岡垣町の緑豊かな道が続く通りに、「shifuku（しふく）」という名の美容室がオープンしました。隠れ家的なそのお店には、看板も何もありません。

8月4日にオープンしてからまだ1ヵ月弱と日は浅いですが、もうすでに近隣のママさんたちが足しげく通う癒しスポットとなっています。

子育てに思い悩んだ自分だからこそできること

お店に立つのはオーナーの松尾真奈美さん。長年美容師として活躍してきた彼女ですが、結婚・出産を機に働き方が180度変わったと言います。

「体調を崩しがちな子どもたちの側にいたくて、美容師を続けることも一度は諦めたんです。だけど家族とか友達とかたくさんの人達にサポートしてもらったおかげで、子育てしながらも自分のペースで仕事を続けることができました」。

そんな自身の経験から「もっと母親たちにも優しい美容室があってもいいのでは？」との思いで開業を決意し、今に至ります。

日々張り裂けそうなママたちへ

「shifuku」で提供するメニューは、彼女が一番得意とするシャンプー（1,500円）やカット（2,500円）など短時間で終わるものが多く、家事育児に追われる母親たちが罪悪感を持たずに通える価格も意識したといいます。

頭浸浴（4,000円）や眼浸浴（1,000円）などの目新しいスパメニューも充実。

筆者もこのビジュアルを初めて見たときは、かなり衝撃を受けたんですけど、もう見ただけでわかりますよね。

「これ絶対気持ちいいやつ・・・！」

彼女自身もお客さんとしてくる母親たちにも、「予約していても気負わずに子どもたちを優先してほしい」という思いから、予約が確定するのは当日の朝という形をとっています。

予約日の朝、「今日はよろしくお願いします！」という彼女からのメッセージをもらうのが始まりの合図。

子供たちに不調が起こったり気づいたりするのって、たいていはその日の朝なんですよね。「昨日まではあんなに元気だったのに！」なんてことは日常茶飯事。

だからこそ「急な予定変更はお互い様」という彼女の意思に賛同する母親たちは多いんだそう。

「ママを癒したい」という想いは大きいけど、お店自体は決してママ専用というわけではなく、椅子も2席用意することで家族連れや夫婦、親子での来店にも対応しています。

美容室という垣根を越えた居場所

「『美容室は贅沢』という敷居の高さをなくしたいんです」と話す松尾さん。

「ちょっとコーヒーを飲みに行きたいなと思ってもらえるくらいの気軽さで来てほしいし、そんな人たちが少しでも癒されるような居心地の良い場所を提供していけたら」と抱負も話してくれました。

家族って中心にいるママがいつも笑顔でいると、大抵うまくいくんですって。

「自分が満たされると、周りの人たちにも優しく出来るんです」という彼女のお話はどれも心に響くものばかりで、なんだか私まで肩の荷がおりたような、ほっとした瞬間が確かにそこにありました。

今後は、美容室に行くことができない年配者や子供たちの訪問カットにも対応していきたいという松尾さん。（車で15分で行ける範囲まで※要相談）

彼女の柔らかいようで力強くもあるその想いが、これからもたくさんの人に届きますように。