新型コロナウイルスの潜伏期間は24日の可能性?
新型コロナウイルスをめぐり、中国で臨床に当たっている医師らによる研究が最新の論文で発表された。その中で、同ウイルスの潜伏期間の範囲を24日までとするデータが使われていることが明らかになった。
WHO・世界保健機関は、現時点で潜伏期間は長くて12.5日としているが、潜伏期間に対する認識を改める必要が生じるかもしれない。
専門家による検証はされていないものの...
「中国の2019年新型コロナウイルス感染の臨床特徴」と題する論文は、健康科学などに関する研究を共有するサイトmedRxivに発表された。このサイトは、専門家による検証を経る前の研究や論文を共有する場ではあるものの、今回の論文は、新型コロナウイルスに対する中国衛生当局の専門家委員会のトップを務める鐘南山氏が執筆者として名を連ねている。
同論文にまとめられた研究は、1月29日までに552の病院から得られた1099人の感染確認患者のデータを基にしている。
研究では、新型コロナウイルスの潜伏期間の中央値は3日としている。同時に潜伏期間の範囲を0日から24日としており、潜伏期間が24日に達した症例があったことを示唆している。
多発する症状は発熱と咳
同研究は、他にも以下のような分析を示している。
患者の中で、野生動物と直接接触した人は13人。割合では僅か1.18パーセントに過ぎなかった。
患者の中で、最もよく見られた症状は発熱。発熱は患者の87.9パーセントにみられた。ただ診察時点で症状があったのは、その半数に満たなかった。
発熱に次いでよく見られた症状は咳。患者の67.7パーセントに症状が見られた。
下痢や嘔吐の症状を示した患者は少なかった。
患者が入院中に最もよく見られた併発症は肺炎。79.1パーセントにのぼった。
患者の82.1パーセントにリンパ球の減少、36.2パーセントに血小板の減少が見られた。
新型コロナウイルスの潜伏期間を最長で24日と見るかどうかについて、現時点で中国政府やWHO・世界保健機関が正式に認定したわけではない。WHOは潜伏期間を1日から12.5日としているが、実際にはそれより長い例があった可能性がある。
その扱いについては、専門家による検証を経る必要があるだろうが、中国の医師らによる研究で、そのようなデータが使用されている事実には留意したい。