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【名古屋市】ありえないボリューム!36kgの肉塊が3時間で完売する人気キッチンカーのケバブを実店舗で

羽矢旬良ライター(名古屋市)

基準は大学生の貪欲な胃袋

今年の5月、名古屋市緑区の閑静な住宅街に1軒のケバブ屋さんがオープンしました。

もともと、大学の構内にキッチンカーで出店していたお店で、学生が求める「安い」「うまい」「量が多い」という欲求のすべてを満たして連日大盛況。行列必至の人気店だったそうです。

天白区を中心に愛知県内の大学に通う大学生をとりこにしてきた、「日本人が作る日本人のためのケバブ」とはどのようなものなのか。興味津々、オーナーの西井千尋さんにお話を伺いました。

そもそもなぜケバブのお店を始めようと思ったのか

「お店を始める前は建設に携わる仕事をしていて、全国を飛び回る転勤族でした。そうした生活を送る中、大切な人と出会って家庭を持ったわけですが、家族とのかかわりを考えると、一所(ひとところ)に腰を据えて生活したほうがいいと感じたのですね。それで、地元の名古屋に戻ることにしました」(西井さん)こうして地元に戻った後もしばらく同じ業界で働いていたのですが、自分が携わる仕事の先行きに対して漠然とした不安を抱いており、「この先どうしよう」といつも考えていたそうです。やがて一念発起し、お店を開くことを決意します。

「最初はトルコのお菓子『ピシュマニエ』のお店を始めようとしていました。妻の祖母はトルコが大好きで、よく旅行に行きます。その時お土産にもらっていたお菓子です。このお菓子、すごく美味しいし見た目も面白い。日本ではほとんどの人が知らないだろうから自分が広めてみたいと考えました。ただ、味は知っていても作り方がわからなかった。ネットで検索しても当時はこんなマイナーなお菓子の作り方は出てきませんでした。そこで、日本にいるトルコ人に直接聞いたほうが早いと思って、『ピシュマニエ』が作れるトルコ人を探し回りました」(西井さん)

そうした日々を送る中、ついに師匠となるトルコ人と出会います。そのトルコ人はケバブのお店を経営しており、お店の跡継ぎを探していたそうです。出会った時「あなたはお菓子じゃなく『ケバブ』をやったほうがいい」と言われた西井さん。とまどいつつも「とりあえずケバブを教えてもらって、ケバブ屋でそれ相応に稼げるようになったら『ピシュマニエ』に取り組めばいいか」と考え、出会って3日後に弟子入りを決めたのだとか。こうして西井さんのケバブ職人としての新たな人生がスタートしました。今からおよそ4年前のことです。

こだわりのケバブ

1年ほど師匠の元で修行した西井さんは、いよいよ自分のお店をスタートさせます。キッチンカーで大学の構内に出店するというやり方で、徐々に学生の間で評判となっていきました。「トルコ人が作るケバブはスパイスが独特でクセがあり、お肉も少しパサパサしていると感じていました。日本人って、ジューシーなお肉が好きじゃないですか。だから僕は自分なりに日本人の口に合わせてアレンジした『ケバブ』を作ろうと考えました。とは言え、トルコ料理はイスラム圏の料理、つまりハラール料理です。そこは尊重し、僕に教えてくれた師匠の出身であるトルコの人でも食べることができるよう、それを踏まえた上でのアレンジにしていますけどね」(西井さん)

西井さんが作るケバブ、使うお肉はブラジル産のハラールマークが貼られた鶏肉で、国内の大手食品メーカーの系列店から仕入れている信頼できるもの。この鶏肉の下処理をする段階で、ジューシーさとうまみが出るよう工夫します。

スパイスの風味は控えめ
スパイスの風味は控えめ

そして、料理の仕上げに使うオリジナルソースは万人受けする味となっています。

ケバブサンドとケバブラップ

今回筆者は、「チーケバブ」さんのメインメニュー「ケバブサンド」と「ケバブラップ」をオーダー。S・M・Lと3つのサイズがありましたので、「ケバブサンド」はSを、「ケバブラップ」はMでお願いしました。

ドリンクは、ケバブとセットだと200円です。

まずは、ケバブラップを作っていただきました。トルティーヤで具材を巻いて仕上げたものです。最初にトルティーヤをロースターで軽くあぶると美味しくなるんだそう。

お肉の焼けたところを薄く削いでいくのは、ケバブ店でのおなじみのシーン。

お肉をロースターで焼いた時にしたたり落ちた肉汁にはうまみがたっぷり含まれています。これを無駄にせず、削いだお肉にこの肉汁をたっぷり絡ませます。

ある程度具材を乗せたところで、いったんソースをかけます。

お肉はこれで半分ほどの量
お肉はこれで半分ほどの量

さらにお肉を追加!

お肉とキャベツ盛々。それにしてもすごいボリューム!これでMサイズですか。

美味しそう!Mサイズは男子大学生の胃袋を想定しているのだとか。ちなみにLサイズは体育会系男子が満足するレベルなんだそう。

続いて、ケバブサンドを調理していただきました。こちらは女子大生向けSサイズ・・・でした・・・よね・・・えッ!

まさかの肉爆弾!

こんなケバブ、見たことがない。

ようやくテーブルにお箸が置かれていた意味が分かりましたよ。かぶりつけないので、最初にお箸でお肉とキャベツを味わうのですね。

お肉がとってもジューシー。オリジナルソースがしみたキャベツを絡めながらどんどん箸が進みます。物足りない時は追いソースのサービスも。

コレくらいになったらやっとかぶりつけそう。

オーダーしたときのイメージはこれくらいでした
オーダーしたときのイメージはこれくらいでした

トルコ人が売っているケバブってちょっと小腹が空いた時に食べるおやつって感じのものですが、これはゴハンです。充分1食になり得ます(あくまで筆者個人の感覚です)。これが「安い」「うまい」「量が多い」を求める大学生の胃袋をわしづかみにしていたケバブだったのですね。

ここにきて、なぜ実店舗を構えようと思ったのか

「キッチンカー1本で3年ほど営業していたのですが、どこまでいっても不安定なんです。出店場所によってはお客さんが来てくれても、もうからないなんてこともありますから。キッチンカー以外にもう1本安定した柱が欲しかったというのが実店舗を構えた理由です。それに、海外ではケバブって日本の某ハンバーガーチェーン店や牛丼チェーン店並みにお店があるのですが、日本ではまだそうなっていません。僕は、日本でも海外と同レベルまでケバブを広めたいと思っています。いろんな場所で出店してきたのですが、みんな『美味しい、美味しい』って食べてくれるから、もっと、たくさんの人に僕のケバブを食べてもらいたい。このお店がその拠点になればとも思っています」(西井さん)

こうした西井さんの夢に共感した保育園時代からの幼なじみが参加し、現在二人体制でお店を回しています。店名は、西井さんの子供の頃のあだ名「ちーくん」からとったものだとか。キッチンカーの営業は今後も続けるそうですが、土日の大きなイベントに参加するスタイルに変えるそう。

今回味わったケバブは筆者の想像が及ばないものでした。今後のお店の展開もそうなるのでしょうか。非常に楽しみです。

店舗情報

店名:チーケバブ(イートインスペースあり)
住所:名古屋市緑区潮見が丘2-335-1 サントピア潮見ヶ丘1-A
営業時間: 11:00~20:00(無くなり次第終了)
定休日:水曜日
公式Instagram

※取材ではチーケバブ様の協力により、料理を無償で提供いただきました。本記事の制作にあたってはガイドラインに基づき公平中立に制作しています。

ライター(名古屋市)

名古屋生まれの名古屋育ち、現在は近郊在住。ライトなものからディープなものまで、名古屋のリアルを主観を添えてお伝えします。

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