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松島幸太朗、フランスで語った日本代表への思いは?【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
写真提供=V.Duvivier@ASM Clermont Auvergne

 今季、フランスのプロリーグトップ14のASMクレルモン・オーヴェルニュに移籍した松島幸太朗が8月17日、日本人メディア向けのオンライン会見に臨んだ。

 昨秋のワールドカップ日本大会では、日本代表として5トライを挙げて8強入り。今季は、ワールドカップ開催国でもあるフランスでの活躍が期待される。

 取材では現地での状況や現在の日本代表への思いについて語った。

 以下、共同取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

――合流し、チームになじむまで。

「割と早く皆となじむことができたかと思います。(選手とは)いまは英語と簡単なフランス語でコミュニケーションを取っています。フランス語しかできない選手もいるので、そこはノリでやっていますけど。

 まだ合流して5~6週間なので、コンビネーションという意味ではしょうがない部分はありますけど、いまは最初に比べたら合ってきたかなという感じです。

 最初は英語圏の選手と話すことが多くなっていたので、フランス語もしゃべらなきゃいけないので、フランス語を聞けるようになるように、フランス語の選手とかも(輪に)入れるようにしたりとかは、意識的にやっていることも多いですかね。

 ラグビー単語を覚えれば大体、(プレー中の)指示はできるので、先週、今週で大分スムーズになってきた。そこは成長しているところですかね」

――練習は。

「いまのところは毎日2部練習とウェイトトレーニングをしています。

 スキル、パススキル(の練習)とかよりも、バックスは広いスペースを使った2対2、3対3が多い。

 結構、(動きのなかで)僕も10番(スタンドオフ)に入ることが多い。フォワードに指示することが多い。バックスからは外の状況を聞く感じで」

――合流前、体力面がやや不安と言っていたが、現状は。

「走るというところではほぼ大丈夫。あとは自分の体重とどうアジャストしていくというところを考えながらやっていきたいと思います」

――フランスで驚いた練習は。

「2部練習とウェイト、フィットネスが毎日ある。こういうことは、合宿ではやりますが、シーズン2週間前までこうやるのは経験したことがない。思ったより、結構、やるなというイメージですね。(長期にわたる)シーズンに入ったらあまりウェイトとかができないのも(理由として)ある。それで結構、積極的にやっていると思います。今週から落としてく感じです」

――ポジションは。

「基本はフルバック(15番)でやらせてもらっています。

 ずっと15番をやっていて、しっかり自分から指示もできるようになってきたりしているので、自分も15番としてゲームの流れを動かしている意識を持ってやらなければいけない、そこは前より意識してやっています。僕のなかでは結構アピールできていると思う。バックスコーチとかにどうしてほしいかを聞いたりしている。うまくコミュニケーションをとっていきたい」

――練習試合は。

「先週の金曜日。30分を3セットです。ディビジョン2のチームとです。

 練習試合をまだひとつしかやっていないのであれですけど、練習ではスピード、ステップワークの所は通じているかなというところ。僕自身こっちに来て5キロくらい増えたので、そこの体重に合わせている感じです。

(体重増加は)そんなに意識していなかったんですけど、ウェイトトレーニングが増えて、体力が消耗する。その分、プロテインを飲まなきゃいけなくなった。筋肉量が増えているイメージです。結構、走れている。これから徐々に自分の身体に合わせていきたいです」

――シーズン前に2つ、練習試合をするが。

「バックス、フォワードへのコミュニケーションのところをしっかり、僕は特にやらなくてはいけない。練習から意識したい」

――9月6日に開幕。トゥールーズとの大一番。

「出られることを目標にする。そのためにしっかり練習からアピールはできていると思うんで、コミュニケーションの部分で不透明なところを明確にするところを頑張っていければ、試合でもパニックにならないかなと。技術もそうですが、メンタル的にも準備したい」

――ヘッドコーチから特別に言われていることは。

「コミュニケーションはいっぱい取っていますけど、基本的に一般的にどんどんボール触って、動かしていってと。どんどんボールを持ってアタックしたいのがクレルモンのスタイルだと、常に言われている。簡単にキックするんじゃなくて、なるべくボールを保持して、と言われました」

――フランスでも、新型コロナウィルスの感染は拡大しています。チーム、選手でどんな対策を。

「チームは週1くらいでPCR検査はしています。で、結構、選手たちも敏感なところはあるので、皆、手洗い、消毒をしているのを見ます」

――現状、松島選手の参加するトップ14が日本代表選手の試合が見られる唯一の機会となる。

「僕が試合に出ることで盛り上がるのかなというところがある。試合に出て活躍することに自信を持ちながらやっていきたいです」

――チーム目標と個人目標を。

「チームとしては優勝を目指す。個人では試合に出ること、ハイスタンダードのパフォーマンスを維持して出る試合では全部、いい活躍ができるように自信を持って臨んでいきたいです」

――ピッチ外のことについても。お気に入りの場所は。

「町という町は1回くらいしか行っていない。コロナもあるので。そもそも月曜から金曜まで練習で、朝から4時くらいまでクラブハウスにいる。日曜日はほぼ店がやっていないので、行けるとしたら土曜日くらい。外出することもあんまりないですね。あとは、身体が大分疲れているという感じです」

――オフにモナコへ出かけたとか。

「ほぼゆっくり、ですね。あまりコロナが少ないというのもあっていったんですけど、あまりでも、まぁ、ソーシャルディスタンスを保ちながら散歩する感じ。街並みがきれいだった」

――家は。

「4週くらいはクラブハウス近くのアパートホテルみたいなところにいて。結構クレルモンって、家を探すのが難しいらしく、結構、時間かかった。家は、そこで妥協したくないと思って、ちゃんとしたところにしました。

 物件が少なく、人が常に入っている状態なので、入れ替わりで入るという感じ。家具もあるところはありますし、ないところはない。

 クレルモンの選手がちょうど引っ越すということになったので、そのタイミングでそこにしようかなと。眺めはすごくいいですね」

――ここからは代表戦について。11月に発足するエイトネーションズに日本代表が参戦する可能性もある。

「開催されれば出たい気持ちがある。そのためにも(トップ14で)試合に出続けてコンディションをいい状態にしておきたい。それまでに試合勘を身に付けておきたいというのはあります」

――日本代表がエイトネーションズに参加するとすれば、9月頃から合宿がありそう。その時期に参加要請があった場合、合宿に参加するか。

「帰ったとしても自主隔離があると思うので、その2週間がもったいないし、ちょうどシーズンが始まる時期なので、なかなか難しい」

――ヨーロッパで合流するイメージか。

「(うなづく)」

――ジェイミー・ジョセフヘッドコーチや藤井雄一郎強化委員長からの要求は。

「そうですね、たまにジェイミーやS&Cの方とメールしたり。こんな感じのフィットネスをやっていましたみたいなことを。(メールは)フランクな感じなので、僕が練習をやっている感じを伝えて、いいねとか、そういう感じです。そんな、内容的には、そんな詰まっている感じではないです」

――代表候補選手はオンラインを実施中。

「時間的に合わなかったので、僕は参加できなかった」

――本来であれば、6~7月にウェールズ代表やイングランド代表と対戦予定だったが、中止となった。

「どこの国も同じだと思うんですけど、シンプルに代表の試合が少なくなることがこの先どう影響してくるのかというのがある。個々それぞれがクラブでハードワークするかどうかが、秋に影響すると思う。

 結構、難しい(状況だ)と思います。試合勘、コンビネーション、タイミングだったりで。僕自身もこっち来てすぐに練習を始めたんですけど、慣れるまでには時間がかかったので。いくら自分でフィットネスをやったとしても、ラグビーを始めると全然違うので、そこは結構、対応が難しいかと思います」

――去年のいま頃はワールドカップに向けて練習していたが。

「ワールドカップで自分をアピールしたことによっていまこの場にいると思う。ジャパンで出る時は、いま経験していることを出していきたいと思います」

 内なる手ごたえを淡々と伝える松島。日本代表への参加も意欲的だ。最後は、常に命の大切さを説くこの人らしい見解を示した。

――日本でスポーツができない高校生へメッセージを。

「なかなか試合も練習もできない状況ですけど、そこはコントロールできない。まずは自分たちで感染しないように心がけないと。いま練習しているのであれば、予防して。感染者が出ればまた数週間(練習が)できなくなる。自分が感染すればチームが動かなくなると考えながら行動していった方がいいかなと思います」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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