【不安障害のクライアントとうつ病患者の違い】を精神医学に詳しい心理カウンセラーが語ります。
こんにちは。
精神医学と性格心理学に詳しい
心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。
今日は、「不安障害とうつ病の違い」というテーマでお話しいたします。
はじめに、不安障害とうつ病を見分けるのは、専門家でも難しいです。
けれど、傾向として、「不安障害のクライアントは、未来を心配していることが多く、うつ病患者は過去のことを後悔していることが多い」とは言えそうです。次に、「不安は一過性であることが多く、うつは連続して機能が大幅に低下することが多い」などの違いもあります。
また、不安障害のクライアントは、不安の対象が比較的ハッキリしていることが多いのですが、うつ病患者は不安の対象がぼんやりしていることが多いです。
さらに、この点についてもう少し詳しく言及すると、不安障害の人は、不安の対象が健常者から見ても理解することが出来ることが多いのですが、うつ病患者が抱える不安は、健常者から見ると理解することが難しいという点が挙げられます。
例えば、不安障害のクライアントが抱える心配は、「受験に失敗したらどうしよう?」とか「告白して振られたらどうしよう?」とかいうもので、健康な精神状態を持つ人から言わせても、「それは、可能性としては大いにあるね、心配だね」という感じになるかと思いますが、
うつ病患者は、現在、収入が安定していて、健康な身体を持っているにも関わらず、「将来貧乏になったらどうしよう?」「将来病気になったらどうしよう?」と考えることが多く、健康な精神状態を持つ人から言わせると、「そんなこと、今から心配してどうすんの?」という感じになるのではないでしょうか?
ここまで言うと、
「自分は不安障害なのだろうか、うつ病なのだろうか?」と思い悩む人がいるかと思いますが、病名には、それほどこだわる必要はないかと私は思います。要するに、「治ればいい」ということです。
ちなみに医師は、不安障害かうつ病かわからない患者に対しては、非定型抗精神病薬か抗不安薬を処方することが多いです。いきなり抗うつ薬を出すことは少ない…というのが現状です。何故かと言うと、抗うつ薬は副作用を起こす恐れが大きいからです。
臨床数が豊富な精神科医でも、短い診療時間で、目の前の患者が「不安障害なのか、うつ病なのか?」を判別するのは困難です。よって、薬を飲ませてみて、探り探り、患者に合ったお薬を処方していくという手立てを取ることが多いです。
抗不安薬は、飲めば数十分で効き目が表れます。
抗うつ薬は、飲んで数日から数週間で効き目が表れます。
抗不安薬を飲んで、精神状態が改善されれば、不安障害だったということになり、抗不安薬を飲んでも精神状態が改善されず、うつ病の薬を飲んで症状が改善されれば、うつ病だったということになります。
最後に…、
薬を飲んでも精神状態が改善されない場合は、そのことを繰り返し医師に訴えるのではなく、「自分の場合は、薬物では改善されにくい心の病ではないか?」と考えることが非常に重要です。どうぞそのことは覚えておいてください。
というわけで、今日は、「不安障害とうつ病の違い」というテーマで、お話させていただきました。
今日も最後までお読みくださって、どうもありがとうございます。
心から感謝申し上げます。
この記事を書いた人は、心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。