阪神タイガース 春季キャンプメンバー発表 ―後編―
23日に発表された、阪神タイガースの沖縄“1軍キャンプ”メンバーで、初参加の選手たちに話を聞いています。きのうはルーキーの石崎投手をはじめ、岩貞投手と陽川選手、そして北條選手のコメントをご紹介しました。それについてはキャンプの日程や練習試合、参加メンバーと合わせてこちら(『春季キャンプメンバー発表~前編~』)でご覧ください。
きょうは後編として初参加の島本投手、江越選手、ひとことずつですが桑原投手、荒木選手のキャンプに向けた意気込みをご紹介します。他に中谷選手や、安芸スタートとなった岩崎投手の話も書かせていただきました。
島本「投げっぷりを見せたい!ただし飛ばしすぎに注意」
まずは島本投手です。昨年11月に支配下選手登録され、秋季キャンプでもしっかりアピールして「来年、まずは沖縄から」と言っていた1軍キャンプメンバーに選ばれました。島本投手には発表直後とウエートトレーニングなどが全部終わったあとと2回話をしたのですが、まとめて紹介します。
練習から引き揚げる際、おそらく沖縄行きを本人も知ったばかりだったのでしょう。「いま聞きました」と表情が思わず緩みます。どんな気持ち?「やってやろうっていう気持ちです」。どこをアピールしましょうか。「バッターに向かっていく気持ちを前面に出して、投げっぷりを。秋季キャンプで大野さんにも言われたんですが、コントロールとか気にせず、とにかく投げっぷりを見てもらいたい」。気持ちの高ぶりはある?「メッチャあります!ただ、ガッといきすぎないようにと言われました」
ガッと?それは誰に?「頑張らないとっていう気持ちはわかるけど、いきすぎないように自分の体と相談してやれと。みんなに言われますね」。なるほど。とはいえ頑張ってしまいますよねえ、特にブルペンで周りを見たら。「みんなそう言うし、自分の気持ちもこう(と胸を手で押し上げるジェスチャー)なってるし。張り切っちゃうと思います。でも飛ばしすぎないようにしたいです。キャンプもやけど、シーズンが一番大事なので」。その通り、過ぎたるは及ばざるが如し。もしアピールを急ぐあまりケガでもしたら、せっかく掴んだ2ケタの背番号を生かせなくなってしまいますから。
「僕は支配下になったばかりで、ことしが勝負と思っているので頑張るだけです。しっかり結果を出して」。まずオープン戦かな?「一度経験していますが…いや、経験する前に終わってしもたけど」と2年前の3月を思い出して苦笑い。四球、ホームラン、四球で1死も取れないまま降板した初オープン戦でした。力んでしまって自分のピッチングができなかった後悔を胸に、今度は「向かっていきたい」と言っています。その前にキャンプでも、11日から始まる練習試合でバンバン投げていくんでしょうね。チャンスはその左腕でもぎ取ってください。
家族に沖縄旅行プレゼント
年明けは高宮投手と一緒にHonda鈴鹿で自主トレ。「内容は変わりませんけど、“自分でやる”というのが鳴尾浜とは違いますね。違う環境でやってみて、よかったです」。鳴尾浜に戻ってきてから、ブルペンでピッチングをしていて「もう肩は仕上がっています」と順調な様子でした。
ところで島本投手は沖縄へ行ったことありますか?「初めてです。沖縄は」。そうなんですか。え、沖縄は?「はい。沖縄はないです。ハワイには高校の修学旅行で行きましたけど」…沖縄の前にハワイを体験しているわけね。しかも高校で。ふ~ん。それはさておき、支配下登録された時の記事(『島本浩也投手が育成から支配下へ』)にも書きましたが、島本投手のお母さんは「沖縄には行ったことがないけど、行くならキャンプと決めていた」とおっしゃっていて、「沖縄に連れてってね~」「お~」という会話があったそうです。
早速お母さんに聞いてみると「何とか行けそうです」というお返事でした。そして「最後まで沖縄にいられるといいのですが、入れ替えもあると思うので早めにいくつもりです」とのこと。取材中に冗談で「よかったねえ。ご両親も沖縄旅行ができて。ご招待?」と言った時は「いやまさか」と笑っていた島本投手なのに、なんと本当に招待しちゃうみたいですよ。「浩也から電話があって、旅費を出してくれるそうです。それくらい出すよって言ってくれました。浩也の気持ちだと思って行ってきます。楽しんできます」と、またウルウルすることを教えてくださったお母さん。
素晴らしい親孝行だと言ったら島本投手は「もちろんです(笑)」と。おお~オトコマエ!なんなら親族の皆さんも一緒にどうですか?って、勝手に決めるなと怒られますね。それは甲子園の1軍戦にしましょう。
江越は先輩・中畑監督の前でアピール
大学の試験で鳴尾浜を離れていたドラフト3位の江越選手は、きのう24日の練習後に取材を受けました。 この日は先輩選手たちと一緒に外野ノックを受けたそうで、福留選手とは握手をしていたとか。「オーラがすごいなと思います。ケガしないように頑張って、と言っていただきました」とのことです。
また、室内でマシン打撃しているところを掛布DCが視察。「非常に緊張したけど、練習に集中してやりました」。そりゃ緊張しますわね。見られているだけでも。そして「体が強いし、スイングスピードもある」という掛布DCの言葉に「自分でもスイングの力は意識している部分なので、そこを言ってもらえたのは嬉しい」と話していました。
1軍キャンプメンバーに選ばれたことは?「1軍でプレーされている方のいいところを、しっかり学べるようにやっていきたいと思います」。キャンプの実戦でアピールしたい?「簡単にアピールできるとは思っていないけど、徐々に自分の持ち味を出していけたら」。持ち味とは?「バッティングだったら長打力。アピールできたらいいなと思います」
キャンプ中にはDeNAと練習試合が予定されていますね。駒大の祝勝会の時、中畑監督に「プロは甘くないぞ」と言われたとか?「駒大の先輩がいらっしゃる中で、自分の持ち味を出せたらいいと思うので、先輩の前でもアピールしたい」。最後に、大学の試験中も体は動かしていたかと聞かれ「ランニングやキャッチボールは、やっていました。バッティングもできる限り」と江越選手。試験はクリアできたかな?初めての荷物出しも無事に済んだでしょうかね。
「危機感しかないです」と中谷
中谷選手は2年連続3度目の沖縄キャンプ。「とにかく元気を出してやっていきたい。オフの間にやってきて、しっかり動ける体はできているので1日目から!」と張り切っています。同い年のルーキー・江越選手については「わからないことも多いだろうから、僕も声をかけていくつもりです。同級生だし、お互い高め合っていけたらいいなと思います」と頼もしい“先輩ぶり”でした。
秋季キャンプで和田監督からMVPと評価された守備も「アピールしたい。そういうところで目立てれば。MVPは結果ですけど、1つでもダラダラしているところは見せられないので」と気合十分です。これまでとは違う自分を見せたい!と昨秋から目の色を変えて取り組んできた中谷選手。「危機感しかない」と話しています。
白仁田投手との交換トレードでオリックスから移籍してきた桑原投手も沖縄スタートになりました。「右も左もわからないので、何とかついていけるように。それでいいところを見せられれば、と思います」。鳴尾浜で自主トレを続けてきて「できるところまで持っていけていると思う」とのこと。また荒木選手は5年目で初めての沖縄キャンプに「外野のグラブも持っていって、どこでもできるよう準備したい」という抱負。
岩崎、自分の中では順調
最後に、2年目の岩崎投手。23日は鳴尾浜で初めてブルペンに入りました。「わりとボールに指もかかっていたし、最初にしてはよかったと思います」。どこを意識して?「意識というよりも、久々なので感覚をしっかり合わせてといったところに重点をおいて投げました」。ここまでを振り返り「自分の中では順調にきていると思うので、もっと状態を上げていきたい」
キャンプは安芸スタートですが、逆に落ち着いてやれるかもしれませんね。「沖縄に行ったことがないのでわからないですけど、去年も安芸でやっていたから同じような感じでできると思います」。キャンプでは?「ボールの質っていうのを1つ1つ、もっとレベルアップしていきたい。シーズン中も取り組んでいたことを継続していこうと考えています。指のかかりをちょっと変えただけでボールの曲がりも変わってくる。そういうのを自分で研究しながら」。岩崎投手らしい、淡々とした口調でした。
中西1軍投手コーチから、調整が遅れているというコメントはあったものの「自分の中では順調です。開幕に照準を合わせて、そこに向けて調整し結果を出していく」と繰り返しました。この穏やかな表情がマウンドで一変する左腕は、ルーキーイヤーに引き続き今季も期待大。しっかり開幕に合わせてきてくれるはずです。
いま沖縄で自主トレ中の選手以外の1軍キャンプメンバーは、あす26日に沖縄入りして27日から合同自主トレを行います。キャンプインは2月1日ですが、ファンの方々も選手と同じで「さあ始まるぞ!」という心境になっていらっしゃるでしょうね。皆様の遠征支度はもうお済みですか?