IBMが楽天を特許侵害で提訴:その特許を解説する(3)
ちょっと間が空いてしまいましたが、IBMが楽天を特許権侵害で訴えた件(別名、「IBMの”伝家の宝刀”特許を分析する」)の続きです(関連過去記事1、関連過去記事2)。
なお、現時点での裁判の状況を調べてみましたが、特に和解の動きもなく、そのまま進行中で、楽天側の答弁書待ち状態になっています。
今回は、US6,785,676です。出願日は2001年2月7日、登録日は2004年8月31日です。今年の12月14日に権利が切れます(米国は、審査での遅延に応じて特許存続期間を調整するPTA(Patent Term Adjustment)という制度がありますので10カ月ほど保護期間が延びています)。
発明の名称は、”Customer self service subsystem for response set ordering and annotation”。以前の記事で紹介したものほど超強力ではなく、他の訴訟での「戦歴」もそれほどではないですが、2000年前後の出願ということでちょっとやっかいではあります。特許権侵害訴訟は物量勝負的なところがありますので、致命傷にならない特許でも、数を揃えれば相手側にじわじわとダメージを与える効果はあります。
発明のポイントは、検索結果を表示する際の順番決めと注釈付けにおいて、ユーザーの過去の検索の履歴情報を使用するというものです。”Customer self service”とは書いてあるのですが、「顧客セルフサービス」という言葉から想像されるものよりも遙かに範囲が広く、一般にウェブアプリケーションで何らかの検索結果(商品等)を列挙表示するときに関連してきます。
訴状において、楽天が侵害しているとIBMが主張しているクレーム14について見てみましょう。解釈次第ではほとんどのECアプリケーションが(さらに、言えば検索エンジンも)抵触してしまいそうなクレームです。
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