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コパアメリカで辣腕を振るった7名のアルゼンチン人監督

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
(写真:ロイター/アフロ)

 コパアメリカ準決勝で、アルゼンチンは2-0でカナダを下して2大会連続ファイナルに駒を進めた。

 今大会中に37歳となったエース、リオネル・メッシの働きに期待が掛かるが、今年のコパアメリカを見ながら筆者が感じるのは、アルゼンチン人指導者の層の厚さである。

アルゼンチン代表のリオネル・スカローニ
アルゼンチン代表のリオネル・スカローニ写真:ロイター/アフロ

 南米大陸王者を目指して参戦した16カ国のうち、実に7名のアルゼンチン人がナショナルチームの監督を務めていた。

コロンビア代表のネストル・ロレンソ
コロンビア代表のネストル・ロレンソ写真:ロイター/アフロ

 アルゼンチン代表のリオネル・スカローニ。

 コロンビア代表のネストル・ロレンソ。

 ウルグアイ代表のマルセロ・ビエルサ。

 パラグアイ代表のダニエル・ガルネーロ。 

 ベネズエラ代表のフェルナンド・バティスタ。

 コスタリカ代表のグスタボ・アルファロ。

 チリ代表のリカルド・ガレカ。

ウルグアイ代表のマルセロ・ビエルサ
ウルグアイ代表のマルセロ・ビエルサ写真:ムツ・カワモリ/アフロ

 つまり、今夜、催されるもう一組の準決勝、コロンビアvs.ウルグアイ戦は、アルゼンチン人監督同士の戦いとなる。

写真:ロイター/アフロ

 アルゼンチンにとって歴史的なライバルと呼べるブラジルを凌駕し、なぜここまで同国の指導陣は評価されるのか。

 本コーナーでお馴染みのセルヒオ・エスクデロは次のように説明した。アルゼンチン・ユース代表、ビーチサッカー代表だった人である。

セルヒオ・エスクデロ 撮影:筆者
セルヒオ・エスクデロ 撮影:筆者

 「教え方の情熱が違うと僕は思いますね。コーチにはもちろん理論が必要ですが、その場、その場でのパッションに差がありますよ。ブラジルの方がテクニックはあるかもしれない。でも、アルゼンチン人には技術以上にガッツと最短距離でゴールを奪いにいくメンタルが備わっています。

 ロナウジーニョやネイマールみたいなファンタジスタって、アルゼンチンからはそんなに育たないでしょう。僕たちは、ブラジルほどピッチで遊び心を見せません。でも、常にバランスの取れた闘いをするんだという共通認識があります。少年を指導する若いコーチもそうなんです。だから、指導者が育つんだと僕は思いますね」

エルナン・クレスポ
エルナン・クレスポ写真:ロイター/アフロ

 エスクデロは付け加えた。

 「先日、ACL決勝で横浜Fマリノスを下したアル・アインの監督もアルゼンチン代表のストライカーだったエルナン・クレスポです。祖国から遠いアジアでも、きちんとその土地、国民性を把捉した指導ができる。そういった引き出し量と柔軟性も身につけているんですよ」

 さて、数時間後にキックオフされるコロンビアvs.ウルグアイ戦でのアルゼンチン人監督同士の采配も興味津々だ。いかに激しい闘いが繰り広げられるか。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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