結局、仕事が速い人は、メールやSNSでストレスを浪費しない
現場でコンサルティングをしていて、つくづく思うのは、仕事が速い人は、明らかに「ストレス耐性」が高い人である、ということです。面倒だな、後回しにしたいな、と思うことをすぐに処理できるということは、ストレスに打ち勝つ力があるという証拠。ストレス耐性が高いということは、困難があったときでもチャレンジしたり、やり抜く力があるということにもなりますので、仕事の速さだけでなく、総合的な仕事スキルの高さにも繋がってきます。
いっぽう組織で仕事をする場合、個人の処理スピードだけでは足りない部分があります。組織内コミュニケーションのとり方によっては、なかなか物事が先に進まない、ということがあるからです。人を動かすためのコミュニケーション手法は2種類あると捉えましょう。パーソナルアプローチとマスアプローチです。
■ パーソナルアプローチ → 「1」対「1」
■ マスアプローチ → 「1」対「不特定多数」
パーソナルアプローチは「1」対「1」のコミュニケーションですから、面と向かって話すか、電話に限られます。その場でリアルタイムに相手から明確なレスポンスをもらうことができるため「話がはやい」と言えます。
マスアプローチは「1」対「不特定多数」ですから、朝礼や会議の場で話す場合がこのケースです。複数の人にメールで送ることも、この部類に入ります。相手から明確なレスポンスをその場でもらうことができません。ですから、遅々として話が前に進まない、という現象が起こり得ます。
相手からのリアルタイムなレスポンスがないコミュニケーション手法のほうが、ストレスはかからないため、最近「マス」でのアプローチに頼る人がとても増えています。人間は、便利なツールが手に入ると、ラクな手段をとりたくなるもの。期待通りの成果が出なくても、ラクだからといってその手法に手を染めていってしまいます。
特にパソコンでのメールや、LINEをはじめとしたショットメッセージにおけるコミュニケーションに過度な期待は禁物。たとえ相手と「1対1」であってもリアルタイム性が損なわれたコミュニケーション手段であるため、否が応でもタイムラグが発生します。レスポンスをするかどうかも相手の”自主性”に委ねられています。
「上司からのメールには24時間以内に必ず返信すること」という明確なルールがあるならともかく、そうでなければ、たとえ相手が部下であろうと、「メールに迅速な返事をするのは当たり前だ」という態度をとっていると、無用なイライラ感が募っていきます。そんなところで不必要なストレスを浪費していると、前述したように、いつまで経ってもストレス耐性は上がりません。本当に必要なときにストレスをかけられなくなっていきます。
誰かを動かしたいと考えたら、リアルタイム性のあるパーソナルアプローチを、ひとりひとりにするのが、結局は一番速いし、トータルでストレスがかからないコミュニケーションです。つまり、面と向かって話すか、電話の2種類です。メールやSNSはあくまでも「案内」「告知」のためにあると割り切りたいですね。