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nanaco「Apple Pay対応」にポイ活勢が注目する理由

山口健太ITジャーナリスト
nanacoがApple Payに対応(セブン&アイHD提供画像)

10月21日、「WAON」と「nanaco」がApple Payで使えるようになりました。単にiPhoneやApple Watchから使えるだけでなく、「ポイ活」勢はチャージに注目しているようです。

ポイ活の基本テクニックといえるのが、チャージを使いこなす方法です。たとえば電子マネーにクレジットカードでチャージすることで、ポイントを獲得する機会を増やすことができます。

セブン-イレブンでは税金や公共料金などの支払いにnanacoを使うことができます。つまりnanacoにチャージしてポイントをもらえるクレジットカードを持っていれば、税金や公共料金の支払いからもポイントを得られるわけです。

nanacoによる支払いは1回5万円が上限ですが、1度の支払いに複数枚のnanacoを使うことができるため、これをフルに活用して多額の支払いを少しでもおトクに済ませるという節約術がありました。

しかし2020年3月、nanacoにチャージできるクレジットカードが大きく制限されたことでこの方法は下火になります。その後、筆者は「Yahoo!公金支払い」で手数料を負担しつつ、クレジットカードで支払ってきました。

そこへやってきたのが今回のApple Pay対応です。チャージにはJCB、Mastercard、American Expressブランドのクレジットカード等が利用できるそうなので、さっそく試してみました。

iPhone上に新規発行したnanacoにApple Payの別のカードからチャージできた(筆者作成)
iPhone上に新規発行したnanacoにApple Payの別のカードからチャージできた(筆者作成)

nanacoをiPhoneに登録するには、既存のプラスチックカードから移行する方法と、iOSアプリの「nanaco」から新規発行する方法があります。新規発行でも、従来300円かかっていた手数料は不要。すぐに使えるようになりました。

チャージは1000円から、Visaカードは使えませんが、iPhoneに登録しているMastercardブランドなどのカードを選択可能。ミクシィのJCBプリペイドカード「6gram」もチャージに利用できました

追記:

2022年6月9日、Apple Payを利用したMIXI M(旧6gram)からnanacoへのチャージはできなくなりました。

再注目のきっかけになるか

注目ポイントの1つは、モバイル利用の動向です。nanacoはすでにAndroidに対応しているものの、モバイル利用者はnanaco利用者全体の1割程度にとどまっているといいます。

一方、Suicaは2016年10月のApple Pay対応をきっかけに、モバイル会員数の増加に弾みがついています。同様に、nanacoのモバイル利用も増えるのでしょうか。

モバイルSuicaはApple Pay対応で勢いづいた(2020年9月、JR東日本のプレスリリースより)
モバイルSuicaはApple Pay対応で勢いづいた(2020年9月、JR東日本のプレスリリースより)

また、アプリ決済との比較も興味深い点です。アプリ決済ならスマホOSを問わず対応でき、大型還元も相まって「○○ペイ」は台頭してきました。イオンはiAEONで、セブン&アイはPayPayと組んでアプリ決済を進めています。

しかしアプリ決済を使うにはデータ通信が必要となっており、携帯キャリアの通信障害が起きた際にはキャッシュレス決済に不安の声が上がりました。これに対してFeliCaならスマホ側の通信に依存せずに支払いができるメリットがあります。

WAONもnanacoもすでに全国に普及し、日常的に使われている電子マネーではありますが、今回のApple Pay対応をきっかけに再び見直す動きにつながるか注目しています。

ITジャーナリスト

(やまぐち けんた)1979年生まれ。10年間のプログラマー経験を経て、フリーランスのITジャーナリストとして2012年に独立。主な執筆媒体は日経クロステック(xTECH)、ASCII.jpなど。取材を兼ねて欧州方面によく出かけます。

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