【オートバイのあれこれ】シリーズの最後を飾った、「スーパーな」ホーク。
全国1,000万人のバイクファンへ送るこのコーナー。
今日は「シリーズの最後を飾った、『スーパーな』ホーク。」をテーマにお送りします。
1978年(昭和53年)に『CB400T ホークⅡ』のバリエーションモデルとして登場した『CB400N ホークⅢ』。
このホークⅢのアップグレード版のような形で80年に現れたのが『スーパーホークⅢ』でした。
外観デザインをはじめ、エンジンやフレームといった基本フォーマットの部分はほぼそのまま400Nを踏襲していたスーパーホークⅢ。
どのあたりが「スーパー」になっていたのかと言うと、それは主に足まわりのディテールです。
まずブレーキを見てみると、スーパーホークⅢのブレーキには前後共にディスク式が採用されていました。
400Nはリヤがドラム式でしたから、ここが大きな変更点の一つだったと言えます。
そして、ここでぜひ触れておきたいのが、このスーパーホークⅢがトリプルディスク(前2枚/後ろ1枚)ブレーキを採用した初の市販400ccモデルになったということ。
今でこそ至極スタンダードな前後ディスクブレーキですが、この当時としては話題性抜群のディテールでした。
また、スーパーホークⅢのブレーキに関しては他にも見どころがあります。
備え付けられた3枚のディスクローターは先進的なドリルド(穴あき)タイプとされ、さらにディスクを挟む役割のキャリパーも、市販オートバイでは前例の無いデュアルピストンキャリパー(1つのキャリパー内にピストンを2つ内蔵)となっていました。
スーパーホークⅢが「スーパー」たるゆえんは、これら豪華なブレーキ系パーツにあったと言っていいかもしれません。
次にサスペンション。
スーパーホークⅢのフロントフォークには、セミエアタイプが投入されました。
一般的なコイルスプリングに加圧空気による衝撃吸収力をプラスすることで、より優れた乗り心地と路面追従性を実現していました。
フォークのアウターチューブ(ボトムケース)とリヤショックユニットのスプリングがゴールドに塗られ、見た目にも「スーパー」な雰囲気が演出されていたことも見逃せないポイントです。
そして「スーパー」と言える特徴のラストが、チューブレスタイヤを履いたこと。
市販オートバイ初のチューブレスタイヤ装着車となった『GL500』(77年デビュー)に続き、スーパーホークⅢもチューブレスタイヤを標準装備したのでした。
先述のトリプルディスクブレーキ同様、チューブレスタイヤも現在ではごくごく一般的なものとなっていますが、70年代半ば頃まではまだバイク用のチューブレスタイヤというのは実用化されておらず、スーパーホークⅢのタイヤも、当時のバイクファンにとっては「スーパー」な部分だったと言えるでしょう。
ブレーキ、サスペンション、タイヤ…。
スーパーホークⅢの見どころは、足まわりに集中していたと結論づけていいかもしれませんね。
ただ、ハンドルやブレーキペダル、シフトペダルがジュラルミン鍛造製となるなど、400Nからグレードアップしていた箇所は他のパートにもいくつか見られました。
スーパーホークⅢが登場して以降は、4気筒の『CBR400F』やV4エンジンの『VF400F』等がリリースされたこともあり、ホークシリーズは終焉を迎えます。
スーパーホークⅢはシリーズのトリを飾るにふさわしい、まさに文字どおり「スーパーな」ホークだったと言えるでしょう。
画像引用元:本田技研工業