず、じゃがいものピュアな甘みやうまみを追求した一品。うーん。たかがコロッケ、されどコロッケ。何個でも食べたいくらいに衝撃的だ。

アスパラはみずみずしさを閉じ込めて
アスパラはみずみずしさを閉じ込めて

手羽元という部位を理解し、昇華する

手羽元
手羽元

ここで、手羽元。175日もの長期飼育の地鶏だから硬いのかと思えば、意外とそうでもなかった。ブリュッとした力強い弾力はあるものの、むっちり、ふっくらとしている。噛めば噛むほどジュワッと溢れるうまみ……。

それに、さわやかな玉ねぎソースも黒さつま鶏の脂と相性がいい。串ではなく、そのまま焼いて盛り付けるからこその好バランス。地鶏の良さを生かしきった一品だと思う。

キャベツとにらを加えた白湯鍋
キャベツとにらを加えた白湯鍋

ひと口〆はまるでちゃんぽんのよう
ひと口〆はまるでちゃんぽんのよう

チキンカツサンド
チキンカツサンド

意外だったのが、このチキンカツサンド。とは言っても、コースの一品なのでひと口サイズではあるのだけど、薄切りのパンに対してむね肉の厚みといったら!

サクッとしたパンの食感を追いかけるように、しっとりジューシーな味わい。うーん。これは料理。できたてのチキンカツサンドは、まさに鶏料理だ。

追加ネタは抱き身にあか、白子……

抱き身(むね肉)
抱き身(むね肉)

あか(うちもも)
あか(うちもも)

白子
白子

思い返すと串はハツだけだったことを思い出し、せっかくだからと焼鳥も追加。抱き身(むね肉)はうまみがあり、やわらかな弾力。あか(うちもも)はもも肉のなかでももっとも味の濃い部位とあってうまみ豊かで、キュッと締まった肉質がたまらない。これもやっぱり長期飼育の地鶏ならではの味わいといったところ!

白子は磯部焼き風に仕上げて。白子のとろっとした口あたり、海苔のパリッとした歯ざわりのコントラストが絶妙。こういうアプローチも鳥割烹ならでは。

〆に選んだのは山椒そばと鶏めしおにぎり

山椒とりそば
山椒とりそば

さぁ、鶏料理も焼鳥も満喫して、あとは〆ものを追加するだけ。鶏白湯や担々麺など4種類もある麺から選んだのは、山椒そば。黒さつま鶏からとった鶏スープに山椒の風味が溶け込み、ひと口飲めばうまみや香りがじんわり広がっていく。

これは、しみじみうまいなぁ。ねぎの香味もあり、とにかく一体感がある。焼鳥屋の鶏そばというと白湯が多いのだけど、この清湯はするっと食べられる。いいね。〆にもってこいだ。

鶏めしおにぎり
鶏めしおにぎり

そして気になっていたのが、鶏めしおにぎりだ。これがまた、うまいのなんの! 「具の肉はあえて親鶏を使い、弾力とうまみを際立たせています」と山口さん。

ふっくらと握られたおにぎりは鶏肉のうまみがギュッと。こんなおにぎりにはそうそう出合えない。さんざん食べたあとだというのに、まだ1個や2個は食べられそうだ。しかも「持ち帰り」もできるらしい。うーん、抜かりない。

山口さんがコースに込めたのは地元愛

店主の山口さん
店主の山口さん

もう、満腹。めくるめく鶏料理のコース。シンプルな焼鳥に多彩な一品料理も味わって、しっかり心まで満たされた。鹿児島にこんなにも胸躍る店があるとは思わなかったなぁ。山口さんは鹿児島出身の34歳。聞けば、20代は福岡にある「鳥焼き」の店で研鑽を積んだのだという。

「そこで学んだ鳥焼きがベースになっているのは間違いないのですが、当時は炭火ではなく鉄板焼きでした。もちろん、串打ちをしたこともなかったので、今はかなり独自性が強くなっていると思います」

福岡から鹿児島に戻ると、以前住んでいたときには感じられなかった地元の魅力をひしひしと感じたのだとか。なかでも大きかったのは、地鶏の生産者との距離がぐっと縮まったことだと山口さん。

「黒さつま鶏の生産者が近くにいるので、肉質や脂に関して密にコミュニケーションが取れるようになりました。その積み重ねで、より良い状態の地鶏を安定して入れられるようになったんです」

地鶏だけでなく野菜や焼酎、伝統工芸作家のうつわ。鹿児島にあるあらゆる魅力を「鶏や。やまぐち」を通して感じってもらいたいのだそう。

「鹿児島で良かった、鹿児島に来て良かった。そんな風に思ってもらえたら嬉しいですね」

▼冒険のおさらい

①鶏料理、焼鳥を織り交ぜた鳥割烹

②飼育175日の黒さつま鶏を使用

③鶏めしおにぎりは追加必至

店舗情報
【店名】鶏や。やまぐち
【最寄り駅】鹿児島中央駅
【住所】鹿児島県鹿児島市西田2-22-1
【予約】099-299-5828
【定休日】日曜(月祝の場合、日曜営業)
【串のアラカルト】なし
【コース(セット)】4500円~
【鶏メモ】黒さつま鶏

毎週、焼鳥三昧! 焼鳥を斜めに逆さ撮りする〝ヤキトリスト撮り〟は元祖にして名刺代わり! 「焼鳥は串柄、人柄」をテーマに、大衆的で気兼ねない町焼鳥から、鶏にこだわり1本1本に心血を注ぐ専門店まで焼鳥まみれの日々を送っています。焼鳥好きの方、フォローよろしくお願いします!

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