7万年前の大事件!太陽系内に侵入した「ショルツ星」がヤバイ
どうも!宇宙ヤバイch中の人のキャベチです。
今回は「7万年前に太陽系内に侵入してきた恒星」というテーマで動画をお送りしていきます。
7万年前に大接近した「ショルツ星」
夜空に輝く星々はどれも太陽系から非常に遠い位置にあるので、人間の一生程度のスパンでは星々の位置関係はほとんど変化しません。
その証拠に地球から見た星々を結んだ星座というのはずっと変わらず存在しています。
ですが太陽系の近所の星々はどれも天の川銀河の中心部を公転していて、それぞれの位置関係は超長期的に見ると変化しています。
なので中には太陽系に接近してくる恒星もあるということになります。
近所の星々の太陽系に対する動きを調べていたところ、興味深い動きをする星が発見されました。
「ショルツ星」と呼ばれているこの星は、太陽系から正反対の方向に遠ざかっていたのです!
その星の距離と速度から計算すると、ショルツ星は今から約7万年前に太陽系に接近していたこと、というよりも接近しすぎて太陽系内に侵入していたかもしれないという衝撃の事実が明らかになりました!
ショルツ星ってどんな星?
ショルツ星は、地球からいっかくじゅう座の方向に17-23光年ほど離れた所にあります。
ショルツ星は2つの星から成る連星系となっています!
主星のショルツ星Aは、木星の86倍程度と恒星としては控えめな質量を持つ「赤色矮星」というタイプの恒星です。
恒星はその中心部で核融合反応が起きていて、そのエネルギーによって輝いている天体なので、恒星の中心部は核融合が起こるほど高温で高圧である必要があります。
星の中心部で核融合が起こるほど高温高圧になるためには地球の約320倍重い木星のさらに80倍程度の質量が必要であると考えられています。
なので少なくとも木星の80倍程度の質量がないと恒星になれません。
恒星の中でも質量が軽く、核融合が穏やかで省エネな恒星は「赤色矮星」と分類されます。
ショルツ星Aの質量は木星の86倍程度とかなり下限値に近いので、この星は赤色矮星となります。
そして伴星のショルツ星Bは、質量が木星の65倍程度ある「褐色矮星」というタイプの天体であると考えられています。
木星の13-80倍程度の質量を持つ天体は、質量が足りずに恒星のように安定して核融合は起こせませんが、木星のような惑星とは異なり「重水素」という一部しかない水素だけは核融合を起こすことができます。
そのためこのような天体は惑星と恒星の中間のような存在である「褐色矮星」に分類されます。
ショルツ星Bの質量は木星の65倍程度と13-80倍におさまるので、褐色矮星である可能性が高いです。
このような連星系が、今から7万年ほど前に太陽から約0.8光年という距離まで接近したようです!
現在最も近い恒星が約4.2光年離れたプロキシマケンタウリなので、0.8光年は恒星間の距離としては超至近距離です。
しかも太陽系の最も外側の構造である「オールトの雲」は太陽から1-1.5光年程離れた所まで広がっていると考えられているため、ショルツ星は太陽系内のオールトの雲まで侵入してきた可能性があります。
接近時の影響は?
ショルツ星は恒星としては軽いものの恒星や褐色矮星自体がかなり重く重力が強い天体なので、この接近によってオールトの雲内の小天体群の公転軌道が乱されてしまった可能性があるようです。
軌道を乱された小天体たちは太陽系の内部に落ちて行き地球に接近する可能性もあるようですが、よく知られた太陽系内部の領域とは非常に遠いため接近までは200万年ほどかかると考えられています!
ショルツ星の連星系は総質量でも太陽の0.15倍程度しかない上、最接近とはいえここまで距離が離れているため、地球などの内部構造に直接の影響はなかったようです。
今私たちが元気であることがその証拠ですね。
130万年後には別の星が接近するかも
では過去の件は無事で済んだということで、未来において太陽系に接近してきそうな星は一体どんなものがあるでしょうか?
そのような天体をリストアップする研究の成果が今年2021年4月に発表されていました。
太陽系に接近してくる天体の筆頭候補として、地球から現在の距離で約62.3光年彼方に、グリーゼ710という恒星があります。
このグリーゼ710の地球に対する速度を観測した結果、今から約130万年後に太陽系に最接近する可能性があると判明しました。
このグリーゼ710が最接近してきたとき、地球から0.065光年の距離まで接近するそうです。
7万年前の0.8光年のショルツ星より重い上、遥かに近いです。
将来太陽系に接近してくる可能性のある天体をまとめた研究については以下の動画で詳細に解説しているので、ぜひ併せてご覧ください。