「神の左」山中慎介トーナメント開催 世界王者へのステップになるか
ボクシングプロモーションDANGANが、都内で会見し、バンタム級の名王者である山中慎介(36)をアンバサダーに迎え「山中慎介バンタム級トーナメント(仮)」の開催を発表した。
後楽園ホールで、A級ボクサー8人が出場し、7月23日に予選(6ラウンド)、10月31日に準決勝(8ラウンド)、来年1月に決勝(8ラウンド)を行う予定だ。
優勝者には賞金100万円が贈られ、世界ランカーとの対戦が計画されている。日本チャンピオンも出場可能だ。
強い選手に勝つことで自信がつく
私は、山中氏と同じ帝拳ジムに所属していた為、よく知る仲である。山中氏は、一つ年上の先輩にあたり、ジムに入ったのも一年違いでほぼ同じ時期だった。
デビュー戦は判定で勝利したが、キャリア初期は苦戦を強いられていた。
だが、ある時期を境に急激な成長を遂げ、ボクシングスタイルが変わっていった。KOのコツを掴んだのか、試合でも迫力が増し、相手をKOする試合が続いた。
どの試合がきっかけになったか定かでは無いが、2007年にA級トーナメントで優勝した影響はあるだろう。
その後、3試合連続1RKO勝ちで、日本王者へのチャンスを掴む。日本タイトル戦もKO勝利して、日本チャンピオンに輝いた。
初防衛戦では、当時無敗のホープ岩佐亮佑との試合で劇的な勝利を収め、世界へとステップアップしていった。
そこからの活躍は、眼を見張るものがある。強い選手に勝つことで自信をつけ、圧倒的な強さで世界王者となった。「神の左」でKOを量産し、対戦相手からおそれられる存在になった。
対戦相手がおそれる一撃必殺の「神の左」
山中氏の強さは、何と言っても「神の左」だ。サウスポースタイルから繰り出される左ストレートで、世界でも名のある選手からダウンを奪ってきた。
だが、その強さは、パンチ力だけではない。山中氏は以前、相手が神の左を意識するあまり、逆に相手が自滅していくのだと語っていた。
意識すればするほど、恐怖や、警戒心で平常心を失ってしまう。それも、神の左の強さの一つだと言える。
チャンスを掴むためのトーナメント
ボクサーであれば、チャンピオンになる事が、目標となるだろう。しかし、どうしたらチャンピオンに挑戦できるのか、説明をするのは難しい。
プロボクシングではランキング委員会が設置され、選手の実績に応じてランクが決まる。強い選手に勝てばランキングが上がるが、ポイント制などでは無いため、その仕組みは不明確だ。
ジム同士のマッチメイクもあるため、選手達もどうしたらチャンスを掴めるのか、わかりづらい面もある。
そのため、今回の試合のようなトーナメントで勝ち進む事で、チャンスが広がりモチベーションになるだろう。
人は注目される事で強くなる。このトーナメントで選手が、飛躍するような場になる事を期待したい。第二の山中慎介を目指して頑張ってほしい。