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この外野手が「ゴールドグラブのファイナリスト」は何かの間違い!? 守備スタッツは軒並みマイナス

宇根夏樹ベースボール・ライター
ホアン・ソト(サンディエゴ・パドレス)Oct 23, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ホアン・ソト(サンディエゴ・パドレス)は、ゴールドグラブのファイナリストに名を連ねている。けれども、受賞はしないはずだ。そもそも、ファイナリストになっていることに、疑問符がつく。

 ナ・リーグのレフトのファイナリストは、ソトの他に、ムーキー・ベッツ(ロサンゼルス・ドジャース)とドールトン・バーショー(アリゾナ・ダイヤモンドバックス)の2人だ。ソトは、ナ・リーグの2チーム、ワシントン・ナショナルズとパドレスでプレーした。

 ベッツとソトが守備についた外野のポジションは、ライトだけだ。それぞれ、1154.1イニングと1298.1イニングを守った。バーショーは、ライトが541.2イニングとセンターが378.2イニング。外野以外には、ベッツが二塁手として46.0イニング、バーショーは捕手として175.0イニングを守っている。

 ベッツの外野の守備スタッツは、DRSが+15、OAAが+4、UZR/150は+15.2だ。バーショーは、ライトが+14と+10と+29.3で、ライトとセンターと合わせた外野全体は+19と+17と+23.2となる。2人とは対照的に、ソトのスタッツは、マイナスの数値が並ぶ。DRSが-2、OAAが-12、UZR/150は-2.7だ。

 ナ・リーグで外野の守備イニングが700.0以上の39人中18人は、3つのスタッツのいずれも、ソトより優れている(外野全体のスタッツ)。そして、この18人のなかには、ベッツとバーショーの他にも、ライトの守備イニングがレフトとセンターより多かった選手が3人いる。ラーズ・ヌートバー(セントルイス・カーディナルス)とハンター・レンフロー(ミルウォーキー・ブルワーズ)、ロナルド・アクーニャJr.(アトランタ・ブレーブス)がそうだ。

 ヌートバーは、ライトで585.0イニング、センターで80.0イニング、レフトで46.0イニングを守り、ライトで+3と-1と+7.6、外野全体では+4と±0と+7.9を記録した。レンフローは、ライトの1043.2イニングで+2と-2と-0.1。アクーニャJr.は、ライトの792.0イニング(とセンターの1.0イニング)で+1と-4と-0.8だ。3人とも、ベッツとバーショーとは比べものにならないものの、ソトの数値は上回っている。

 ちなみに、鈴木誠也(シカゴ・カブス)は、905.1イニングでライトを守り、-4と-4と+3.4だった。

 なお、ソトは、シルバースラッガーのファイナリスト、ナ・リーグの外野手9人にも入っている(ベッツもそうだが、バーショーは違う)。ソトの27本塁打は9人中4位タイ、出塁率.401は1位、OPS.853は3位。出塁率は突出していて、他の8人は.370に届いていない。こちらは、ゴールドグラブと違い、受賞してもおかしくない。過去2年も、ソトは、シルバースラッガーに選ばれている。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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