「『二子玉川の環境と安全を考える会』が台風19号被害でHP消した」デマ拡散。2015年にサービス終了
令和元年台風第19号にともなう大雨による多摩川の氾濫をうけて、二子玉川地区の堤防整備に反対していた団体『二子玉川の環境と安全を考える会』がホームページを削除したとのデマが広がっています。
デマを広めている人は「反対団体が慌てて多摩川氾濫の責任逃れをしている」と指摘をしたいのでしょうが、反対団体は被害を知ってホームページを削除したわけではないと判断できます。
なぜなら、『二子玉川の環境と安全を考える会』がホームページを開設していたプロバイダのサービスは2015年2月28日に終了しているからです。
ホームページ作成サービス終了で強制消去
『二子玉川の環境と安全を考える会』のホームページは次のアドレス(URL)です。
http://www4.ocn.ne.jp/~i_love_t/
このURLにアクセスしても、ホームページは表示されません。
それはOCNドメインで提供されていたホームページ作成サービス『Page ON』は、2015年2月28日をもって終了しているためです。
『二子玉川の環境と安全を考える会』のホームページは、どう頑張ってもこの時点で強制的に削除されています。
拡散しているウェブ魚拓は2008年のもの
ホームページが削除された証拠として上記で掲載したウェブ魚拓が拡散されています。しかし、この魚拓が取られたのは2008年9月2日です。
2008年のウェブ魚拓を持ち出し、2015年には消えているホームページをいま削除されたと騒ぐのは疑問です。
公式な活動は2012年11月まで?
それでは、堤防整備に反対していた団体はいつまで活動していたのでしょうか? 気になる人もいると思うので調べてみました。
誰もが確認できる情報としては、国土交通省 関東地方整備局が平成20年(2008年)8月まで『二子玉川の環境と安全を考える会』と、続いて平成21年(2009年)3月まで『二子玉川南地区堤防沿川まちづくり懇談会』と、平成24年(2012年)11月6日まで『二子玉川の環境と安全を取り戻す会(名称変更)』との意見交換を行っていたことがわかりました。
また、『Google マップ』のストリートビューでは2013年6月まで「暫定堤防工事は必要か?→要らない」といった張り紙が貼られていることも確認できました。
そのほかにも「桜や松を切るな! これ以上自然を壊すな!!」という横断幕も掲げられていましたが、こちらは2019年5月撮影時点では撤去されており、反対活動が止まっていることを確認できます。
堤防は平成26年6月に整備完了
肝心の整備が争われていた堤防ですが、こちらは平成26年(2014年)6月をもって整備が完了しています。
その後は今回氾濫が起きた上部の堤防を整備する予定でしたが、なぜか現時点になっても「未施工」となっています。
反対活動が氾濫の原因かはわからない
「こうした反対活動が堤防整備を遅らせ、多摩川が氾濫する原因となった」という指摘もあると思いますが、実際のところなぜ整備が進んでいないのかはわかりません。
週刊文春が国土交通省京浜河川事務所に行った取材によると、「いろいろと調整が行われている」ようです。
氾濫の責任を誰かに取らせたいのはわかりますが、「『二子玉川の環境と安全を考える会』が台風19号被害でHP消した」はデマです。ご注意ください。