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2億8000万ドルは安い!? 逃した大物2人に申し出た契約はそれよりも高額だった!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
ザンダー・ボガーツ Sep 24, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 サンディエゴ・パドレスは、今オフのFA市場に出た「遊撃手ビッグ4」の一人を手に入れた。ESPNのジェフ・パッサンらが、11年2億8000万ドルでザンダー・ボガーツと合意、と報じている。金額の内訳は、契約金の500万ドルと各シーズンの年俸2500万ドルだという。

 先月、「遊撃手に3年6000万ドルをオプト・アウトされた球団は、代わりに二塁手を探す!?」で書いたとおり、ボガーツは、ボストン・レッドソックスと交わしていた6年1億2000万ドルの契約を途中で打ち切り、FAとなった。

 11年2億8000万ドルは、大型契約だ。けれども、パドレスは、他のFAにもっと大きな契約を申し出ていたらしい。

 こちらも「遊撃手ビッグ4」のトレイ・ターナーは、フィラデルフィア・フィリーズと11年3億ドルの契約を交わした。ニューヨーク・ポストのジョン・ヘイマンは、パドレスがターナーに提示した契約は3億4200万ドルだった、と報じている。

 外野手のアーロン・ジャッジは、ニューヨーク・ヤンキースと9年3億6000万ドルの再契約を交わした。USAトゥデイのボブ・ナイテンゲールは、書面による正式なものではないが、パドレスは10年以上の契約で4億ドルを払うとジャッジに伝えた、と報じている。

 ターナーがパドレスに入団していれば、ボガーツを手に入れることはなかった。ジャッジがパドレスの申し出を受け入れた場合も、同じだったのではないだろうか。

 パドレスには、フェルナンド・タティースJr.ハソン・キムがいる。2人とも、遊撃手だ。今シーズンは、タティースJr.が故障と薬物違反でシーズン全休となり、キムが遊撃を守った。

 ボガーツの加入により、タティースJr.が外野へ移ることは、ほぼ確定した。キムは、控えに回るか、ジェイク・クローネンワースと二塁で併用されるだろう。

 また、ボガーツの契約総額は、現在のパドレスにいる選手のなかでもトップではなく、タティースJr.の14年3億4000万ドル(2021~34年)とマニー・マチャドの10年3億ドル(2019~28年)に次ぐ。

 来シーズン、パドレスのラインナップには――雨天順延がなければ、タティースJr.の出場停止処分が明ける、開幕21試合目の4月20日から――総額2億ドル以上の契約を持つ3人に、3億ドルどころか4億ドル以上の契約を得るはずのホアン・ソトが並ぶ。

 この夏、ソトは、ワシントン・ナショナルズからパドレスへ移籍した。トレードの前に、ジ・アスレティックのケン・ローゼンタールは、ナショナルズに申し出られた15年4億4000万ドルの延長契約をソトが拒否、と報じている。

 ただ、タティースJr.、マチャド、ボガーツ、ソトの4人が揃うのは、来シーズンだけかもしれない。ソトは、FAまであと2シーズンだが、マチャドは、来オフに契約を打ち切り、FA市場に出ることができる。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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