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W杯ベスト8へ、チーム一丸~ラグビー7人制、サクラセブンズ

松瀬学ノンフィクション作家(日体大教授)
新しくなったジャージーを着た男女セブンズのW杯メンバー(撮影:筆者)

 日本ラグビー協会は8日、7人制ワールドカップ(W杯=20~22日・米サンフランシスコ)に派遣する日本代表の男女各13人を発表した。愛称「サクラセブンズ」の女子セブンズ日本代表の目標はベスト8入り。稲田仁ヘッドコーチは「人とボールが常に動き続けるようなラグビーを見せたい。初戦のフランス戦にすべてをかける。キックオフの瞬間から100%」と“先手必勝”を誓った。

 現在開催中のサッカーのW杯では、健闘した日本代表がロッカールームをきれいにして帰ったことも称讃された。そのサッカーに触れ、稲田HCは言った。

 「やはりグラウンドでいいパフォーマンスをすることも大事ですが、グラウンドの外でも日本の良さというか、日本のプライドを見せられるよう、選手、スタッフ一丸となってやっていきたいと思います」

 サクラセブンズは前回2013年のW杯では全敗に終わった。16年リオデジャネイロ五輪では10位。ことしのワールドシリーズではコア(中核)チームからの降格が決まった。2020年東京五輪に向けての巻き返しを狙い、今大会の代表メンバーは若手、ベテランがバランスよく、選ばれた。稲田HCは「現時点でのベストメンバー。ワールドカップで強みを発揮できる選手を選考しました」と説明した。

 リオ五輪経験者が、闘将の中村知春(アルカス熊谷)ほか、大黒田裕芽、桑井亜乃、谷口令子(いずれもアルカス熊谷)。前回W杯のメンバーでもある中村主将は「現在地」をしっかり把握していると強調した。

 「(前回W杯では)私たち自身、世界の中でどこにいるのかわからないまま戦ったんですが、今回はチームがどこに位置しているのかがよくわかっている状況です。フランスとはたくさん戦ってきていますので、相手がどんなことをやってくるのか、どういったことが強みか弱みか、しっかり予測できます。目標達成のため、全力をかけて戦っていきたい」

 フレッシュな顔ぶれは、18歳の平野優芽、田中笑伊の日体大1年生コンビである。平野が「ラグビーを始めた時から日本代表になってワールドカップやオリンピックに出場することが夢でした。大きな舞台にメンバーとして出場することを本当にうれしく思います」と声を弾ませれば、田中も緊張気味にこう、言った。

 「このような大きな舞台に出場できるのはうれしいと思います。フランスは強い相手ですけど、自分の力を最初から出していきたい」

 逸材の大竹風美子(日体大)もラグビー歴は浅いが、運動能力は抜群。高校時代は陸上の7種競技で鳴らした。

 「ラグビーを始めてから、この1年と半年、すごくいい環境で育ててもらいました。その感謝の気持ちを込めて、自分の持ち味である“思い切り勝負する”というプレーを示したい」

 俊足の堤ほの花(日体大)も代表に復帰した。「感謝」を口にする。

 「この舞台に立てることをすごく感謝しています。メンバーに入ったからには、ベスト8の目標を達成するために自分自身精いっぱい努力して、全力を出したいと思っています」

 最終登録メンバー12人は渡米後に決定される。また今大会から、ノックダウン方式のトーナメント制が導入されることになった。

 この日は、今大会から変更される新ジャージーも披露された。デザインが変わり、サクラの花びらが12個、つけられている。特にセブンズはリザーブを含めた12人が一丸となって戦わないと勝てない。中村主将は言った。

 「サクラが前回から5つ増えまして、よりチーム力を意識させていただけるのかと思います」

 『打倒!フランス』。ベスト8進出に向け、まさにチーム一丸である。

ノンフィクション作家(日体大教授)

早稲田大学ではラグビー部に所属。卒業後、共同通信社で運動部記者として、プロ野球、大相撲、五輪などを担当。4年間、米NY勤務。02年に同社退社後、ノンフィクション作家に。1988年ソウル大会から2024年パリ大会までのすべての夏季五輪ほか、サッカー&ラグビーW杯、WBC、世界水泳などを現場取材。酒と平和をこよなく愛する人道主義者。日本文藝家協会会員。元ラグビーワールドカップ組織委員会広報戦略長、現・日本体育大学教授、ラグビー部部長。著書は近著の『まっちゃん部長ワクワク日記』(論創社)ほか『荒ぶるタックルマンの青春ノート』『汚れた金メダル』『なぜ、東京五輪招致は成功したのか』など多数。

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