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海上自衛隊の新潜水艦「とうりゅう」就役 そうりゅう型最終艦 横須賀に配備

高橋浩祐米外交・安全保障専門オンライン誌「ディプロマット」東京特派員
3月24日に就役したそうりゅう型12番艦「とうりゅう」(海自公式ツイッターから)

海上自衛隊の新潜水艦「とうりゅう」が3月24日、就役した。兵庫県神戸市の川崎重工業神戸工場で同日、引き渡し式と自衛艦旗授与式があった。同工場で建造された潜水艦はとうりゅうで戦後29隻目。とうりゅうは日本の主力潜水艦「そうりゅう型」最終艦の12番艦で、横須賀基地第2潜水隊群第6潜水隊に配備される。

とうりゅうはGSユアサが開発したリチウムイオン蓄電池を搭載する。リチウムイオン蓄電池搭載の通常動力型潜水艦としては、そうりゅう型11番艦のおうりゅう(2020年3月に就役)に続き、とうりゅうが2隻目となる。リチウムイオン電池技術を採用し、ディーゼルエンジンを使う通常動力型潜水艦は、日本が世界で初めてだ。ディーゼルエンジンを動かして発電した電気をリチウムイオン電池に蓄電できることから、潜航時間を大幅に延ばすことができる。

とうりゅうは基準排水量2950トン、全長84メートル、全幅9.1メートル、喫水10.3メートルで、水中速力は約20ノット。乗員は約65人。建造費は約690億円。2017年1月に起工され、2019年11月に進水した。主機関に川崎12V25/25SB型ディーゼル機関2基を採用している。

●そうりゅう型は艦尾舵がX字型

そうりゅう型は低振動で静粛性に優れ、世界有数の高性能艦として知られている。前級のおやしお型は艦尾舵が十字型だったが、そうりゅう型からはX字型になった。X舵は水中運動性能に優れ、着底しても舵の損傷が少ないとされる。

2020年10月には、とうりゅうの後継艦で、ソーナーの改良により探知能力などが向上した最新型の3000トン潜水艦たいげい型1番艦「たいげい」が進水した。たいげいは三菱重工業神戸造船所で艤装工事や性能試験を実施中で、2022年3月に海上自衛隊に引き渡される。日本の潜水艦は三菱重工業神戸造船所と川崎重工業神戸工場が隔年で交互に建造している。

海上自衛隊は現在、就役したばかりのとうりゅうを含め、そうりゅう型12隻とおやしお型11隻を保有している。ただし、おやしお型のネームシップ1番艦の「おやしお」と2番艦の「みちしお」はすでに練習潜水艦として運用されている。来年3月のたいげいの就役をもって防衛省・海上自衛隊は2018年12月の防衛大綱でも定められた潜水艦22隻体制(=そうりゅう型12隻+おやしお型9隻+たいげい型1隻)を確立する予定だ。海自の潜水艦の増勢には中国の著しい海洋進出が念頭にある。

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米外交・安全保障専門オンライン誌「ディプロマット」東京特派員

英軍事週刊誌「ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー」前東京特派員。コリアタウンがある川崎市川崎区桜本の出身。令和元年度内閣府主催「世界青年の船」日本ナショナルリーダー。米ボルチモア市民栄誉賞受賞。ハフポスト日本版元編集長。元日経CNBCコメンテーター。1993年慶応大学経済学部卒、2004年米コロンビア大学大学院ジャーナリズムスクールとSIPA(国際公共政策大学院)を修了。朝日新聞やアジアタイムズ、ブルームバーグで記者を務める。NK NewsやNikkei Asia、Naval News、東洋経済、週刊文春、論座、英紙ガーディアン、シンガポール紙ストレーツ・タイムズ等に記事掲載。

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