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なぜ「ドローン」の外形はあんなに怖いのか? デザインを変えてビジネスの可能性を考える

横山信弘経営コラムニスト
節足動物のようなドローンが近づいてきたら、子どもは怖がるだろう(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

無人飛行機「ドローン」の注目度が日増しに高まっています。世界の市場はすでに12兆円規模とも言われ、今後10~20年、さらなる発展も期待できます。(市場規模はドローン本体とサービス事業との総計)

点検、計測、撮影、物流、危険区域作業などで活躍が期待できる「ドローン」。この名前は、そもそも「雄バチ(ミツバチの)」から来ているそうで、そのせいなのかドローンの外形は、どこか昆虫というか、蜘蛛のような節足動物に似たものが多い気がします。外形だけを見れば、どちらかというとメカ好きの人が好むデザインと言えるでしょう。カッコいいデザインのものもありますが、近づいてきたら思わず走って逃げたくなるような怖いデザインのドローンもあります。

計測や物流、紛争地帯や被災地での作業で使用するなら、武骨なデザインでも良いかもしれません。しかしビジネスの幅を広げるためには、もっと親しみのあるドローンが登場しても良い気がします。

たとえばソフトバンクが販売する「pepper(ペッパー)」は、高齢者や子どもに親近感を抱いてもらえるような、ポップなデザインをしています。可愛らしい風貌を目にしていると、ついつい話しかけたくなりますし、触ってみたいという気持ちも芽生えます。「pepper(ペッパー)」のように、子どもが思わず近づきたくなるようなドローンであれば、ビジネスももっと広がることでしょう。

(名称も「ドローン」ではなく、「コローン」とか「ポローン」であれば、もっと親近感を持てたかも)

こんなデザインのドローンなら話しかけやすいかも……
こんなデザインのドローンなら話しかけやすいかも……

たとえば過疎地に住む高齢者の方が朝、電話を一本かければ、可愛らしいドローンが空を飛んで、コーヒーとクロワッサンを運んできてくれる、そして庭でクロワッサンとコーヒーを飲みながら、ヒト型ロボットに変形したドローンがお喋りの相手をしてくれる、このようなシーンを想像してみます。(一緒にモーニングするという有料サービスとして)

「あんた最近どうなの? いろんなところに飛んでるんでしょ?」

「はい。A村や、B町にも呼ばれますね」

「あら、A村といったら、Sさんって知ってる? あそこのお婆ちゃんもドローンを使ってるって聞いたけど」

「申し訳ありません。そういうことはお答えできませんが、A村はいいところです」

「変なところに飛ばされるのはイヤでしょう? 正直なところ」

「飛んでいく場所よりも、私にとっては天気のほうが悩ましい問題です。雨の日よりも、風の強い日のほうが苦労します」

「そうだろうねェ、あんた苦労してるのね」

物を運んだり、作業をするだけでなく、コミュニケーションのみを提供するサービスもあるでしょう。常に家にいるのではなく、話したいときにだけ飛んできてくれる「ヒト型ロボット」というサービス形態です。このようにお喋りの相手になってくれるドローンであれば、お客様との関係も構築しやすい。自然な流れの営業行為もできるはずです。

「先日お届けしたDVD、観られましたか? 面白かったでしょう? あれは私のお気に入りの映画です。もしよかったら他にもお勧めのDVDがありますよ」

「じゃあ、何かお勧めしてちょうだい。2~3本のDVDを買うわ。それと最近ダイエットを始めたから、ダイエットの本も紹介してよ」

「それでは胸のタッチパネルをご覧ください。お勧めのDVDは右側に。そしてお勧めのダイエットの左側にあります」

ドローンと何回も何回もお喋りをしていれば、日に日に愛着を覚えてくるものです。せっかくこんな人里離れたところまで飛んできてくれたのだから、手ぶらで返すわけにはいかない。たとえ相手がロボットであろうが、お客様は何か注文してあげようか、という心理が働くもの。

「ついでにティッシュも持ってきてくれる? あとは薬も欲しいな」

「かしこまりました。ティッシュなら3箱まで運ぶことができます」

「あなたにチップあげるわ。いつも私によくしてくれるから」

「ありがとうございます。お気持ちだけ、いただいておきます」

このようにして注文を受け付けたドローンは通信機能で本部とやり取りし、他のドローンが商品を持って飛んできてくれる。こんなビジネスの在り方もある気がします。

人間が「できない作業」「やりたくない作業」をドローンに押し付けるばかりではなく、もう少し人間性を持たせた「ヒト型ロボット」にすることで、活躍する範囲はもっと広がることでしょう。

経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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