小学生はどの教科を将来役に立つと考えているのだろうか
小学生は多様な教科を学ぶが、将来役に立つこともないであろうと考え、学ぶ目的意識が欠けた中で学ぶ教科もあるかもしれない。小学生はどの教科を将来役に立つと考えているのだろうか。学研教育総合研究所が公開している「小学生の日常生活・学習に関する調査」(※)の結果から、小学生自身が考える「学校の授業で将来役に立つと思う教科」の実情について確認する。
次に示すのは学校の授業で将来役に立つと思う教科。択一回答形式なので、選択された教科以外がまったく役に立たないと思われているわけではない。
もっとも多くの小学生から将来役に立つと思われている教科は算数。32.2%と1/3近くの小学生が同意を示している。理数系を好まない子供が増えているとの嘆きの声を聞くこともあるが、少なくとも小学生側の認識では、役立つものと認められているようだ。ただし、同じ理数系の教科としての理科はわずか2.1%でしかないのが残念なところ。具体的に実生活で活用する場面をイメージし難いのだろうか。
算数に次いで多いのは国語で22.9%。毎日のように国語の勉強内容を活用する場に遭遇するのは容易に想像できることから、役立つと考えるのは当然だろう。国語をしっかりと学んでおけば、他人とのコミュニケーションで戸惑うこともなくなるかもしれない。
コミュニケーションという観点では外国語が第3位に入っているのも納得できる。外国語を知らないとその言葉を使う人と意思疎通はできず、書かれている文章も読めない。海外の製品に触れる場でも、操作方法や注意事項を確認できない。外国語を学んでおかないとそのような難儀を覚えてしまうので、将来役立つ教科に違いないと考えるのはごく普通のこと。
「総合的な学習」とは学習指導要領において2000年から段階的に始められた、子供達自身が自発的に総合的な課題学習を行う教科。学年区分や大学の講座のような選択制によるものがあるが、内容は多様におよぶ。小学生からは算数や国語、外国語に続くポジションで、将来役に立つと思われているようだ。
他方、「無い」、つまり今学んでいる教科はすべて将来役に立つとは思えないと考えている小学生も6.0%いる。単に将来像がまだイメージできないのか、本当に将来役に立たない無駄な教科ばかりを学ばされていると考えているのか。
上位教科について属性別に確認したのが次のグラフ。
算数は女子よりも男子の方が多くの人から役立つと考えられている。学年別では傾向だった動きはない。国語は小学1年生と小学2年生で高めで、小学3年生から値が落ちるが、これは小学3年生以降に外国語が入るからだと思われる(現在の教育課程では小学3年生以降に外国語の授業が行われるため、小学1年生と小学2年生では回答値が無い)。
総合的な学習は小学校の低学年で支持が大きめ。他方、理科は小学1年生と小学2年生においては、授業が行われていないため、回答はゼロとなっている。これは外国語と同じである。
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※小学生の日常生活・学習に関する調査
直近分となる2021年分は2021年8月27日から30日にかけてインターネット経由で、小学生の子供がいる保護者を対象として保護者付き添いの下で小学生本人が回答するように答えてもらっている。有効回答数は1200人。男女別・学年別で均等割り当て。調査協力会社はクロス・マーケティング。
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