加速する自動運転の開発競争。GoogleがUberのライバルと手を組む
ウォールストリート・ジャーナルやニューヨーク・タイムズなどの米メディアが報じるところによると、米グーグルの親会社アルファベットが設立したウェイモと、モバイルアプリを使った配車サービスを手がける米リフトは、このほど、自動運転車の技術開発で提携した。
ウェイモの自動運転車を配車サービスに
この提携の具体的な内容は明らかになっていないが、今後ウェイモはリフトの配車サービスの仕組み利用して、自動運転車の試験走行が行えるようになると、事情に詳しい関係者は話している。また両社は将来、ウェイモの自動運転車をリフトの配車サービスに導入することについても協議したという。
自動運転車の開発は、配車サービス最大手の米ウーバー・テクノロジーズも行っており、ウェイモと開発競争を繰り広げているが、折しもウェイモは、機密情報を盗んだ元従業員がウーバーに移籍し、自社技術がウーバーの技術開発に使われたとし、ウーバーを訴えている。今回のウェイモと、同業リフトとの提携は、ウーバーにとって脅威になりそうだとアナリストは指摘している。
というのもウェイモとリフトは、自動運転車の開発において強力なタッグになる可能性があると考えられているからだ。
進む企業連携
ウェイモは、グーグルが2009年より取り組んでいる自動運転車開発プロジェクトの技術を商用化する目的でアルファベットが昨年(2016年)12月に設立した会社。すでに300万マイル(約483万キロメートル)に及ぶ公道走行試験の実績を持っている。
またウェイモは、欧米自動車大手のフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)とも提携しており、今年1月には共同開発による完全自動運転車を披露した。
さらに同社は4月から米アリゾナ州フェニックスで「Early Rider Program」と呼ぶ自動運転車の公開テストプログラムを行っている。これは一般住民がモバイルアプリを使って、ウェイモの自動運転車を呼び、目的地までの移動に利用するというもの。ウェイモはこれにより、人々の交通ニーズや公共交通機関としての自動運転車の使い勝手などを調査している。
一方のリフトは、中国配車アプリ大手のディーディー、中国電子商取引大手アリババ・グループ、楽天、著名投資家のカール・アイカーン氏、米自動車大手のゼネラル・モーターズ(GM)から出資を受けている。
同社は昨年、GMと自動運転車を使った配車サービスを開発すると発表していたが、今回の報道によると、両社は今年中にも、走行試験を開始する計画という。
ウェイモとリフトとの関係、悪化の可能性も
なおウォールストリート・ジャーナルは今回のウェイモとリフトの提携について、リフトの配車サービスネットワークは全米300都市以上に広がっており、ウェイモとリフトは自動運転車を使ったサービスの開発で補完し合える関係にあると伝えている。
こうした無人タクシーのようなサービスが実現すれば、人件費を大幅に減らすことができ、リフトにとってはメリットが大きい。しかし、技術の進歩とともに、ウェイモが自社ブランドのサービスを立ち上げるということになれば、リフトとウェイモの関係は悪化するだろうと、同紙は指摘している。
(JBpress:2017年5月17日号に掲載)