Yahoo!ニュース

ペットのクリスマスプレゼントは要注意! 12月に犬猫を飼うのが適切ではない理由とは?

石井万寿美まねき猫ホスピタル院長 獣医師
(写真:GYRO PHOTOGRAPHY/アフロイメージマート)

今年を振り返るとコロナ禍でしたね。3密にならないよう、人と距離を保つようにいわれています。そんな中、モフモフしている犬や猫と一緒に暮らしたいと思っている人も多いですね。いまやSNSでは癒やしの存在である犬や猫で溢れています。一人暮らしの方で一年がんばった自分のご褒美のために「家族として犬猫が欲しい」。あるいは、学校に行ってもストレスが多かった子どもたちのために、「クリスマスプレゼントとして、犬や猫を選びたい」と考えていませんか。でも、ちょっと待ってください。

「12月に犬や猫を飼い始めると、病気をしやすい」と言われているのをご存じですか? 今日は、そのことを考えていきましょう。

本当に12月に飼い始めると病気をしやすいか?

結論から言うと、答えは、12月に犬や猫を飼い始めると病気になりかねないリスク、デメリットがあるのです。主な理由は、以下の3つです。

・気温の問題

子犬や子猫は、体温調節する機能が、まだ十分に発達していないことが多いのです。そのため、生まれてしばらくの間は、母と兄弟と一緒にいますね。団子になって暮らしているのです。人の場合は、未熟児で生まれたら保育器に入っていますね。保育器は人の赤ちゃんの皮膚の温度が36~36.5になるように、そして適当な湿度が保たれているので、とっても快適なのです。子犬も子猫も元気のない子は、保育器に入れます。

12月は、寒い日もありますが、西日本を中心に平年よりは高い気温の状態が続いたりもします。そのため、暖房などをつけないご家庭もあるのです。それに、朝晩と昼間の温度差があり、微妙にその子犬や子猫にあった温度管理が難しいのです。ずっと寒い1月、2月は、しっかり暖房が点いています。地域差もありますが、12月は暖房がない時間もあるからです。

・飼い主が忙しい

『犬が教えてくれた ほんとうに大切なこと。』より 撮影筆者
『犬が教えてくれた ほんとうに大切なこと。』より 撮影筆者

師走になると、いつもより用事が増えますね。大掃除をしたり、年賀状を書いたり、お正月休みのために仕事が増えたりします。そして、クリスマスなどの用意などのために買い物に出かけたりします。そのため、新しい子犬や子猫が来てもどうしても目が届かないことがあるのです。そのときに、誤飲したり、電気のコードを噛んだりなどの事故が起こることがあるのです。

・年末年始に動物病院が休診のところが多い

『犬が教えてくれた ほんとうに大切なこと。』より 撮影筆者
『犬が教えてくれた ほんとうに大切なこと。』より 撮影筆者

年末年始は、動物病院は、長期に休むことが多いです。

クリスマスパーティーを家族でしていたら、チョコレートケーキを食べてしまう子犬などもいるわけです。急いで動物病院に連れていければ、事なきを得ることがあるかもしれません。しかし、かかりつけ医の病院が開いてないと、命にかかわることがあります。

それでも12月に犬や猫を迎えたい

12月に新しい犬や猫と暮らし始めると病気になりかねないリスクやデメリットがある、ということがわかってもどうしても飼いたいという人がいるかもしれません。そのときは、こんな環境なので、病気をしやすいということを知って、以下のことを特に気をつけてくださいね。

・留守をしない

家族がいる場合は、一緒に外出するのではなく、ひとりは留守番をして、犬や猫の様子を見ている人がいるようにしましょう。

・室温を温かく保つ

室温は飼い主に合わせるのではなく、子犬や子猫に合わせてあげましょうね。温度計を置いて、室温の管理をしましょう。

・年末でも開いている動物病院を確保する

かかりつけ医が診察を休んでいる場合は、年末でもやっている動物病院があるので、そこを探しておきましょう。かかりつけ医の中には、休みの日でも連絡があれば、診察をしてくれるところあるかもしれません。そのようなところを調べておきましょう。

まとめ

『ねこのずかん』より 撮影筆者
『ねこのずかん』より 撮影筆者

今年は、コロナ禍で自分のご褒美に、犬や猫を迎えたいと思っている人もいるでしょう。

上記のようにリスクが高い12月です。そのことをよく考慮して、行動してくださいね。クリスマスプレゼントでサプライズするために見た目で選ぶのではなく、家族で一緒に決めて、性格を見極めながら探す方がいいですね。できれば、12月ではなく、新年になってから平常に世の中が動き出した頃の方がベストです。

「なぜ、うちの子が病気になるの?」ではなく、この時期は、注意が必要な時期なのです。犬や猫は、衝動買いするのではなく、家族で話し合ってから飼い始めるようにしましょうね。いまは、ペットショップで購入するだけではなく、保護犬、保護猫からも里親になることができますので。

まねき猫ホスピタル院長 獣医師

大阪市生まれ。まねき猫ホスピタル院長、獣医師・作家。酪農学園大学大学院獣医研究科修了。大阪府守口市で開業。専門は食事療法をしながらがんの治療。その一方、新聞、雑誌で作家として活動。「動物のお医者さんになりたい(コスモヒルズ)」シリーズ「ますみ先生のにゃるほどジャーナル 動物のお医者さんの365日(青土社)」など著書多数。シニア犬と暮らしていた。

石井万寿美の最近の記事