八神純子 45周年を迎えたSSWの矜持 「今日がピーク、明日はもっとピーク。進化を楽しみ、生涯現役」
デビュー45周年、歌手人生の中で大きな存在になっている3曲を、3人のアレンジャー、スーパーバンドとセッション
アレンジにこだわり、生演奏にこだわる――音楽職人達とアーティストのセッションから生まれる良質な音楽を届けるライヴ番組『Sound Inn S』(BS-TBS)。9月16日の放送回には、デビュー45周年を迎えた八神純子が登場。その歌手人生の中で分岐点となった3曲を披露する。
「この曲がなかったら今の私はない」大ヒット曲「みずいろの雨」を、坂本昌之のアレンジで披露
誰もが知る八神の代表曲のひとつ「みずいろの雨」を坂本昌之のアレンジで披露。変わらない伸びやかでパワフル、一点の曇りもないその声はさらに透明度と輝きを増している。華やかでクールなホーンとストリングスが、その「ゾクゾクする声」(坂本)にさらに光を当てると、凛とした佇まいのボーカルがさらに熱を帯びて伝わってくる。
「この曲がなかったら今の私はない」と本人が語るこの曲は、八神にとってまさに起死回生の一曲だった。プレデビューを経て、1978年に本格デビューするもヒット曲に恵まれず、「作家への転身を考えた」八神が、岩崎宏美のために書いたこの3枚目のシングル「みずいろの雨」がスマッシュヒット。一躍時の人になった。ちなみにこの曲のアレンジを手がけたのは「そして僕は途方に暮れる」(大沢誉志幸)や「My Revolution」(渡辺美里)などJ-POP史に残る名曲の数々をアレンジし、松田聖子「SWEET MEMORIES」の作・編曲を手がけるなど、日本の音楽シーンに新たな風を吹き込んだ天才音楽家・大村雅朗だ。大村はこの日披露した1980年にリリースされた「パープルタウン〜You Oughta Know By Now〜」のオリジナルアレンジも手掛け、決して色褪せない八神の音楽を共に作りあげた。
「パープルタウン〜You Oughta Know By Now〜」を島田昌典がアレンジ
1980年、八神は自身を見つめ直すためにアメリカに滞在し、帰国後、ニューヨークの街並みをイメージして書き上げ大ヒットを記録したのが「パープルタウン〜You Oughta Know By Now〜」だ。この日アレンジを手がけたのは島田昌典。島田は原曲のアレンジをリスペクトしながらも、ディスコビートを取り込んだ、跳ねるようなストリングスが印象的なダイナミックなアレンジを作り上げ、八神のボーカルとが相まって大きな感動が生まれる。八神は「気持ちよかった!」とアレンジを絶賛。「アメリカのポップスと日本のポップスの違いは、コード進行の複雑さ、凄まじさ。日本のアレンジャーは本当にすごい」と語っていた。
昨年日本人として初めて「女性シンガーソングライターの殿堂」を受賞
シティポップブームが続く中、八神は“日本のAORの女王”として海外ファンからも脚光を集め、この曲も支持されている。昨年日本人として初めて「Women Songwriters Hall of Fame(女性シンガーソングライターの殿堂)を受賞。世界的に評価された八神は「私にしか歌えない歌を、私にしかできない表現力で日本でやってきたつもり」とその矜持を語っている。
聴き手と自身の人生の応援曲「明日の風」を笹路正徳のアレンジで披露
3曲目は2016年に発表した人生の応援歌「明日の風」を笹路正徳のアレンジで披露した。「ピアノ一本だけで歌うことも多いこの曲を、木管などが入ったアレンジに仕立てくださり新鮮だった」(八神)と、笹路が手がけた温もりがある柔らかなサウンドに乗せ、力強い歌詞をひと言ひと言丁寧に歌い、届けた。長めの間奏ではストリングス、木管を含むバンドの美しい響きを堪能でき、素晴らしい演奏が歌をより豊かなものにしていることを感じさせてくれる。歌手人生で初めて挫折した経験を語り、この曲は聴き手に寄り添いながらも自身も勇気づけている。
東日本大震災の復興支援を続ける中で見つけた“原点”
八神は2001年から活動休止状態だったが2011年に活動再開。東日本大震災の復興支援を積極的に行い、自身が歌手活動を再開する大きなきっかけにもなっている。復興支援であらゆる場所で被災者に向け歌を歌いながら「自分にとって歌を歌うことが、どれだけ生きる力になっているかわかった」と語っている。そんな思いが歌詞とメロディに込められているのが「明日の風」だ。
「今日がピーク、明日はもっとピーク」
全てのパフォーマンスを終えた八神は「今日がピーク、明日はもっとピーク、それを楽しみながらずっと進化を続ける。生涯現役」と力強い言葉を残した。
45周年を迎え、ますます磨きがかかった歌を聴かせてくれる八神純子のパフォーマンスは、9月16日(土)BS-TBSで18時30分から放送される。