なぜ鎌田大地は「ラストチャンス」を逃した“異物”に? 「素晴らしい才能」と惜しむ声も
鎌田大地のイタリア・セリエAでの挑戦は、長く続かないのか。
12月5日、鎌田が所属するラツィオは、コッパ・イタリアのラウンド16でジェノアに1-0で勝利した。鎌田は公式戦3試合ぶりに先発出場。81分までプレーしている。
■鎌田大地は“崖っぷち”寸前
この3カ月、鎌田が苦しんできたのは周知のとおりだ。
セリエAでは開幕から4試合で先発出場したが、第3節ナポリ戦で決勝点をあげた以外は大きなインパクトを残せず。以降はベンチスタートが続いている。ルイス・アルベルトとの共存がうまくいかず、その控えに甘んじている状況だ。
そのルイス・アルベルトが出場停止だった11月25日のサレルニターナ戦は、久しぶりの先発出場で期待された。だが、やはり好印象を残すには至らず。「亡霊」「空回り」などとこき下ろされた。
チャンピオンズリーグでも立場は厳しくなっている。開幕から2試合は先発出場したが、第3節は出番なし。第4節は先発に復帰したが、後半早々に交代となった。サレルニターナ戦を経て迎えた前節はベンチスタート。ルイス・アルベルトのアクシデントで終盤に投入されている。
同じくルイス・アルベルトの負傷で途中出場したリーグ前節も、印象的な仕事に至らず。及第点評価もあった一方で、大手紙『La Gazzetta dello Sport』からはチームワーストに選出された。
それだけに、再び先発出場したジェノア戦は、巻き返しが期待される試合だった。ジェノアにはリーグ戦で手痛い黒星を喫している。リベンジに貢献すれば、事態を好転させられるかもしれない。
実際、試合前には、「納得させるためのラストチャンス」(『calciomercato.com』)、「重大なチャンス」(ラツィオ専門サイト『cittaceleste』)と報じられていた。
『cittaceleste』は、鎌田の現状を「崖っぷち」に近いと表現。延長オプションつき1年という契約状況からも、「未来に関して疑問を抱くのは当然」と警鐘を鳴らしていたほどだ。
■鎌田大地、コッパ・イタリアでの評価は?
しかし、リベンジはならなかった。
サレルニターナ戦と違い、チーム全体はボール回しが改善された。だが、鎌田と周囲の連係は変わらず。本人の意図は分からないが、トランジションの遅さなど、印象が悪くなる場面も散見された。
光った場面もある。得点には至らなかったが、最後に鎌田はチーロ・インモービレに惜しい縦パスを出して好機を演出した。ただ、全般的には目立てず、評価は芳しくない。及第点に満たない採点が相次ぎ、中には4点台もある。
寸評でも厳しい表現が見られ、中でもラツィオ専門サイト『La Lazio Siamo Noi』(採点5.5)の「溶け込むのに苦しむ異物のよう」との表現は、日本の報道で目にした方も多いだろう。
ただ、一部メディアからは、ひとりの選手としての鎌田大地を評価していることもうかがえる。『calciomercato.com』は採点に「多くをやるだけの力を持つ」と添え、『cittaceleste』もこう報じた。
「残念。素晴らしい技術的才能を持つが、ラツィオの戦術的必要性とは合わない様子だからだ」
■なぜ鎌田大地は苦戦が続いているのか?
『cittaceleste』は、鎌田に対して厳しめに採点することが少なくないメディアだ。一方で、選手として一定の評価もしてきた。ジェノア戦翌日の6日も、鎌田が「ワーストのひとり」と指摘しつつ、「ダイチに提供できることが何もないとは考えにくい」と評している。
だからこそ、『cittaceleste』は、なぜ鎌田が苦しんでいるのかが分からないようだ。
「イタリアサッカーにおける困難なのか? 適応の問題なのか? 自信の欠如なのか? この疑問に答えるのは難しい」
いずれにしても、現状が続けば、別れを巡る雑音が強まるのは確かだろう。
『cittaceleste』は「必要なのは流れを変え、異なるシグナルを発すること」と指摘。アジアカップ開幕が近づき、契約状況もあって、「ラツィオでの未来を勝ち取りたければ、これまで以上にそれを示さなければならない」と伝えた。
鎌田とラツィオの“結婚生活”は、立て直せるものなのか。冷めた関係で当面続けるのか。それとも、見限って各々が新たな道へ進むのか。冬の移籍市場開幕まで1カ月を切った。決断に注目だ。