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200年に一人の天才ボクサーが語る「村田諒太はGGGにもカネロにも勝てる!」

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
撮影:山口裕朗

 現役時代、所属していた協栄ジムの会長、故金平正紀に「具志堅用高を超える逸材。200年に一人の天才」と絶賛された元WBAジュニアウエルター級1位、日本同級&日本ウエルター級王者の亀田昭雄。

 本シリーズでお馴染みの彼が、村田諒太が5回KOでスティーブン・バトラーを下した一戦について語った。

撮影:山口裕朗
撮影:山口裕朗

 昨夜の防衛戦は、KOに至るまでのまとめ方が良かったです。ラストパンチは、左フックのショートでしたね。村田は右のパンチに自信があるから、それに頼りすぎるきらいがありましたが、連打で仕留めたのは非常に成長を感じさせました。

 僕はこれまで、村田が相手を見過ぎてしまうところに不安を覚えていましたが、ロブ・ブラントとの第2戦と、今回で克服しましたね。手数も多くなりました。

撮影:山口裕朗
撮影:山口裕朗

 ただ、WBO1位とはいえ、スティーブン・バトラーの実力は村田よりもかなり下でした。7月のロブ・ブラントとの再戦の方が、村田らしさが出ていたんじゃないかな。あの試合の村田は「ここで負けたら終わり」という気持ちだったでしょう。鬼気迫るものを感じましたよ。

撮影:山口裕朗
撮影:山口裕朗

 敢えて苦言を呈するなら7月のファイトのように、もっと強引な攻めが見たかったです。村田は頭がいい選手ですから、1〜2Rで相手の力量やパンチの軌道を計れますよ。だから、そこで自分のペースに持って行って、3Rくらいで仕留められたんじゃないかなと。もっとバンバンいっても良かったんじゃないかな。あるいは、変則的な動きをする選手だったら、苦戦したかもしれません。

 

撮影:山口裕朗
撮影:山口裕朗

 試合後、ボブ・アラムが東京五輪開幕前に、BIG NAMEとの対戦を組むと話したんですよね。村田が、ゴロフキンやカネロ・アルバレスとやるというのは非常に楽しみです。是非、実現してもらいたい。追い込まれた状態の村田は、素晴らしいですから。

撮影:山口裕朗
撮影:山口裕朗

 村田はギリギリのところまで自分を作るでしょう。NEXT STAGEの彼。GGGやカネロについては、概に映像等で学んで戦いをイメージしているでしょうし、対策を十二分にした村田は計り知れないものを持っています。ブラントとの2戦目以上の村田諒太になれると思います。

撮影:山口裕朗
撮影:山口裕朗

 僕が何かアドバイスするとしたら、1発1発強打を見舞うよりも、もっと強弱を入れたコンビネーションも使え、ということ。そして、打ち終わった後ですね。パンチを放った後、ウェービングを多用して欲しいです。72.5kgのミドル級ともなれば、1発食らったら試合が決まりますから。

 強い相手との試合に向け、己を磨き上げる村田に心から期待します!

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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