地球の温度は上昇中
旅先で必ずすることはなんですか?
落語家の立川志の輔師匠は、日本経済新聞連載の「こころの玉手箱」のなかで、旅先では必ず、その土地の塩を買ってくると述べていますが、私は旅先で温度計を見つけては、パチリと写真に収めることです。表紙の写真はそのなかの一枚で、スイスのクライネ・シャイデックからヴェンゲンに向かって歩いている途中で見つけた温度計です。1メートル近い大きさの温度計で、よくみると気温の記録が細かく書き込まれています。温度計はただ目盛が刻んであるのが普通だと思っていたので、発想の違いにとても興味を覚えました。
地球の温度は上昇中
米気候データセンター(NCDC)は16日、昨年(2014年)の世界の平均気温が過去135年間で最も高くなったと発表しました。2014年の世界年平均気温は平均より0.69℃高くなり、これまでの記録を4年ぶりに更新しました。
左表をみると、トップテンに入っている年は2000年以降がほとんどで、毎年のように記録が塗り替わっています。記録更新のニュースは当たり前のように、もはやニュースではなくなった感もあります。
地球の温度はどのようにして決まるの?
東京の年平均気温は15.4℃。さて、地球の年平均気温は何度ですか?
この質問にズバリ答えられる人は少ないかもしれません。米気候データセンターによると、世界の年平均気温は13.9℃(20世紀の平均)だそうで、1977年以降、38年連続でこの気温を上回っています。
そもそも、地球の気温はどうやって決まっているのかというと、太陽から届く熱と地球から逃げていく熱のバランスで決まっています。これを放射平衡温度といって、計算で求めるとマイナス18℃(255K)となります。これではまるでスノーボールアース(凍った地球)です。実際はというと、水蒸気と二酸化炭素が地球から逃げていく熱を吸収して、大気を暖めるため、地球の温度は15℃くらいになります。
温室効果ガスは悪者か?
この大気を暖める効果がある水蒸気や二酸化炭素のことを温室効果ガスと呼び、生命が住みやすい気温に保つためにとても重要な役割を果たしています。ですが、ご承知のとおり、温室効果ガスが増えすぎてしまうと地球を暖めすぎてしまうという、やっかいな状況に今、人類が気が付き始めました。温室効果は本来、地球に備わっている仕組み、これが悪いのではなく、地球のバランスを壊してしまっている人類が問題なのです。まさに身から出た錆ともいえます。
【参考資料】
立川志の輔:こころの玉手箱「その土地ごとの塩」,2015年1月14日,日本経済新聞.
Global Analysis- Annual 2014:NOAA National Climatic Data Center
昨年は「一番暑い年」:2015年1月17日,日本経済新聞.
小倉義光,1999:放射平衡温度と太陽放射・地球放射.一般気象学(第2版),144-124.