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一歩ずつ前進!梅野隆太郎と植田海(阪神タイガース)

土井麻由実フリーアナウンサー、フリーライター
鳴尾浜球場でウォーキングをする梅野隆太郎と植田海

■着脱可能な装具に

 試合が終わるとチームメイトや球団公式の投稿を、祝福の言葉を添えて自身のインスタグラムにアップする。

 「なかなか会えないしね。それくらいしかできないから」。

 阪神タイガース梅野隆太郎選手はその心境をつぶやく。“戦場”にはいなくとも、心はともにあるのだと感じさせる。

 8月13日に左手首(尺骨)に死球を受け、現在はリハビリに励む毎日だが、昨日9月12日、病院での検診を済ませて鳴尾浜球場に到着した梅野選手の左手に、ある変化があった。白いギプスから着脱可能な黒い装具に変わっていたのだ。

 「全然、楽やし。外せるから。しかもオーダーやけんね」。

 樹脂を流し込んでカットするという、梅野選手の腕に合わせて作られたオーダーメイドの装具だそうだ。

着脱可能な装具を着けて軽快にダッシュする梅野隆太郎
着脱可能な装具を着けて軽快にダッシュする梅野隆太郎

■徐々に可動域を広げていく

 負傷直後は首から三角巾のようなもので吊って、左腕はガッチリと完全固定されていた。2週間後に検査して短いギプスに付け替わったが、肘の固定から解放された当初は、肘を支点に前腕を下げるときが「めちゃくちゃ痛かったけん」と振り返る。

 これは折れた箇所の痛みではない。固定期間が長く続くと人の体は固まってしまい、固定を外して動かしたときに痛みが出るのだという。使っていないと、そんなにも早く機能が落ちるものなのか…。

 そしてまた2週間が経過し、レントゲンを撮ってゴーサインが出て、今回の装具に移行した。

 「今はこれ以上いかないから、ここからちょっとずつ上げて…」。

 手首を反らせて甲を立てる動きをして見せる。ミットをつけてキャッチングするために必要な可動域だ。痛みを我慢しながら、徐々に可動域を広げていきたいと表情を引き締める。

 現在は「投げても(患部に)響かないですよ。ショートスローぐらいの感じで、力はピュッとは入れている。指先の感覚だけ鈍らないように」と、できる範囲でスローイングは行っている。肩は今後、徐々に馴らしていくという。

以前のギプス
以前のギプス

■仮骨(かこつ)ができてきた

 骨折した箇所は「仮骨ができてきている。仮骨って、なんか餅みたいな柔らかいやつらしいんです。それが固まっていく」と説明する。

 「仮骨」とは、骨折初期の炎症のあとの修復期に形成される、折れた骨の代わりに新たにできる未熟な骨組織のことだ。最初は強度も弱く不安定だが、段々と石灰化して強くなる。

 「まだ強い負荷をかけたりはできないけど、(装具が)取り外しできる状態になったんで、ちょっとずつやっていく」。

 重いものを押すという動きはまだ難しいが、ゆっくり引くことはできるなど、できることとできないことがあるが、日々状態を確認しながら、できることに取り組んでいく。

 「あとは自分のペースというか、無理しない程度に」。先に進んでいけそうなのは、順調にきているという証しだ。

■梅ちゃんの回復力に期待

 チームはここへきて連勝を重ね、とてつもないスピードで優勝に向かっている。

 「もちろん試合は最後まで見ている。見ることしかできないからね。ここっていうところでピッチャーにも打者にも『抑えてくれ』『打ってくれ』と思う気持ちはある。これだけ早いペースで連勝が続きながら、チームの気の緩みもなくね。絶対にモチベーションも高いだろうし、1試合でも早く優勝したいしね」。

 その場にいられない歯がゆさは、当然あるだろう。しかし離脱するまでのチームを支えてきたのは、間違いなく正捕手である梅野選手だ。

 「今までやってきたのが自分の無駄じゃなかったというような結果で終わりたいし、それは変わらないから」。

 まだ先のメドは立ってはいないが、梅野選手の回復力に期待して復帰を待ちたい。

ダッシュ
ダッシュ

■植田海はスパイクを履くところまで復活

 また、右脚のケガからの復活を期す植田海選手も、順調にリハビリを行っている。

 8月10日の試合前練習を開始してすぐ、「急にブチッときた。きゅるんってなった」と、ふくらはぎ内側の筋肉を傷めた瞬間の様子を、独特の“海語”で説明する。

 負傷当初は歩くことも困難だったが、ウォーキングを経て、すでにランニングシューズでのダッシュは「100%」だと言いきる。そして今日13日、負傷後初のスパイクを履く。

 「走るのは大丈夫ですけど、切り返しとかちょっとまだ怖いから、どうかなって感じです」。

 室内練習場でのバッティングも再開しており、スパイクを履いて問題なければ守備にも入れる。

 植田選手本人の見通しとしては、「早かったら来週くらいですかね、試合に出るのは」と話す。再発だけはしないよう慎重に進めながらも、一日も早い復帰を目指す。

 「ここまであんまり貢献してないですよ。(試合に)出てるのは少ないし」と謙虚に話すが、ここからさらに貢献したいという思いは「もちろんあります!」と力を込める。

 短期決戦になれば、ここぞという場面での「足」は非常に重要度を増す。チーム一の韋駄天・植田海の復活が待たれる。

順調な回復に笑みがこぼれる植田海
順調な回復に笑みがこぼれる植田海

■【追記 9月13日の練習】

 前日に“予告”したとおり、この日はランニングシューズでウォーキングと軽くダッシュをしたあと、スパイクに履き替えてライト後方の走路に向かった。

 「7割くらいで」何本かダッシュをし、切り返しの動きも何度か繰り返していた。初日なので軽めの確認程度だったが、「明日はもうちょい上げて」とトレーナーとも相談しながら、徐々に強度を上げていく予定だ。

 その後、スパイクを履いたままキャッチボール、そしてゴロ捕も行った。「正面だけ(の打球)で軽めのやつです」とは言うものの、かなり前進した。近々、守備練習にも入れそうだ。

走路にて、スパイクを履いてのダッシュ
走路にて、スパイクを履いてのダッシュ

 前日に「早ければ来週、試合に」とも話していたが、それも「今週次第ですね」とのことで、順調にいけば最短で かないそうだ。遅くとも9月中には間違いなく実戦復帰できるだろう。

 軽快な動きに期待は高まる。

スパイクを履いていることを確認!
スパイクを履いていることを確認!

(撮影はすべて筆者)

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フリーアナウンサー、フリーライター

CS放送「GAORA」「スカイA」の阪神タイガース野球中継番組「Tigersーai」で、ベンチリポーターとして携わったゲームは1000試合近く。2005年の阪神優勝時にはビールかけインタビューも!イベントやパーティーでのプロ野球選手、OBとのトークショーは数100本。サンケイスポーツで阪神タイガース関連のコラム「SMILE♡TIGERS」を連載中。かつては阪神タイガースの公式ホームページや公式携帯サイト、阪神電鉄の機関紙でも執筆。マイクでペンで、硬軟織り交ぜた熱い熱い情報を伝えています!!

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