阪神タイガース 春季キャンプメンバー発表 ―前編―
きのう23日、雨が上がったあとは北寄りの風に変わり、寒い寒い午後でした。タイガースの自主トレが行われている阪神鳴尾浜球場も、久しぶりに手がかじかむほど冷えましたねえ。きのうは1軍とファームの監督、コーチ陣が揃っての合同コーチ会議が行われ、キャンプの詳細も発表されています。
ことしも例年通り沖縄・宜野座と高知・安芸での春季キャンプなんですけど、表記が沖縄と安芸ではなく「1軍」「2軍」になっていました。なので本来、タイガースは「ファーム」と表わすところを「2軍」と書かせていただきます。ちょっと違和感。中旬に行う紅白戦(沖縄)あたりで見極めをして、選手の入れ替えがあるかも…という話ですね。1軍でも油断ができない、2軍にはチャンスありってことでしょう。なお1軍は26日に沖縄入りし、いつも通りキャンプ前の合同自主トレです。
2015年 春季キャンプ日程
◆日程 2月1日~25日 1軍、2軍共通。
◆休日 5日(木)、10日(火)、16日(月)、20日(金)
1軍、2軍共通。ただし天候等により変更あり。
◆練習試合
【1軍】 すべて13時~
11日 日本ハム (名護)
13日 三星 (宜野座)※
17日 楽天 (宜野座)
19日 ヤクルト (浦添)
24日 DeNA (宜野座)
※韓国・三星ライオンズ
【2軍】 すべて12時半~
11日 西武 (安芸)
14日 ハンファ (安芸)※
15日 JR四国 (安芸)
18日 西武 (春野)
21日 ハンファ (安芸)※
22日 四国銀行 (安芸)
※韓国・ハンファイーグルス
沖縄へ行くのは38選手です
◆1軍キャンプメンバー(38人)
【投手】 18人
榎田、能見、岩貞、藤浪、筒井、岩田、呉、歳内、秋山、福原、石崎、山本、金田、メッセンジャー、岩本、桑原、二神、島本
【捕手】 4人
小宮山、鶴岡、梅野、清水
【内野手】 9人
鳥谷、北條、上本、ゴメス、西岡、西田、今成、陽川、荒木
【外野手】 7人
柴田、大和、福留、マートン、江越、伊藤隼、中谷
ルーキーは石崎投手と江越選手が選ばれました。他に岩貞投手(2年目)、島本投手(5年目)、北條選手(3年目)、陽川選手(2年目)、荒木選手(5年目)が初めての沖縄キャンプです。一方、鶴投手は5年ぶり、松田投手は3年ぶり、俊介選手は初めての安芸。藤井選手と新井選手は移籍してきて初の安芸スタートとなります。小嶋投手や緒方選手のリハビリ組だけでなく、昨年故障のあった選手も無理せず安芸からということですね。
和田監督と中西コーチの話
合同コーチ会議が終わったあとの和田監督は、ことしの1軍キャンプメンバーについて「かなり若い選手が多く入ってきた。そんなに迷うことなく、11月の秋季キャンプでいいものを見せてくれた選手を選んだ」とコメント。その中から、若手選手に関する話をご紹介します。まず「新人2人(石崎、江越)に関しては、自主トレの動きを見たうえで1軍の控えクラスで十分勝負できると判断した」とのことでした。
それから「北條は国際舞台(11月の21Uワールドカップ)を経験して顔つきが変わった。体も大きくなったし、動きのキレも出てきた。陽川はひと冬越えて、このオフにどういう練習をしてきたか。1軍選手に交じってどういう野球をするか見てみたい。楽しみだね。ピッチャーでは先発の5番手、6番手。これが確立できていないので、ここに若い選手が入り込んでくるような陣容にしたい」と言っています。
中西1軍投手コーチは、安芸スタートとなった松田投手について「しっかりと肩、ヒジができてからじっくりと。彼の場合、ブルペンには入れるが型にはまらないと投げられないタイプだから。当然期待しなきゃいけない選手だけど、ゲームに早い段階では投げられないから沖縄には行かない」と話しています。また「岩崎は調整遅れ。ことしに関してはチーム内でのレベルアップとか、競争があるから特別扱いはしない」とのこと。
続けて「島本は早い段階から、どんどん実戦で投げさせる。岩貞はリリーフという固定でなく、両方いく。石崎は先発の可能性もある。ルーキーだけど体もできているし、年齢もいっているので1軍キャンプに。藤浪も沖縄で投げないことはない。沖縄へ行った限りは全員投げる」と中西コーチ。「調整が遅れている人は落とすし、いい人は上げるし、入れ替えはある」そうです。
石崎「選ばれてすごく嬉しい」
では選手のコメントをご紹介しましょう。まずルーキー2人と言いたいところですが、江越選手は後日。きょうはドラフト2位の石崎投手のみです。新人合同自主トレが第4クールに入り、石崎投手は23日もブルペンでのピッチングを行いました。捕手を立たせたままだった前クールから、この日は“中腰”で41球を投じています。
「立ち投げよりはリリースポイントというとこで安定しなかったけど、腕の振り等は順調でした。焦らず、自分のペースでしっかりやりたい。このクールは、あすも中腰で捕ってもらう予定で、近いうちにたぶん座らせて投げると思います。自分のコンディションや状態をみて決めたい」
1軍キャンプ参加が決まりましたね。「すごく嬉しいです。選ばれたことで自信を持ってやりたいと思う。真っすぐにもっと磨きをかけて、首脳陣に納得してもらえるように頑張ります」。競争にもなるわけですが「他の選手を気にしすぎると自分を見失うので、自分を見つめて」と、なかなか冷静。練習試合では「強気のピッチングスタイル」を見せたいというルーキー。「1球目から勝負するつもりで、打者に対して逃げたりせず強気でいく」と頼もしい意気込みを語ってくれました。
2年目の2人もアピール!
昨年は安芸キャンプで、途中から沖縄キャンプへ合流した岩貞投手。2年目のことしは嬉しい沖縄スタートです。「もともと、それを想定して練習してきた」と言うものの「沖縄へ行けることになって」と明るい表情。「何かを変える気はないです。予定した通りに投げていけるよう、体調面も精神面もしっかり整えて沖縄に入りたい。張り切りすぎて力むのを避け、指先にかかる感覚を確認しながら投げたいですね」
臨時コーチとして来られる江夏豊さんには「お会いするのも初めてなので、たくさん野球のことを聞けたら。野球以外のことも」と言います。ルーキーイヤーは沖縄キャンプ合流後に左ヒジを痛めてしまったこともあり、記者陣から「ことしのキャンプは完走したいね」と振られ「それが最低限の目標」と岩貞投手。試合での登板もあるでしょう。「自分の仕上がりを確認しながら、それを評価してもらえれば」と締めくくりました。
同じく2年目で初の沖縄切符を手にした陽川選手は「行くからにはしっかり準備をして、初日からどんどんアピールできるような体を作っておきたい。最後まで沖縄に残って、開幕1軍となれるようやっていきたいですね」と抱負を語っています。そのためのアピールは?「バッティングはもちろんですけど、いろんな面でアピールできると思うので、最初からどんどんやっていきたい」
「どんどん」「アピール」という言葉を繰り返した陽川選手ですが、このあともまだ出てきますよ。掛布DCが「第1、第2クールが大事」と話していたことについては「最初からどんどんやっていかないと。初日から!」と。また今成選手との競争に「同じポジションのライバルでもあるけど、経験は今成さんの方が上なので、見て学びたいです」とコメントしました。長打力も見せて?「そのへんは、どんどんアピールしていきたい」そうです。
はや危機感 3年目の北條
次は北條選手。いつ聞きましたか?「まだ聞いていませんよ」。もう発表されたけど。「…頑張ります!(笑)」。アピールするところは?「アピールというか、結果を出していくというのを目標にして、試合に出られるようにまずは練習から、しっかりやっていこうと思います」。21Uの代表として戦ったことで顔つきが変わったと、体も大きくなったという和田監督の言葉には「いや多分、太っただけです」と笑ったあと「顔つきはわからない」と言っていました。
高代1軍作戦兼内野守備走塁コーチが「西田、北條、陽川、荒木あたりは第1クールからバシバシやってもらわないとな」と話していたそうで、名前の挙がった北條選手は「初日から全開でいけるように、しっかり準備してやっていこうと思っています」と意欲的。
また「3年目なので、ことしは1軍の試合に出ないとダメだと思う。そういう意味では、去年より気持ちを高く持ってやっている」と言います。同世代の選手が1軍で活躍するのを見て、負けたくない?と聞かれると意外な答えが返ってきました。「負けたくないっていうか…危ない。クビが。1軍の試合に出ず4年目となったら、チャンスがなくなっていくので」。早くも危機感を持って臨むという北條選手の今季、注目していきたいと思います。
あすは後編として、昨年秋に支配下登録され1軍キャンプ参加となった島本投手や、残念ながら安芸スタートの岩崎投手の話などをご紹介します。 (こちらが後編です。『春季キャンプメンバー発表~後編~』)