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ジャッジの「リーグ最速10本塁打」は2度目。5年前はシーズン52本でタイトル獲得

宇根夏樹ベースボール・ライター
アーロン・ジャッジ(ニューヨーク・ヤンキース)May 10, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 5月10日、アーロン・ジャッジ(ニューヨーク・ヤンキース)は、2点ビハインドの9回裏、1死一、二塁からホームランを打ち、試合を終わらせた(写真)。サヨナラ本塁打はキャリア初。それまでの167本塁打のうち、7本は9回以降に打っているが、それらはどれもアウェーの試合だった。

 また、このホームランにより、ジャッジのシーズン本塁打は10本となった。両リーグとも、二桁に達している選手は、他にはいない。

 5年前にも、ジャッジはア・リーグ最速の二桁本塁打を記録している。この年、ナ・リーグでは、エリック・テームズライアン・ジマーマンが、ジャッジの前に10本目のホームランを打ったが、ア・リーグでは、ジャッジとクリス・デービス(イニシャルK)が一番乗りだった(この記事では、同じ日に二桁到達は同着と看做している)。ジャッジは、シーズン全体で52本のホームランを打ち、本塁打王を獲得した。新人王を受賞し、MVP投票ではホゼ・アルトゥーベ(ヒューストン・アストロズ)に次ぐ2位にランクインした。ちなみに、ナ・リーグの本塁打王とMVPは、現在のジャッジのチームメイト、当時はマイアミ・マーリンズにいたジャンカルロ・スタントンだ。こちらの10本目は、ジャッジより8日遅かったものの、59本塁打を記録した。

 スタントンの例からもわかるように、リーグ最速10本塁打と本塁打王は、直結していない。また、過去5シーズン(2017~21年)に、10本目のホームランがリーグ最速だった選手のうち、本塁打王となったのは、2017年のジャッジしかいない。

筆者作成
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 今シーズンも、ジャッジは独走しているわけではない。アンソニー・リゾー(ヤンキース)、バイロン・バクストン(ミネソタ・ツインズ)、マイク・トラウト(ロサンゼルス・エンジェルス)は、3人とも9本塁打を記録している。彼らを含め、ジャッジと5本差未満の選手は14人を数え、そのなかには、スタントンやブラディミール・ゲレーロJr.(トロント・ブルージェイズ)、大谷翔平(エンジェルス)もいる。

 ただ、ジャッジがシーズンを通して健康を維持すれば、2度目の本塁打王を獲得しても不思議ではない。2018~20年の3シーズンは、いずれも30%以上の試合に欠場し、各シーズンのホームランは、27本、27本、9本にとどまった。39本塁打の昨シーズンも、故障者リスト入りは皆無ではなく、162試合中14試合(8.6%)は出場しなかった。

 今シーズンが終わると、ジャッジはFAになる。開幕直後に「ジャッジはヤンキースを去るのか。7年2億1350万ドルの申し出を却下。今シーズン終了後にFA」で書いたように、ヤンキースと行っていた契約延長の交渉はまとまらなかった。FA市場に出た後、ヤンキースに戻るのか、他球団へ移るのかはわからないが、今シーズンの健康状態と成績は、新たな契約の内容に関わってくる。

 なお、ナ・リーグの本塁打トップは、9本のC.J.クロン(コロラド・ロッキーズ)だ。8本のウィリー・アダメス(ミルウォーキー・ブルワーズ)がそれに次ぎ、3位には7本の6人が並んでいる。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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