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「いよいよロックダウン!」フランス人がスーパーで買い占める物は何? 都市封鎖、30日から開始

今井佐緒里欧州/EU・国際関係の研究者、ジャーナリスト、編集者
フランスのスーパーの野菜売り場。これは8月の写真。(写真:ロイター/アフロ)

フランスでまたロックダウン(都市封鎖)が始まる。

30日(金)の0時(29日24時)から始まる。

水曜日の夜、20時にテレビでマクロン大統領が発表したので、木曜日1日、猶予が与えられたわけだ。

もともと、「そろそろ何か新たな措置があるのでは」という雰囲気は、社会にあった。

それが火曜日の18時頃、首相がツイッターで「あさって木曜日に議会で、新型コロナウイルスの第2波との戦いに不可欠な、新たな措置を提示します」などと発表したので、「明日水曜日に何か大きな動きがある」「大統領の発表があるのでは」と、メディアは正しく察知した。

こうして水曜日の朝早くから、各メディアは態勢を整えて待ち構えて、ネットで刻一刻と変わる「新型コロナウイルス速報特集」をやっていた。

この日は朝っぱらから、ドイツが「11月2日からのレストランやバー、劇場や映画館、プールやフィットネススタジオなどの閉鎖」を決めて、ニュースになった。11月いっぱい続く。

欧州全体に緊張が増す中で、「またロックダウンか?」「どの程度のものなのか」とメディアがいよいよ騒がしくなってきたのは、水曜日のお昼前くらいからだっただろうか。

それを知った筆者がまず頭に浮かんだ事は「買い物をしなくては!」「ネットで買い物をして、返品しようと思っていた物を返品しなくては!」であった(実際は、延長措置がとられるはず)。

そこで、仕事を済ませるや否や、近くのスーパーへと向かったわけだ。

まだ16時前だったので、会社帰りの人が寄る時間には早い。でも、明らかにいつもより人は多く、たくさん買いこんでいる人が多かった。

ただ、前回のロックダウンでも、スーパーは普通に開いていた。入場に人数制限があって、中に入るのに待つことはあったが、食べる物を買うのに困ることはなかった。その経験からか、パニックは全くない。

それでも心理的に不安なのだ・・・。

さて、スーパーに着くと、まずは宅配カウンターに行く。フランスのスーパーは、そこの会員カードを持っていて(無料)、一定以上の金額を買えば宅配してくれるので、とても便利だ。筆者のよく利用するMスーパーは、手数料はたったの1ユーロ(約130円)だ。

宅配を頼む人は、買い物の前にカウンターで登録する。「今日はものすごーく遅くなるか、明日になるかもしれませんよ?」と言われてしまった。

さて、どんな物が売れて減っていたのだろうか。

一番ガラガラだった棚は?

ではまず、一番棚がガラガラのからっぽに近かったのは、何の棚だろうか。

トイレットペーパーだ。

なぜなのだろう・・・。トイレットペーパーがなくても、生きていけるではないか。

人類は危機=トイレットペーパー買い占めと、オイルショック以来、刷り込まれてしまっているのだろうか。

筆者はすっかり忘れていたけれど、トイレットペーパーを持ち歩いている人がいて、思い出した。

まあ確かに、家にいる時間が長くなるので、減りはぐっと多くなる。使わなければ気持ち悪いし。

ちょっと意外な物

筆者の家から最も近いスーパーでは、雑貨や文具も売っている。

ここで品薄・あるいは売り切れになっていたのが、ちょっと意外なものだった。

それは、プリンターのインクだ。

家で仕事をすると、プリンターを使う機会が増えるからだろう。かくいう筆者も買ったのだが、買った型番では、最後の一つだった。

かなり減っていた食料品は?

かなり少なくなっていた食料品といえば、缶詰が挙げられる。

フランスは様々な種類の缶詰が豊富である。特に品薄だったのが、トマトの缶詰だ。パスタにからめてもいいし、煮込み料理にも使える。

あと、アリコ・ヴェールと呼ばれる、いんげんに近い野菜の缶詰も相当少なくなっていた。フランス人にはお馴染みの野菜だ。ツナ缶も減っていた。

よくパスタを買い込むと言われるが、確かにかなり少なくなっていたが、筆者が行った時点では「品薄」というほどではなかった。

フランス、欧州ならではの品

そして「フランスならでは」というよりは、「欧州ならでは」と言える品が、かなり減っていた。

それは、スープである。

フランスでは、様々な種類や形態のスープを売っている。

粉末カップスープ、4人分くらいの粉末が入っていて水や牛乳で溶くもの、常温保存ができる4−6人分くらいの液体スープなどなど。

味も、きのこ、かぼちゃ、野菜から、最近はアジア系の味、インド系の味など、様々である(ちなみに、インスタント味噌汁は、このコーナーに置いてある)。

この品薄を見て「ああ、フランス人にとっての『お茶漬け』は、スープとパンなんだなあ」と思った。

日本人なら、ご飯にお茶をかけて、梅干しとか昆布とか鰹節とか海苔を入れて、ずずっとすすれば、「なんとか生きていける・・・」と思える。

フランス人にとっては、それがスープとパンなのだろう。

筆者も真似をして、スープを買い込んだ。もともと寒くなってきたので、スープが美味しい季節なんですね。

結局、一番数で売れていた物は?

さて、いろいろ述べてきたが、何が一番数で売れていただろうか。

棚のガラガラ度から見れば、トイレットペーパーだ。

でも、ガサがあるではないか。実際に売れた個数を見れば、それほどではないのかもしれない。

生鮮食料品は、いつもよりは減っていたが、それほどでもない。

ミネラル・ウォーター? ハム? じゃがいも? (なぜか)オリーブ? 日持ちする魚パック? ビスコット? これらも確かに品薄だった。

しかし、何と言っても、一番売れて棚がガラガラだったのは・・・。

ずばり「冷凍食品」である。

当然ですね。1ヶ月こもる訳ですから・・・。

フランスでは、オードブルからメイン、デザートまで、すべて冷凍食品で揃う。しかも、かなり美味しい。

このように調理済みで、オーブンかレンジで熱すれば良いだけの品だけではなく、素材をそのまま冷凍したものもかなり多い。

また、日頃からよく売れているのは、様々な種類の味付けの野菜ミックス。フライパンで炒めればいいだけで、便利な人気商品である。この日は見当たらなかったので、早々に売り切れだったのだろうか。

確かに、新鮮な野菜の1ヶ月分買いだめなんて、出来るものではない。スーパーは通常どおり開いているし、このような外出は認められているので、封鎖の間も買いに来ればいいのだ。でもやはりなんとなく不安で、来た時に品薄だったらどうしよう、とか考えてしまう。冷凍の野菜はありがたい。

普段の週末などはピザがよく売れるのだが、意外なことに、ピザの棚は激減というほどでもなかった。

「1ヶ月封じ込め」となると、毎日の栄養のバランスを考えて、調理ができて、日持ちがするものを買いたいという心理になるのだろう。

さあ、たっぷり買ったし、こもろう・・・。たまりにたまった新聞の整理でもしよう・・・。

欧州/EU・国際関係の研究者、ジャーナリスト、編集者

フランス・パリ在住。追求するテーマは異文明の出会い、平等と自由。EU、国際社会や地政学、文化、各国社会等をテーマに執筆。ソルボンヌ(Paris 3)大学院国際関係・欧州研究学院修士号取得。駐日EU代表部公式ウェブマガジン「EU MAG」執筆。元大使のインタビュー記事も担当(〜18年)。編著「ニッポンの評判 世界17カ国レポート」新潮社、欧州の章編著「世界で広がる脱原発」宝島社、他。Association de Presse France-Japon会員。仏の某省機関の仕事を行う(2015年〜)。出版社の編集者出身。 早稲田大学卒。ご連絡 saorit2010あっとhotmail.fr

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