北朝鮮が大陸間弾道ミサイル「火星14」の試射に成功
防衛省の発表によると7月4日午前9時39分ごろ、北朝鮮が西岸の亀城付近から東に向けて弾道ミサイル1発を発射しました。水平方向に約900km、最大到達高度は2500kmを大きく超え、約40分間飛翔して日本の排他的経済水域(EEZ)内の日本海上に落下したものと推定されました。そして午後3時半、北朝鮮は特別重大報道の発表と称し、「大陸間弾道ミサイル(ICBM)の試験発射に成功した」と声明を出しました。この北朝鮮の声明によると発射した弾道ミサイルの名称は「火星14」で、水平方向に933km、最大到達高度は2802km、飛行時間39分とされています。これは通常軌道で発射した場合には射程5500kmを大きく超える性能で、INF条約に従えば大陸間弾道ミサイルに分類されるものとなります。
宇宙兵器や弾道ミサイルの専門家である物理学者ローラ・グレゴ博士の紹介したツイートでは、物理学者デビッド・ライト博士の計算によると今回の北朝鮮が発射した弾道ミサイルは通常軌道(最小エネルギー軌道)で6700km飛行できる性能だったとあります。
射程6700kmでは北朝鮮からアラスカまで届きます。ハワイや米本土までは届きません。オーストラリア北端には届きます。大陸間弾道ミサイルの試射は、アメリカのトランプ大統領が再三に渡って警告して来たレッドラインを超える事態となり、アメリカが北朝鮮の大陸間弾道ミサイル発射を認定した場合、政治的にあるいは軍事的に何らかの行動を起こす必要に迫られる可能性が生じてきます。
北朝鮮の発表した映像によると、火星14はホットランチ式で発射されており、上昇中の噴射炎の色から見ても液体燃料式であることが分かります。推定になりますがホットランチ液体燃料1段式のムスダンや火星12の発展型と考えられ、2段式にして射程を伸ばしたものと考えられます。
これまで北朝鮮が軍事パレードで公開して来た長距離弾道ミサイルは4種類ありました。ホットランチ液体燃料式と推定されるKN-08とKN-14及びコールドランチ固体燃料式2種類(重野戦機動トラック型とトレーラー牽引型)です。今回発射された火星14は技術系統的にホットランチ液体燃料式のKN-08ないしKN-14の系列と考えられますが、細部の形状や全長などがどちらとも一致せず、大きく改良されていることが分かります。(※KN-08やKN-14はアメリカ側の名付けたコードネームなので、北朝鮮側の名称とは関連性が無く、KN-14=火星14ではありません。)