テレワークはコロナの感染リスクを減らす、という海外からの報告
緊急事態宣言が出された前後、多くの方がテレワーク、在宅勤務を経験されたのではないかと思います。
「テレワークの人は、そうでない人と比べて新型コロナに感染しにくい」という海外の報告をご紹介します。
日本におけるテレワークの状況
新型コロナの流行が始まって以降、テレワークの推進が行われてきました。
特に緊急事態宣言が出された前後では、テレワークに移行する人が多かったようです。
慶応大学の調査によると、緊急事態宣言中の4月〜5月はテレワーク率が全国では25%、東京圏では35%に達していたようです。
第一波の流行が収まり、新型コロナの症例数が減った6月はテレワーク率は減少しており、やはり新型コロナの流行状況に合わせて勤務形態をテレワークにするかどうか決めていた企業が多かったようです。
地域や業種によってテレワークへの移行の頻度は様々ですが、前述の調査によると、通信情報業、情報サービス・調査業などではテレワーク率が高く、飲食業、宿泊業、医療・福祉では低かったそうです。
また地域別では都市部の方がテレワーク率が高かったようです。
テレワークをしている人の方が、そうでない人よりも新型コロナに感染した人が少なかった、という報告
アメリカから、テレワークの有無による新型コロナ感染リスクの違いに関する研究が報告されました。
これは、2020年7月にPCR検査を受けて、陽性となり新型コロナと診断された人(153人)と、陰性だった人(161人)とを比較した症例対照研究という形式の研究です。
発症から2週間前にさかのぼってテレワークを行っていたかどうかについて調査したところ、新型コロナ患者(35%)は陰性だった人(53%)に比べてテレワーク実施率が低かった、という結果でした。
つまり、テレワークを実施している人の方が、職場まで通勤している人よりも新型コロナの感染が少なかった、ということです。
この研究の著者らは、職員の新型コロナの感染リスクを低減するために、可能であれば在宅勤務やテレワークの選択肢を提供すべきである、と述べています。
職場での感染は主要な感染経路の一つとなっている
テレワークによって新型コロナの感染が減るのはなぜでしょうか?
真っ先に満員電車などの通勤を思い浮かべてしまいますが、実際には通勤中に感染したと考えられる事例は多くありません。
これは、多くの人がマスクを着けて、無言で通勤している人が多いためと考えられます。
むしろ「職場での感染」の方が事例としては多く報告されています。
例えば、東京都では職場での感染は家庭内での感染に次いで2番目に多い感染経路になっています。
第12回新型コロナウイルス感染症対策分科会でも、感染のリスクが高まる「5つの場面」として、「職場での休憩時間」「休憩室」が挙げられています。
また、一般論としては、テレワークをしているよりも、職場まで出社している方が、仕事が終わった後に会食などに行く機会が多くなるように思います。
アメリカからの報告でも、こうした感染機会がテレワークでは少なくなることから、感染リスクが低減されたものと考えられます。
全くテレワークできていない私が言ってもあまり説得力がないかもしれませんが、今後も流行状況に合わせてテレワークへ移行することは、感染対策としても重要と考えられ、今後も引き続きテレワークを行いやすい職場環境づくりが推進されることが望まれます。