元衆院議員、杉村太蔵氏「僕は『日本を変えない』」発言の大きな違和感 社会問題への認識力が欠如してる?
2024年10月27日朝、元衆議院議員の杉村太蔵氏がX(旧ツイッター)でトレンド入りをしていた。杉村氏と言えば2005年の郵政解散を受けて行われた衆議院総選挙で、比例南関東ブロックから35位で出馬し、自民党圧勝という追い風に乗って小泉チルドレンの一人として当選を果たした人物だ。当選直後のメディアのインタビューでは「早く料亭に行ってみたい」「真っ先に調べたのは国会議員の給料。2500万円ですよ」「念願のBMWが買える」など、自由奔放な発言を繰り返し物議をかもした。衆議院議員としては1期のみで活動を終え、その後は「薄口政治評論家」としてテレビの情報番組などでタレントとして活躍していた。
そんな杉村氏は10月26日に放送された読売テレビ「今田耕司のネタバレMTG」に出演。この番組は選挙前日の放送ということもあり、出演者で若者が選挙に行かない理由を考察した。杉村氏は「あなたの一票で日本を変えられる」という考えに対し、「あなたの一票で日本が変わる。そんなわけはない!」と持論を展開し、スタジオをざわつかせた。これが発端となり、この時の番組の動画がX上で拡散され、さらに各スポーツ紙などが報じたことでトレンド入りする騒ぎとなっていたようだ。
さらに杉村氏は、番組内で「僕は『日本を変えない』がキャッチフレーズ。今の日本は素晴らしい国。僕自身は何の不満もない。今の日本は完璧。何ひとつ変えたいところがない」と強調した。その背景として、児童手当が増えたこと、子育て支援も増えたこと、待機児童もどんどん減ったことを理由に挙げ「僕からすれば十分」と発言していた。この発言については、杉村氏個人の生活面だけを切り取って考えれば、十分なのかもしれないが、仮にも政治評論家としてメディアで活動する元衆議院議員の発言としてはいかがなものであろうか。
杉村氏は、北海道旭川市の出身であるが、そんな杉村氏の出身地の北海道では交通の問題だけを切り取っても課題が多い。例えば、昨今、加速している鉄道路線の廃止に加えて、バスドライバー不足の問題が表面化したことから各地で交通崩壊が進んでいる。このほか、北海道で生産された農産物を本州方面に出荷する貨物列車の運行についても、鉄道路線の廃止が進んでいる中でトラックドライバー不足の問題も重なり、災害時の貨物列車の代替輸送の確保など多くの課題を抱えている。特に貨物列車の物流問題は、日本の食料安全保障にも直結しかねない問題だ。こうした状況があるにもかかわらず「僕自身は何の不満もない。今の日本は完璧。何ひとつ変えたいところがない」と主張するのは、社会問題に対する認識の欠如の表れではないだろうか。
(了)