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豊島将之竜王(31)スキなく羽生善治九段(50)に快勝で白星先行 A級順位戦3回戦終了

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 9月17日。大阪・関西将棋会館において第80期A級順位戦3回戦▲豊島将之竜王(31歳)-△羽生善治九段(50歳)戦がおこなわれました。

 10時10分に始まった対局は22時33分に終局。結果は97手で豊島竜王の勝ちとなりました。

 今期成績は、豊島竜王は2勝1敗、羽生九段は1勝2敗となりました。

 A級はこれで3回戦まですべて終わりました。トップは前期名人挑戦者の斎藤慎太郎八段で3連勝。一方で新参加の山崎隆之八段はここまで3連敗と不調です。ただしまだ全員に挑戦と降級、いずれの可能性も残されています。

 29日には4回戦▲山崎隆之八段(0勝3敗)-△佐藤康光九段(1勝2敗)戦がおこなわれます。

豊島竜王、羽生九段に7連勝

 昨年の竜王戦七番勝負第3局から、豊島竜王は羽生九段に6連勝していました。

 前期A級順位戦における両者の対戦は、劇的な結末でした。

 今年度、両者は王位戦挑決という大きな一番で対戦しています。

 王位挑戦権を得た豊島竜王は、七番勝負では藤井聡太王位に1勝4敗で敗退。また4日前の叡王戦五番勝負最終局では藤井挑戦者に敗れ、叡王位を失冠しています。ここから巻き返していく上でも、本局は重要な一番となりそうです。

 羽生九段は公開されている記録上では、ここまで公式戦5連敗。過去の最多連敗記録が6ですので、やはり本調子ではないようにも見受けられます。

 本局は豊島竜王先手で、戦型は相掛かり。豊島竜王が浮き飛車の下から攻めの銀を繰り出しいくのに対して、羽生九段は右玉に構えました。

 豊島竜王は羽生玉側の端9筋から動いてポイントをあげ、リードを奪いました。

 羽生九段は9筋から飛車を成り込んで反撃の態勢を作ります。しかし終盤の寄せ合いは、豊島竜王の方が一手早い。

 最後は羽生九段が形を作ったあと、豊島竜王が羽生玉を詰め上げて、終局となりました。

 両者の対戦成績はこれで羽生18勝、豊島24勝。豊島竜王の7連勝となりました。

 両者は10月13日、王将戦リーグでも対戦します。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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