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レッドソックスの今オフ最大の補強は「バンビーノの呪いを解いた男」の復帰!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
セオ・エプスティーン(左)と田澤純一 Dec 4, 2008(写真:ロイター/アフロ)

 2月2日、フェンウェイ・スポーツ・グループは、オーナーの一人としてセオ・エスプティーンエプスティーンが加わり、シニア・アドバイザーを務めることを発表した。

 フェンウェイ・スポーツ・グループが所有する球団の一つには、ボストン・レッドソックスがある。

 1918年にワールドシリーズ優勝を飾ったレッドソックスは、その翌年のオフにベーブ・ルースをニューヨーク・ヤンキースへ売り渡し、その後、優勝から遠ざかった。ボストン・グローブのダン・ショーネシーは、1990年に「バンビーノの呪い」と題した著書を発表した。バンビーノは、ルースの愛称だ。

 今から20年前、レッドソックスは、86年ぶりにワールドシリーズ優勝を飾り、「バンビーノの呪い」を解いた。当時、エプスティーンは、レッドソックスのGMだった。

 エプスティーンが編成したメンバーの優勝は、2004年だけではない。その3年後にも、レッドソックスはワールドシリーズを制している。

 さらに、2016年に108年ぶりの優勝を飾ったシカゴ・カブスも、エプスティーンの編成によるものだ。カブスは、1945年のワールドシリーズで山羊の入場を拒否した後、ワールドシリーズへ進めていなかった。こちらは「山羊の呪い」だ。

 今回、エプスティーンは、レッドソックスの編成を司るわけではない。ただ、昨年10月にレッドソックスの編成責任者となったクレイグ・ブレズロウは、カブスでエプスティーンの下にいた。また、エプスティーンは、まだ50歳だ。ブレズロウがうまくいかなければ、自身の再出馬もあり得なくはない気がする。

 エプスティーンが去った後、レッドソックスは、2013年と2018年にワールドシリーズを制した。だが、過去5年のポストシーズン進出は、2021年の1度しかない。

 ルースの放出と比べるわけではないが、近年の動きで目につくのは、ムーキー・ベッツデビッド・プライス(と金銭)をロサンゼルス・ドジャースへ放出し、ジーター・ダウンズアレックス・バーデューゴコナー・ウォンの3人を獲得した、2020年2月のトレードだ。

 当時、ベッツはFAまで1シーズンしかなく、プライスはベッツとの抱き合わせだった。とはいえ、27歳のベッツを手放さず、ドジャースがそうしたように、延長契約を交わすという選択肢もあった。レッドソックスは、このトレードで成功を収めたとは言い難い。ちなみに、現在、ダウンズとバーデューゴは、ヤンキースに在籍している。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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