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高齢者はコロッケ好き…単身世帯のコンビニ系惣菜の支出の実情をさぐる(2023年公開版)

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
コンビニのフライヤーでの調理品は今や食生活に欠かせない存在に(写真:イメージマート)

かつてはスーパーやデパートの食品売り場の花形だった、各種揚げ物などの惣菜。昨今ではコンビニ大手がこぞってフライヤーの機能拡大を図り各種揚げ物をはじめとしたおかず用の惣菜(カウンターフーズ)を充実させ、中食需要をさらに加速化させている。そこで総務省統計局による家計調査の結果(年次分は2022年分が最新)を基に、個人の消費性向が分かりやすい単身世帯にスポットライトを当て、フライ系を中心とした主要なコンビニ系(中食系)食材の購入実情を確認する。具体的には家計調査の年次データからコロッケなどいくつかの揚げ物、そして惣菜関連についてピックアップ(※)し、年齢階層ごとの支出金額をチェックすることで、個々の食材の利用度合いを確認する。

家計調査では単身世帯の年齢階層の区分について、34歳以下(若年層)・35~59歳(中年層)・60歳以上(高齢層)に区分している。そこでこの年齢区分に従い、各種計算をしていく。

まずは月あたりに換算をした、単身世帯・各年齢階層の食費総額。単身世帯であることから当然、世帯主本人のための購入になる。

↑ 単身世帯の食費(月あたり、年齢階層別、円)
↑ 単身世帯の食費(月あたり、年齢階層別、円)

おおよその階層で月4万円台だが若年層がやや低め。経年推移を見ると、高齢層はほとんど変わらず、むしろ微減(直近年で持ち直したが)。若年層は2020年で大きく落ち込む、中年層はここ数年では2020年を底として増加傾向に転じたように見える。2020年における若年層と中年層で生じた大きな減少は、新型コロナウイルス流行の影響で外食機会が大きく減ったことによるものであると考えられる。2021年以降に持ち直しの動きがあるのは、外食機会が少しながらも増えたからだろう。

続いて月あたりに換算をした、各項目の支出金額。年齢階層別の購入性向に大きな違いがあるのが分かる。

↑ 単身世帯の該当食費項目の支出金額(月あたり、年齢階層別、円)(2022年)
↑ 単身世帯の該当食費項目の支出金額(月あたり、年齢階層別、円)(2022年)

今回揚げ物と惣菜にスポットライトを当てたのは、コンビニ系食材と銘打った通り、双方ともコンビニやスーパーなどではお馴染みのお手頃食材の代表格であり、自宅に持ち帰って食べる中食の商品であること、特にフライ系は若年層が購入するイメージが強いとの実情を起因としている。そして単身世帯を対象としたのは冒頭で解説の通り、購入性向の対象が明確化できる点に加え、今後世帯全体比で単身世帯の比率が増えること、さらには若年層・高齢層ともに単身世帯における食生活の動向が、小売各社の店頭展開・食品メーカーの商品開発にも浅からぬ関連・影響があるからに他ならない。

「フライ系は若年層が購入するイメージが強い」は、そのような油味の強い食品を「若年層が好んでいる」イメージがある。しかし今結果を見る限り、惣菜の棚からの購入・レジ横ケースを見ながらの注文など、調達ルートは一つではないものの、コロッケは若年層や中年層より高齢層の方が支出金額は上。カツレツも若年層と比べれば高齢層は大いに購入している。「高齢者は油系の食材を苦手としている」とのイメージは、あくまでも想像上のものでしかない。

中食の浸透とともに注目を集めている他の調理食品のその他も、高齢層の支出金額は大きめ。調理そのものの手間をかけたくない高齢者の需要に、各種調理済みの惣菜は適している。

サラダややきとりはコンビニにおける販売で大いに注目を集めている。両品目とも中年層がもっともよく購入しており、高齢層は中年層と比べて少なめ。仕事で時間に追われた中年単身層が、気軽に食べることができる、そして栄養バランスも気になる際の選択として手に取っているようすが想像できる。特にサラダは元々単価が高いのも一因だが、中年層においては天ぷら・フライ以上の支出金額を示しており、注目に値する。

今後単身高齢者の人数が増えることは間違いない。昨今問題視されている「買い物困難者」も、主に単身高齢世帯者の増加が対象となっている。そして毎日の食生活を支える存在として、スーパーやコンビニなどの食品販売店は言葉通り「ライフライン」としての立ち位置を強めていく。

各店舗側も今件のコンビニ系食材のように、世間一般のイメージと異なる商品需要も含め、多様な需要の変化に対応していくに違いない。特にコンビニでは、そのリサーチ能力をフルに活かし、各種対応を逐次行っているように見える。その対応が引き起こすドミノ的影響とともに、今後も注視を続けたい。

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※惣菜関連についてピックアップ

具体的には次の通り。

・サラダ……海藻サラダは含まれない。

・コロッケ……生も含む。冷凍食品は含まない。

・カツレツ……トンカツ、ビーフカツ、チキンかつ、一口かつ、ささみフライなど。肉に限り、生も含む。冷凍食品は含まない。

・天ぷら・フライ……一般の天ぷら、くしカツ、ポテトフライ、ハムカツやメンチカツ(コロッケとは別物であることに注意)、フレンチドッグやアメリカンドッグ、から揚げを含む。生も含むが冷凍食品は含まない。

・やきとり……つくね、レバー、はつも含む。生も含む。冷凍食品は含まない。

・冷凍調理食品……各種調理食品の冷凍品。

・そうざい材料セット……夕食材料セット、ファミリーセット、おでんや鍋料理の材料セット。店頭売り、宅配を問わない。

・他の調理食品のその他……肉のつくだ煮、焼肉、焼き豚、焼きフランクフルト、魚の照り焼き、きんぴら、各種料理の素(釜飯の素など)レトルト食品、チルド食品、各種缶詰など(中身の主成分が魚介類または肉類である缶詰や瓶詰は含まれない)。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項のない限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項のない限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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