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NGなのに犬猫を毎日シャンプーする人も… 2割超が飼育方法を調べずに飼い始める実態

石井万寿美まねき猫ホスピタル院長 獣医師
(写真:GYRO PHOTOGRAPHY/アフロイメージマート)

今年は、コロナ禍で私たちの生活が一変しました。

3密を回避するようにといわれて、人との距離感を感じる時代になりました。そのため、人はペットに「癒し」を求めるようになりペットブームが起きています。動物好きの筆者からすれば、犬や猫を飼う人が増えて、同じ思いを共有できて嬉しいです。その反面、新しく飼い始めた方と話をしていても、何か違和感があったのです。その違和感の正体について紹介する調査結果を見て腹落ちした気がしました。

それは、ペットを飼い始める・飼うことを検討する中で、飼い方・育て方について「調べたことがない」と回答した人は2割超ということです。

今回は、ペットを初めて飼う人のやりがちなNG行為などを解説します。

衝撃のデータ 飼い始めるときに調べたことがないが2割超

筆者は、毎日、犬や猫の診察をしています。その子の命は、かけがえのないもの、取り換えのきかないものと思っています。たとえば、がんの子を手術するときも、その子の命を救うため、そして元気で長生きしてほしいのでするわけです。決して、その手術がうまくいかないと、他の子を飼ってもらえばいいわ、などとは思わないのです。しかし、以下のようなアンケートの結果が出ています。

クロス・マーケティング(東京)は、全国20歳~69歳の男女1,100人を対象に「ペットに関する調査(2020年)」を実施(11月27日~28日、インターネット調査)。全体の約1割(88人)が、政府の緊急事態宣言が発令された4月以降にペットを飼い始めたり飼うことを検討していたりした。

 (略)

きっかけは、「癒やされる」(42.0%)、「以前から飼いたかった」(31.8%)、「動物が好き」(25.0%)が3トップ。また、「ペット動画を見て欲しくなった」(20.5%)、「コロナ禍で家にいる割合が増えた」(11.4%)など、在宅時間が増えたことによる影響もうかがえた。  

一方、ペットを飼い始める・飼うことを検討する中で、飼い方・育て方について「詳しく調べたことがある」と回答した人は4割に満たなかった。「簡単に調べたことがある」が42.0%、そして、「調べたことがない」人が2割超存在した。

コロナ禍のペット需要 癒やしを求めても2割は飼い方・育て方調べず 

クロス・マーケット ペットに関する調査(2020年) より
クロス・マーケット ペットに関する調査(2020年) より

つまりペットを飼い始めるときに、詳しく調べたことがあるが約4割で、調べたことはないは約2割もいたということなのです。

SNSで動画や写真を見たからというだけで飼い始めた人がいるわけなのです。

そういう人は、取りあえずペットを購入して、なにかあれば、ネットで調べればどうにかなると思っているのです。

なにかあったときに、やってはいけないことを知らないと子猫や子犬は特に弱いので命にかかわることもあるのです。

次は、初心者がやりがちな飼い始めのNG行為についてみていきましょう。

初心者がやりがちなNG行為とは?

念願のペットと暮らし初めた人がやりがちなNG行為をみていきましょう。

・毎日、シャンプーする

写真:アフロ

初めてペットを飼うとニオイが気になり、毎日、シャンプーする人もいます。

どの犬や猫も毎日、シャンプーすると弱ります。特に、子犬や子猫は、免疫力が弱いので、それが引き金になり、病気になったりもします。シャンプーしていいかどうかは、ワクチン接種のときに、獣医師に尋ねましょう。

・寝かさない。

写真:PantherMedia/イメージマート

待望の子猫や子犬が来て、嬉しくて仕方がないので、ずっと遊んで寝かせない人もいます。生後2カ月を過ぎた頃は、母体免疫が切れる時期です。それで、病気にかかりやすいので、しっかり睡眠を取らせましょう。

・ワクチン接種の前に外に連れて歩く 散歩に連れていく

写真:PantherMedia/イメージマート

かわいいので、ついつい誰かに見せて自慢したいという人は多いです。それで、カバンなどに入れて連れて歩く人がいます。

ワクチン接種が終わっていないと外に連れて行ったり、散歩させたりするのはよくないです。感染症にかかるかもしれないのです。

・無制限に食べさせる

写真:PantherMedia/イメージマート

ペットは基本的にフードをいくらでも欲しがる子が多く、大きくなってほしいので、無制限に食べさせる人がいます。そういうことをすると、消化器系の疾患になります。ひどくなると命にかかわります。

フードの種類、ペットの体重、月齢によって適量は違うので、フードをよく見てあげましょう。

このようなことは、最低限常識として持っておいてからペットを迎えてくださいね。

まとめ

写真:IngramPublishing/イメージマート

私たちは、スマホを使い初めて分厚い本のトリセツというものを読む習慣がだんだんと薄れていきました。スマホを使っていて、なにかわからないことが起こると、検索をして、解決するというように生活様式が変化していったのです。

そのような生活をしているので、ペットの購入もかわいいので、取りあえず購入してみて、なにか困ったことがあれば、検索をすればいいわ、と思っている人も現れているのでしょう。

でも、毎日、シャンプーやあまり寝かさないことがNG行為だと知らずに、なんか元気がないな、と思って検索したら、やっていけないことだと初めて知るのです。

それらを全て辞めたら、元気になればいいのですが、ペットの場合は、命の危険にさらすことになるのです。

つまり飼い主が、よく知らないばかりに、やってしまった行為が、ペットの命を奪うこともあるのです。

ペットを飼うことは、当然ですが、洋服や靴を買うのとは、違うのです。科学的に正しい知識を持っていないと、はかなく命を落とします。そのために、自分が飼いたいペットのことを事前によく勉強してから購入してくださいね。

ちなみに、こちらの記事「ペットのクリスマスプレゼントは要注意! 12月に犬猫を飼うのが適切ではない理由とは?」で書いた通り、寒く、忙しいクリスマス、年末にペットを飼い始めることはあまりおすすめできません。

まねき猫ホスピタル院長 獣医師

大阪市生まれ。まねき猫ホスピタル院長、獣医師・作家。酪農学園大学大学院獣医研究科修了。大阪府守口市で開業。専門は食事療法をしながらがんの治療。その一方、新聞、雑誌で作家として活動。「動物のお医者さんになりたい(コスモヒルズ)」シリーズ「ますみ先生のにゃるほどジャーナル 動物のお医者さんの365日(青土社)」など著書多数。シニア犬と暮らしていた。

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