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「オリーブ油」で「ガン死亡」抑制? 2万3千人データ。食事の「質」が悪くてもOK【最新論文】

黒澤恵(Kei Kurosawa)医学情報レポーター

日本人の2人に1人はガンになり、4〜6人に1人がガンで死亡

 日本では男女とも2人に1人は、生きているうちに癌が見つかる時代になりました。ガンが事実上「不治の病」だった昭和時代だったら、大変な数字です。

 でも早期発見と治療法の向上により、ガンを治して生活に戻ってくる人も増えました。とは言え今でも、日本人男性の4人に1人、女性なら6人に1人はガンで亡くなっています [国立がん研究センター「がん情報サービス」] 。

 そしてガンが日本人死因の圧倒的な1位であるのも、残念ながら事実です。それも40歳を超えた時点ですでに最大の死因となっているのです [厚生労働省「令和4年(2022)人口動態統計」] 。

 早期からの予防が大切なようです。

 そんな「ガン死亡」が「オリーブ油」で減るかもしれない。これが今回ご紹介する論文です。簡単に見ていきましょう。

 書いたのはIRCCSニューロメッド(イタリア)のエミリア・ルッジェーロ氏たち。ネイチャーが発行している「欧州臨床栄養学雑誌」という国際学術誌に掲載されました [文末文献1] 。

1日大さじ3杯のオリーブ油でガン死リスクが23%減少

 今回ルッジェーロ氏たちが調べたのは、「1日オリーブ油摂取量」とその後13年間の「死亡」との関係です。イタリア在住2万3千人を解析しました。

 その結果明らかになったのは、1日に「30g超」のオリーブ油を摂ると「15g以下」に比べ、「ガンで死亡するリスク」が相対的に23%低くなっていた(0.77倍)という事実でした。

 オリーブオイルは大さじ3杯が10gですから、1日に大さじで3杯

 無理な量ではなさそうです。

 さらに、この「オリーブ油によるガン死亡リスク低減」は、「食事の質の高低」を問わず認められました。つまり健康な食事を摂れない場合でも、オリーブ油だけは頑張って摂っておけばガンで死亡する危険性を減らせる可能性が示されたのです。

 なおオリーブ油1日「30g超」摂取では、「全死亡」のリスクも減っていました。「ガンでは死ななかったが、他の死因が増えた」という心配はないようです。 

1日50g増えればリスクは5%減る

 オリーブ油に関する同様の報告は、米国からも出されています。

 2022年にハーバード大学(米国)のマルタ・グアッシュ・フェレ氏たちが、6万人の米国女性を28年間観察した結果として報告しました [文末文献2] 。

 こちらの研究からは「1日に摂取するオリーブ油が5g増えるに従い、ガンで死亡するリスクは5%(0.95倍)ずつ減っていく」ことが明らかになっています。

 5gのオリーブ油は大さじ半分。 1日に「30g超」のオリーブ油を摂れなくても諦めない方が良さそうですね。

 なおどちらの研究も厳密には、「オリーブ油」が「ガン死」を減らしたのかどうかは不明です。オリーブ油をたくさん摂る人たちに共通する何かの要因がガンを減らしている可能性があるためです。
 しかしルッジェーロ氏たち、フェレ氏たちはいずれも、オリーブ油がガン死減少の一因だと考えています。

まとめ

 いかがでしたか?

オリーブ油を積極的にとればガンで死亡するリスクが減る可能性がある、そんな論文のご紹介でした。

 個人的には「食事の質にかかわらず」という点に注目しています。

 忙しくてきちんとした食事を準備できなくとも、サラダやマリネにオリーブ油を添えるくらいはできますからね。私は野菜をソテーにして毎日食べていますが、油をオリーブ油に変えるかどうか、思案しているところです(現在はごま油)。

 ガンと食事については次のような論文紹介記事も書いています。こちらもぜひお読みください。今回も最後までお付き合いいただきありがとうございました。ではまた!

肝がんになりにくい人たちの避けていた飲料が明らかに。10万人解析データ

亡くなる方も多い大腸がん。パンの種類で発症リスクに差。12万人データ解析論文が明らかにした事実

「加工食品」の1割を置き換えるだけで「がん」のリスクが低下。45万人データ解析

今回ご紹介した論文

  1. オリーブ油を1日大さじ3杯以上でガン死リスクは減少
  2. オリーブ油1日摂取量が50g増えるごとにガン死リスクは5%ずつ減少

(どちらも英語ですが、DeepLなど無料翻訳を使ってぜひご自身でもご覧ください)

【注意】本記事は医学論文の紹介です。研究結果の文責は「論文筆者」にあります。また論文の解釈は論者により異なる場合もあります。さらにこの論文の内容を否定する論文が存在する可能性もゼロではありません。あくまでも「参考」としてご覧ください。

医学情報レポーター

医療従事者向け書籍の編集者、医師向け新聞の記者を経てフリーランスに。15年以上にわたり、新聞社系媒体や医師向け専門誌、医療業界誌、会員向け情報誌などに寄稿。近年では医師向け書籍も共著で執筆。国会図書館収録記事数は3桁。日本医学ジャーナリスト協会会員(含筆名)。

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