天文学史上初の快挙!超新星爆発の一部始終を観測に成功
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どうも!宇宙ヤバイch中の人のキャベチです。
今回は「超新星爆発の一部始終を史上初観測に成功!」というテーマで動画をお送りしていきます。
2022年1月7日、史上初めて赤色超巨星が超新星爆発する一部始終を観測することに成功したと発表があり、大ニュースとなっていました。
●星の一生と超新星爆発
まず今回の主題を深く理解するため、恒星の一生と超新星爆発について簡単におさらいしたいと思います。
太陽のように自ら光輝いている「恒星」と呼ばれる天体の中心部は自身の重力によって超高温・超高圧な環境になることで、核融合反応という反応が起こる条件が満たされ、この反応が恒星のエネルギー源となっています。
![Credit:Wykis](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/dk/expert-image/uchuyabaichkyabechi/article/00268736/internal_1657474986154.png?fill=1&fc=fff&fmt=jpeg&q=85&exp=10800)
恒星の中心部で起こる核融合は、まず水素という最も軽い元素が消費され、水素の次に軽いヘリウムが生成されるような反応が起きます。
その後水素が尽きると今度はヘリウムを消費して炭素が生成されるようになり、次に炭素を消費して…というように、どんどん重い元素が燃料として消費され、生成されるようになります。
ですが重い元素ほど核融合が起こるためにより高い温度と高い圧力が必要になるため、最初に水素の核融合を起こせても、質量が足りず中心の温度と圧力がそこまで高くない比較的低質量の恒星であれば、途中段階で核融合が止まります。
このように核融合により星の内部で水素→ヘリウム→炭素→…といったように段階的に重い元素が生成されていく過程で、星の質量が足りずに途中で核融合が起こらなくなって残った星の燃えカスは、「白色矮星」と呼ばれています。
一方、質量が十分にある恒星の中心部で、核融合によって最終的に鉄が生成されるまで反応が進むと、それ以上核融合反応が進まなくなります。
その過程で星は膨張し、巨大で低温な、「赤色超巨星」という分類の星に進化します。
恒星は核融合による星の内部から膨張する力と、内側に落ち込んでいく重力が釣り合うことで形を保っていますが、鉄が生成されて急激に核融合が止まることで、重力に対抗する力を失い、星の核は急激に圧縮されてしまいます。
急激に圧縮された星の核は、超高密度の中性子星という天体になります。
そしてその衝撃で、II型超新星爆発という超高エネルギーの大爆発を引き起こします。
このような終焉を迎えるために必要な質量は、太陽の8倍であると考えられています。
なので太陽は超新星を起こすには質量が全く足りず、最終的には燃えカスの白色矮星となってその生涯を終えると考えられています。
数百万年~数千万年の寿命を持った大質量の星が一生を終える瞬間に発生する超新星爆発は、非常に珍しい現象で、天の川銀河のように恒星が数千億単位で集まった巨大銀河全体で数十年に一度程度の頻度でしか発生しません。
さらに超新星爆発が間近な天体が起こす、爆発の前兆とも呼べる現象も、そういった現象が存在するかどうかすらもよくわかっていないため、人類は超新星が起こりそうな星を予測し、集中して観測するなどということも現状できません。
このような理由から、これまでII型超新星を捉えたのはどれも発生後に明るくなってからであり、発生前からその一部始終を捉えたことは一度もありませんでした。
●II型超新星の一部始終を初観測
![Credit:Jacobson-Galán et al. (2022)](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/dk/expert-image/uchuyabaichkyabechi/article/00268736/internal_1657475108283.jpeg?fill=1&fc=fff&exp=10800)
では今回の本題です。
今回発表を行ったノースウェスタン大学とカリフォルニア大学バークレー校などの研究チームは、赤色超巨星がII型超新星を起こす130日前から観測し、史上初めて超新星発生の直前から発生の瞬間、そして発生後の経過まで、その一部始終を捉えることに成功しました。
今回の主題の超新星を起こした赤色超巨星は地球から1億2000万光年彼方にあるNGC 5731と呼ばれる銀河にあり、主題の超新星は「SN 2020tlf」と命名されています。
超新星SN 2020tlfを起こした赤色超巨星は、2020年夏に初めて発見され、その数か月後の2020年秋に超新星を起こしました。
上記のツイートで、最新の理解に基づいた赤色超巨星の寿命末期における活動の再現動画を掲載しています。
この動画でも表現されていますが、爆発から数か月前の時点で、赤色超巨星は放射線とガスを激しく噴出し、既に通常時よりもまばゆく輝いていたことがわかりました。
超新星発生後も観測は続けられ、爆発を起こした赤色超巨星は太陽の10倍程度の質量を持っていたことも突き止められています。
今回の最大の発見は、赤色超巨星が超新星の数か月前から内部構造が大きく変化し、非常に活発に活動していると判明したことです。
実はこれまで超新星の直前は、爆発の瞬間まで穏やかであると考えられていました。
今回の発見によって、人類は超新星爆発を起こす直前の赤色超巨星の活動の仕方を初めて知ることができました。
このような観測を重ねれば、人類は今後超新星のかなり前から、爆発を予測できるようになるかもしれません!
以前大幅に減光し、超新星爆発が間近ではないかと囁かれていたオリオン座のベテルギウスは、現在元の平常運転に戻っています。
さらに別の研究では、ベテルギウスの爆発は少なくとも10万年以上後のようです。
今回観測されたような事例がたくさん発見されていき、ベテルギウスの超新星爆発も予言出来るようになるのが待ち遠しいですね!
ベテルギウスが爆発した際に具体的にどうなるのかは、以下の動画で解説しているので、併せてご覧ください。
https://iopscience.iop.org/article/10.3847/1538-4357/ac3f3a
https://www.keckobservatory.org/dying-star/
https://scitechdaily.com/astronomers-capture-red-supergiant-star-exploding-in-massive-supernova-for-the-very-first-time/