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博多ラーメンを代表する店に 創業10周年の『博多一双』が目指す独自の戦略とは?

山路力也フードジャーナリスト
「豚骨カプチーノ」の異名を取る『博多一双』のラーメン。

創業10周年を迎える『博多一双』

福岡市内に3店舗構える『博多一双』はどこも長い行列が出来る人気店。
福岡市内に3店舗構える『博多一双』はどこも長い行列が出来る人気店。

 豚骨ラーメンの聖地、福岡博多で人気を集めているラーメン店『博多一双』(運営:株式会社EVORISE/代表取締役:山田晶仁)が、2022年11月に創業10周年を迎える。2012年、博多駅東に創業以来、地に足をつけた着実な店舗展開を進め、10年間で福岡市内に3店舗を運営。どの店も連日行列を作る人気店となっている。

 白濁した豚骨ラーメンとして知られる博多ラーメンだが、そのスタイルは店ごとに異なる。数ある博多ラーメンの中でも『博多一双』は濃厚でパンチのあるタイプのラーメンで、特徴はなんと言ってもその豚骨スープ。スープの表面一杯に敷きつめられた細かな脂泡は「豚骨カプチーノ」と呼ばれ、まろやかなコクを生み出している。さらに熟成させたスープの香りと味わいは、一度食べたらクセになるというファンも少なくない。

 「ご当地ラーメンの中で、博多ラーメンが最強だと思っているんです。そして博多には美味しい豚骨ラーメンを出すお店がたくさんあります。そこで勝つためには『誰が食べても美味しいラーメン』を作るのはやめようって決めました。万人受けは狙わずに好きな人にだけ食べて貰えるラーメンを作る。自分たちの食べたいラーメンを貫こうと思ってブレずに10年やってきました」(博多一双店主 山田晶仁さん)

大手チェーン店とは異なる独自の戦略とは

『博多一双』店主の山田晶仁さん。今も時折店舗に入ってラーメンを作るという。
『博多一双』店主の山田晶仁さん。今も時折店舗に入ってラーメンを作るという。

 『博多一双』は博多駅東の本店のほかに、中洲と祇園に支店を構えている。市外や県外にも出ることもなく商業施設などにも入らず、3店舗とも本店と同じ博多区内の路面店。10年間で3店舗のみというのもかなりのスローペースだ。多店舗展開する人気ラーメン店が多い中で、『博多一双』の出店戦略はかなり独特だと言えるだろう。

 「展開が全てだとは思っていないんです。展開を考えるとどうしても効率化や合理化を考えなければなりませんが、手間隙をかけて手作りで作る僕たちのラーメンではそれが出来ません。そして博多には『一風堂』さんや『一蘭』さんなど、全国や世界に展開している人気店がいくつもありますが、会社の規模にしても全体の売り上げにしても勝負にはなりません。ならばとことん手作りにこだわって一軒一軒を強い店に育てて、その地域で他店と勝負出来るブランドにしていこうと考えているのです」(山田さん)

「豚骨カプチーノ」の異名を持つ『博多一双』のラーメン。
「豚骨カプチーノ」の異名を持つ『博多一双』のラーメン。

 店舗の数や会社の売り上げで競うのではなく、手作りにこだわって一店舗としての強さを磨いて競い合い、徹底したドミナント戦略で地元のファンを作っていく。以前は自分たちの味を県外の人にも知ってもらいたいと、東京や大阪への出店も考えたというが、山田さんはコロナ禍によって足元を見つめ直したという。

 県外の人が福岡に来たら食べたいという店にしよう。そしていつの日か県外の人たちから出店して欲しいと求められる店にしよう。そのためには福岡でもっと愛される店になるように、手作りの味と接客に磨きをかける。地元の人にも県外から来た人にも、そして海外から来た人にも愛される店にしていく。これが『博多一双』が考える大手チェーン店への「勝ち方」なのだ。

10年の集大成を一杯のラーメンに

『博多一双』店主の山田晶仁さん(左)と弟の章仁さん。兄弟二人で10年前に創業した。
『博多一双』店主の山田晶仁さん(左)と弟の章仁さん。兄弟二人で10年前に創業した。

 そして『博多一双』は創業10周年を記念して、11月26日(土)に『博多一双 祇園店』で、一日限りのスペシャルラーメンを提供するイベントを開催する。テーマは「想像を超える創造」。10年間の感謝の想いと、ラーメン職人としての経験を一杯の丼に落とし込む。その全貌は明らかにされていないが、原価を無視した採算度外視の、今までにない手法によるラーメンを提供するという。

 また翌27日(日)には創業10周年の感謝を込めて、『博多一双 博多駅東本店』で「大抽選会」を開催する。こちらはラーメンを食べた人が参加出来る、ハズレなしの抽選会。地元福岡の人気ブランド『NOBOSE』とのコラボレーションアイテムなど、ファン垂涎のグッズなどが景品になるという。

 ご当地ラーメン最強の博多で、一番のラーメン店になる。10周年を迎える『博多一双』の新たな挑戦が始まろうとしている。

※写真は筆者の撮影によるものです(出典があるものを除く)。

『博多一双』創業10周年を記念したラーメンを一日限りで提供(画像:博多一双)。
『博多一双』創業10周年を記念したラーメンを一日限りで提供(画像:博多一双)。

【博多一双 創業十周年祭】

■「想像を超える創造」

日時:2022年11月26日(土)11:00〜20:00

   (全11部・各回40分間・完全入替制)

場所:博多一双 祇園店(福岡県福岡市博多区祇園町3-2)

価格:2,000円(税込/ラーメン一杯、ドリンク飲み放題)

   ※前売券(時間指定制)は11月1日(火)10:00より

   『博多一双 祇園店』にて販売を開始いたします。

    売り切れ次第終了。祇園店以外での販売はありません。

    受付は博多一双の公式Instagramでも対応しております。

   ※イベント当日の販売はありません。必ず前売券をご購入ください。

   ※感染拡大防止の為、来店時はマスクの着用をお願い致します。

■「10周年記念 大抽選会」

日時:2022年11月27日(日)11:00〜20:00

場所:博多一双 博多駅東本店(福岡県福岡市博多区博多駅東3-1-6)

   ※ラーメン一杯の食券につき抽選券一枚を配布

   ※抽選はお一人様一回限り

各イベントの詳細は博多一双の公式Instagramまで。

フードジャーナリスト

フードジャーナリスト/ラーメン評論家/かき氷評論家 著書『トーキョーノスタルジックラーメン』『ラーメンマップ千葉』他/連載『シティ情報Fukuoka』/テレビ『郷愁の街角ラーメン』(BS-TBS)『マツコ&有吉 かりそめ天国』(テレビ朝日)『ABEMA Prime』(ABEMA TV)他/オンラインサロン『山路力也の飲食店戦略ゼミ』(DMM.com)/音声メディア『美味しいラジオ』(Voicy)/ウェブ『トーキョーラーメン会議』『千葉拉麺通信』『福岡ラーメン通信』他/飲食店プロデュース・コンサルティング/「作り手の顔が見える料理」を愛し「その料理が美味しい理由」を考えながら様々な媒体で活動中。

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