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防御率1位にいるのは、最も与四球の多い投手。このままいくと史上初の椿事!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
ブレイク・スネル(サンディエゴ・パドレス)Jul 25, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 7月25日、ブレイク・スネル(サンディエゴ・パドレス)は、6イニングを投げ、5人を四球で歩かせたものの、ヒットは2本しか打たれず、1失点(自責点1)にとどめて白星を手にした。

 この登板を含め、スネルのシーズン防御率は2.61。チームの試合数×1.0イニング以上を投げている投手のなかで、最も低い。ナ・リーグだけでなく、ア・リーグを含めても1位だ。

 一方、スネルの64与四球は、誰よりも多い。それに次ぐのは、マイケル・コペック(シカゴ・ホワイトソックス)の58与四球だ。

 オプタ・スタッツによると、防御率が公式記録となった1913年以降、シーズンが終わった時点の防御率が両リーグで最も低く(規定投球回以上)、なおかつ、与四球が最も多かった投手は、いないという。

 両リーグ1位の防御率と最多の与四球ではなく、ナ・リーグあるいはア・リーグ1位の防御率と最多の与四球であれば、皆無ではない。

 もっとも、こちらも、ごくわずかだ。1900年以降を調べたところ、各リーグに1人ずつしか見つからなかった。ナ・リーグは1959年に防御率2.83と109与四球のサム・ジョーンズ、ア・リーグは1965年に防御率2.18と132与四球のサム・マクダウェルがそうだ。

 現時点のスネルは、与四球率5.05も両リーグ・ワーストに位置する。1959年にジョーンズが記録した与四球率3.62は、ナ・リーグ・ワースト4位。1965年のマクダウェルの与四球率4.35は、ア・リーグ・ワースト5位だ。

 5年前、タンパベイ・レイズで投げていたスネルは、ア・リーグ・ベストの防御率1.89を記録し、サイ・ヤング賞を受賞した。このシーズンの64与四球は、多いほうから数えてア・リーグ11位。与四球率3.19は、ア・リーグ・ワースト7位だった。

 なお、スネルが規定投球回に達したシーズンは、5年前の1度だけ。短縮シーズンの2020年も、規定投球回未満の50.0イニングだ。180.2イニングの2018年以外は、メジャーリーグで130イニング以上を投げたことがない。今シーズンは、ここまで、114.0イニングだ。

 スネルについては、今月中旬にこちらでも書いた。

「このサイ・ヤング賞投手はトレード市場の主役になる!? ここ10登板の防御率は0.62」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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