梅雨後半の見通しは? 特別警報は7月上旬に最も多い
梅雨前線は6月26日頃にかけて、関東付近に停滞する。その後、沖縄の梅雨明けとともに、西日本で前線の活動が活発になる見通し。特別警報の発表は7月上旬が最も多い。迫る大雨、心構えは待ったなしだ。
梅雨入りは遅速の二極化
6月19日午前、東北南部と北部の梅雨入りが発表され、これにより北海道を除くすべての地域が梅雨入りしました。今年の梅雨入りは九州から東海地方で記録的に早くなった一方で、関東から東北地方は平年より一週間程度遅くなり、遅速の二極化が鮮明になりました。なお、今年の梅雨入りは実際の天気経過を見たうえで、9月初めに確定します。
梅雨前線は関東へ
6月21日(月)は夏至。そろそろ梅雨も折り返しです。今週(26日頃にかけて)は太平洋高気圧が日本の東で強まるため、梅雨前線は関東付近に北上する見通しです。そのため、名古屋から仙台にかけての地域で雨の日が多くなる見通しです。また、沖縄の梅雨明けは少し遅れそうです。
沖縄の梅雨明けが西日本の大雨サイン
梅雨前線の位置は太平洋高気圧の張り出しに左右されるため、予想のポイントは太平洋高気圧の動向をしっかり見ること。6月末から7月初めにかけて、今度は太平洋高気圧が西に張り出すようになるでしょう。このタイミングで沖縄は梅雨が明け、梅雨前線は西日本を横切るようになります。
梅雨前線とその南側は雨の降り方が最も激しくなる場所で、西日本がそれにあたります。7月になると、太平洋高気圧の縁に沿って大量の水蒸気が流れ込み、梅雨前線の活動が一段と活発になることが予想されます。
特別警報は7月上旬に多い
特別警報が始まって、今年で9年です。これまでに13事例で特別警報が発表されました。それを時系列で示したのがこの図です。特別警報は7月から10月までの4か月に集中し、前半は梅雨前線、後半は台風によるものが多いという特徴があります。
この表を見ると、2017年の九州北部豪雨、2018年の西日本豪雨(平成30年7月豪雨)、2020年の熊本豪雨(令和2年7月豪雨)はすべて7月上旬に起こっています。
特別警報はその名の通り、命の危険さえ感じるような大雨や暴風などが差し迫っていることを知らせるものです。これまで年に2~3事例が特別警報の対象となり、かなり限定的と思われていた見通しとかけ離れている印象です。
それだけ日本の夏が変わってしまったのか、同じような思いは台風が史上最多の10個上陸した2004年にも感じました。時が経たないとはっきりとした答えは見えてこないでしょう。しかし、7月が目前に迫っている今、あれこれ考えている時間はない。大雨への備えは待ったなしです。
【参考資料】
気象庁:週間天気予報解説資料、2021年6月20日
気象庁:全般季節予報支援資料 1か月予報(6月19日~7月18日)、2021年6月17日